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2014年11月24日23:49

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「天才スピヴェット」 「ショート・ターム」

22日は「紙の月」
     「トム・アット・ザ・ファーム」、

23日は「365日のシンプルライフ」、

24日は「日々ロック」を観に行きました。





「天才スピヴェット」、

ジャン・ピエール・ジュネの新作。
アメリカ人作家ライフ・ラーセンの本が原作で
10歳の少年が一人でアメリカ横断の旅をする映画なのに
フランス・カナダ合作映画で、ジュネはフランス人だし、
彼にとっては『エイリアン4』以来の英語の映画で、
おまけに3D映画である。
少年がモンタナのど田舎からワシントンDCまで旅するだけのお話だが
原作通りなのか ジュネとギョーム・ロランによる味付けなのか
濃すぎてビザールなキャラたちが(人だけでなくイヌからスズメまで)
こだわりの美術の中で繰り広げるファンタジーは、
天才少年だがただの少年でもあるT.S.スピヴェットが
“ただの少年”であることを主張し、ひと癖もふた癖もあるその家族が
それを発見受容する感動話でもあって、
“天才少年”という超レア商品に色めき立つ都会の大人たちの胡散臭さを
愉しく皮肉りながら
少年を大人として遇する心ある大人も登場させて、
天才だろうと凡人だろうと都会人だろうと田舎者だろうと常識人だろうと変人だろうと
善き人々は幸いなるかな!というハッピィな語りは、
“少年版アメリ”と言われるものむべなるかな…と思ってしまう。
T.S. を演じたカイル・キャトレットの演技が映画を決めていると思うが、
ジュネ作品の常連ドミニク・ピノンがめっちゃ英語が上手いのでびっくりした!(笑)
2Dで観たのだが、
これはたぶん3Dの方が楽しいと思う。
もう一度観たいけど 3Dは1日1回になっちゃってるんだよねー…。
デートで観てよし、家族で観てよし、一人でも友達同士でも
老若男女観る人を選ばぬ良作である。



「ショート・ターム」、

13年のアメリカ映画なのだが、
聾者やホームレスやDV等の社会問題を扱った
NHKの真摯なTVドラマみたいなのだ!
「ショート・ターム12 」という名の施設の物語で、
虐待を受けた子どもの一時避難所であるそこで働く若いスタッフのドラマである。
心に深い傷を負った子どもたち、映画は
彼らの屈折がどのように行動や行為や言葉になって現れるのか…を丁寧に掬うが、
個々の虐待の理由や真相を明らかにはしない。
そこが上手い。
ヒロインのケアマネ グレースは彼女自身が父による性的虐待の被害者であり、
同じ被害者の少女に感応して自制が利かなくなる件りが読みどころなのだが、
恋人の子を妊娠しているグレースが中絶から出産へ意識を変える経緯が
被害少女のドラマとリンクして、
子どもが“大切に思われて在る”ことの重要性を
静かに、しかし感動的に描いているのだ。
積み重ねられた苦しいエピソードがあるから
グレースが初めて恋人と共に超音波画像で嬰児を見る時の歓喜と涙が
胸に迫る。
地味すぎる素材だが、アメリカ映画的“解かりやすい感動作”にせず、
テーマもドラマも丁寧に静謐に演出した監督(脚本も)
デスティン・クレットンの手腕を評価したい。
よい映画である。佳作。
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