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2014年11月16日17:29

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井上真改

先日のつぶやきネタに「パソコンの壁紙は?」というお題がありましたので「井上真改 ニ尺三寸四分 の写真」と書きました。


先日少し時間があったので何気なく書棚の本を手にしましたら「鬼平犯科帳-雲竜剣」でした。ずっと以前に読んでしまった本なのですが、最近殆ど本を読めておらず、「気楽な活字」に飢えた状態でしたので、取り敢えず読み始めました。
「鬼平犯科帳」は池波正太郎の代表作とも言える作品ですが、殆どが短編で、活字に溺れる楽しみを満喫するには少々役不足です。が、手に取った『鬼平犯科帳-雲竜剣』は、その中でもたまたまの長編。これは嬉しやと思いながらそれから数時間、涎を垂らしてだらしなく読みふけりました。

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複数の部下を暗殺した堀本伯道は盗賊であり、火盗改の長官としては役儀上必ず捕らえなければならない相手ですが、長谷川平蔵自身が夢に魘されるほどの剣客でもあります。

物語の終局。平蔵は堀本伯道を捕縛するため件の隠れ家に向かうのですが、盗人の捕縛ではなく寧ろ剣客として意趣を持ち、刃を交える覚悟を持って臨みます。

私邸を出る前、何故か、常に愛用の粟田口国綱(ニ尺ニ寸九分)を置き、「井上真改(ニ尺三寸四分)」を携行するのです。

井上真改は切っ先に僅かな反りがあり、刀身自体も粟田口国綱より僅かに長いのですが、どうして持ち替えたのかは分かりません。恐らくぎりぎりの競り合いに自らの生命を託する一刀。井上真改こそが平蔵にとっての取って置きだったのでしょう。

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同じ池波正太郎の作品に「剣客商売」という物語(シリーズ)がありますが、主人公の秋山大治郎の刀が同じ井上真改(ニ尺四寸五分)です。
作中、父・秋山小兵衛より譲り受けるという描写がありますが、小兵衛がどうしてそのような名刀を所持していたのかなど、詳しい経緯は存じません。


平蔵にとっての取って置きであり、木訥の仁、秋山大治郎にも所持させた刀「井上真改」。何となくですが、作者の池波正太郎自身にとっても、井上真改こそが破邪の剣だったのではないかという気がします。


【井上真改】
江戸時代前期に摂津国で活動した刀工。元々の銘は「井上和泉守国貞」。
朝廷に作品を献上したところ賞賛され十六葉菊花紋を刀(なかご)に入れることを許された。
後に儒者の熊沢蕃山の命名で「真改」と改称。銘も「井上真改」と切った。
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