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2014年09月04日23:34

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笠ヶ岳〜行く夏を惜しみ、秋の訪れを感じる山旅〜

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9月初めの北アルプスなんて登ったことがない。
夏山なのだろうか、秋山なのだろうか。
久しぶりの山歩き、この時期の北アルプスはどんな装いを見せてくれるのだろうか。

9月2日

4時半に目が明く。
まだ薄暗い新穂高温泉の駐車場のあちこちでヘッドランプの明かりが灯しだされる。

トイレに行こうと探すが見つからない。確か駐車場にトイレがあったはずだ。支度をしている人に聞いてみる。
「ここにはないんじゃないんですか。」
「バス停の前にきれいなトイレがありますよ。」
いやいや、そんなに遠くまで行かなくてもあるはずだ。
「入り口近くの左側に仮設トイレがありますよ。けっこうきれいですよ。」
3人目の人がやっと教えてくれた。確かにわかりにくい。電気もないし、夜中ならまず見つけられないだろう。

朝食を済ませ身支度を整えて出発する。
今日は雲一つない晴天だ。

駐車場から少し行ったところのバス停の前には新しい新穂高センターが建っていた。去年は工事中だった。
中のトイレは本当にきれいでウォシュレットだった。着替えもできる。
ここで登山届を出す。

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笠新道の登山口まではだらだらの林道だ。あまり好きではないが、ウォーミングアップには手ごろだろうか。歩き始めてすぐに笠ヶ岳が見えた。朝日が当たっている。目標の山が見えるのは嬉しい。
登山口には水が引いてある。この先水場はない。家から持ってきた水を捨てて、冷たい水を汲みなおした。

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今回はテント1泊ということで、荷物の軽量化コンパクト化を目指した。7月に南アルプスで一緒になった女性が小さなザックでテント泊していたのを見て、自分ももっとコンパクトにしてみようと思ったのだ。
いつもは日帰りや小屋泊まりで使う30リットルのザックにした。30リットルとはいってもちょっと大きめだ。
何とか、1泊分の食料を入れても収まった。4つのペットボトルのうち3つは外付けだ。
水2リットルを入れて12キロになった。
ザックが軽いせいもあり、今までの1泊分よりも2〜3キロ軽くなった。

急な笠新道、8年前に息子と登った時はほとんど眠らずに登ったせいもあり、きつかった。
だが、今回は4時間半仮眠できた。
荷物が軽いと足どりも軽快だ。7月の南アルプスの縦走以来1か月以上空いてしまったが、何とかなりそうだ。

樹林帯の中を登っていく。しばらくすると、木々の間にギザギザの山が見えてくる。何だろう、穂高かな?

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さらに登ると、焼岳と乗鞍岳が見えてきた。

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そして、槍ヶ岳も!!
槍ヶ岳から大キレット、穂高、焼岳、乗鞍岳が真っ青な空の下に続いている。
本当に今日はお天気がいい、嬉しくなる。

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足元には秋の紫色の花が多くなる。やっぱりもう季節は秋なのだろうか。

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杓子平に着く。笠ヶ岳の山頂が見える。ここの雰囲気は好きだ。
笠ヶ岳にはちょっとガスがかかり始めていた。先を急ぐ。

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山荘の下のテント場に着いた。ガスで回りの景色は何も見えない。
広いテント場の中から気に入った場所を見つけてテントを張る。
それから山荘に手続きをしに行った。涼しくなっていてビールを飲む気持ちは失せていた。

テントに戻る途中から小雨がぽつぽつしだした。急いでテントの中に入る。
今日はもう山頂には行かないでおこう。行ってもガスで何も見えない。明日の朝に期待しよう。
次第に雨音が強くなっていった。

夕食を終えると雨音がしなくなった。外に出ると、ガスが晴れてきた。
今まで見えなかった景色が見えてきた。
左手には黒部五郎岳、薬師岳がはっきりと見える。さらに遠くに劔岳、立山。そして、赤牛岳、水晶岳も見えてきた。槍穂のガスも取れてくる。

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明日のご来光を期待してシュラフに入る。

9月3日

夜中に何度も目が明いた。けっこう風が強い。時折外をのぞくが、ガスで星は見えなかった。
何度目だろうか、時計を見ると3時半だった。外を見ると、少しだが星が見えた。よし、起きよう。

ゆっくりとコーヒーを飲む。
少し片付けてからラーメンを作る。
テントを撤収して、ザックを置いたまま山頂に向かった。新しいウェストポーチは大きめなので、必要なものは入った。サブザックの代わりになる。

山頂には10人ほどの人がご来光を待っていた。
朝日は槍ヶ岳あたりから登ってくる。果たしてどのあたりから登ってくるのだろうか。
北に目を向けると、北アルプスの重鎮たちが静かにその時を待っている。

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やがて南岳の肩から朝日が登った。

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儀式が終わったというように、ほとんどの人が下って行く。山小屋の食事の時刻なのだろうか。

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しばらく静かに余韻を楽しんでからテント場に下っていく。
午後から天気が悪くなるという予報だ。ゆっくりとはしていられない。どうか弓折岳までの稜線歩きの時は降ってほしくない。

しばらくはアップダウンの少ない快適な稜線歩きだ。
右手には槍穂。左手から正面には、黒部五郎岳から双六岳の山々が見える。山と山の間には、黒部五郎小舎と双六小屋の赤い屋根が見える。
多くの人は笠新道の往復のようだがもったいない。できるだけ長くこの景色を見ながら歩きたい。

秩父平にはまだ夏の花が咲いていた。
咲き遅れた花たちなのか、登り遅れた登山者を待っていてくれた花たちなのか。

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コバイケイソウの葉はすでに黄色く色づいて、斜面を秋の装いにしている。
夏の名残と秋の訪れを感じさせてくれる。

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弓折岳に着くころにはガスで景色は見えなくなっていた。だが充分満足した。
鏡平小屋のベンチで休んでいると、70代後半に見える女性が前に座って話しかけてきた。その人は年輩向けのゆっくりツアーの参加者だった。
わさび平、鏡平、双六、鏡平という4泊のツアーで最高齢の方は81歳の女性だそうだ。
私が単独でテント泊、しかも和歌山から車で来たと言うと驚いていた。
私も80歳になってもアルプスに登れるかな、それも単独で登れるかな。
ゆっくりペースでもいいから登れるといいな。

雨を気にしながら下っていく。
だが、幸い新穂高温泉の駐車場に着くまで降られなかった。
新穂高センターに入る。ウォシュレットのトイレを見た時に下界に下りたと感じた。
こんなきれいなトイレが無料だ。

5週間ぶりの山、8年ぶりの笠ヶ岳。
いろいろなことを思い出しながら、新しい発見を楽しみながら歩いた2日間。
盛夏と紅葉の端境期の静かな山。
行く夏を惜しみながら秋の訪れを感じた2日間の山旅。

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