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2014年07月29日05:59

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南アルプス南部縦走ー2 赤石岳

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7月24日

昨日、小屋で受け付けをしたときに翌日の宿泊先を聞かれた。
「赤石岳避難小屋です。」と言うと、小屋の人は驚いた顔をした。そうだろう、百間洞山の家から赤石岳避難小屋までは3時間ほどのコースタイムなのだ。

初めは赤石小屋に泊まって翌日下山するつもりだった。だが、2年前に泊まった赤石岳避難小屋のご主人の人柄、小屋の雰囲気が大好きになっていた。また泊まりたいなあと迷っていた。そうしたら、タイミングよくfbでご主人と友人になったのだ。
もう決まり。24日に泊まります!!と書いたのだ。
赤石岳避難小屋からでも翌日十分椹島の最終バスに間に合う。

テントからは小屋から出発していく人が見える。テントもどんどん撤収されていく。
ゆっくりコーヒーを飲んで、ラーメンを食べる。
6時20分出発だ。

百間平への登りは予想よりきつかった。あせることはない、ゆっくりと進めばいいのだ。
1時間で百間平に着く。聖岳ははっきりと見えるが、赤石岳にはガスがかかっている。赤石岳はガスがかかりやすい山だと小屋のご主人が言っていた。

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10時前に赤石岳に着いた。ガスで回りは見えない。すぐに小屋に行った。

「おはようございます。ツボです。」
ご主人は早い到着に驚いた。私は2年前も赤石小屋からここに来て早い到着に驚かれたのだ。
「ここは私には3時間コースの小屋なんです。」

それから私は家から持ってきたキュウリを2本差し出した。「お土産です、私が作ったんですよ。」
新鮮な野菜を大歓迎してくれた。

ガスがかかっているので小屋でゆっくりする。ちえこさんが紅茶を入れてくれる。甘い紅茶が美味しい。
「昼飯ご馳走してあげるよ、冷麦でいいかな。俺が作るから。」

お昼は3人でコタツに入って冷麦を食べる。私が持ってきたキュウリも軽く塩もみして出してくれた。
いろいろな話をして楽しかった。

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午後になると登山者が少しずつ小屋に入ってきた。皆単独の人で、千枚小屋から来た人ばかりだった。
彼らの間で話題になったご夫婦がいた。
皆、千枚小屋から来る途中でそのご夫婦を追い越していた。
彼らの話を総合すると、そのご夫婦とは・・・

1 椹島に着いた時にはすでに旦那さんの靴底がはがれていて、椹島で登山靴を借りていた。
2 千枚小屋を4時ごろ出発した。
3 奥さんはもんぺみたいなズボンをはいていた。
4 麦わら帽子をかぶっていた。
5 ザックも登山用というよりもリュックサックといったものだ。

で・・・極め付けが・・・
6 畑で使う農竹という緑色の棒をストックにしていた。

みんなで一体どういう人たちだろうと話題になった。彼らは赤石岳避難小屋に泊まると言っていたという。だが、もう4時を回ってきた。
きっと荒川小屋に泊まっただろうと話した。

4時半になって「もう誰も来ないだろうからそろそろ宴会にしよう。」とご主人が言った。彼は酒好きで有名だ。ちえ子さんがつまみに鶏のから揚げや餃子を出してくれたのでみんなびっくりした。
私のキュウリも使ってくれた。
標高3000mの居酒屋だ。

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飲み始めてすぐに、戸があいた。何とあの話題のご夫婦が入ってきた。みんなで拍手で迎えた。
そのご夫婦は噂通りのいでたちだった。
お二人は疲れていたので宴会には加わらず、奥で食事を出してもらっていた。

ご夫婦は75歳と69歳。奥様が70歳になる前に赤石岳に登ろうということで来たそうだ。
地元の川根温泉でお茶農家をしているので、体力には自信があったそうだ。登山の経験は千枚岳に登ったことがあるくらいだった。
この赤石岳周辺は昔の大倉財閥が買い上げた山で、大倉卿は88歳で赤石岳にお伴を200人引き連れて登ったそうだ。
このご夫婦の息子さんが大倉系の大成建設に勤めているので、ぜひともその赤石岳に登りたいと思ったそうだ。だが、明日中には帰らないといけないので、無理してここまで来たというような話を小屋の主人にしたそうだ。

2階でお二人が早めに休んだので、我々は大声にならないようにしながらの宴会を続けた。
いろいろな山の話は面白かった。

その中でも驚いたのが、関東から来たAさん、大峰を歩いた時に行仙小屋で奥駈の行者さん38人と同宿になったというのだ。2年前のことだった。
「私、その時その中にいましたよ。」
そう言うとびっくりした。いや、私も驚いた。確かに2年前の奥駈のとき、小屋に普通の登山者が数人いたのだ。その中にAさんがいたとは奇遇である。
彼はできたら光岳から深南部の大無間山に行きたいと話していた。

話は尽きなかったが、8時が消灯だ。明日のご来光を期待して皆2階に上がっていった。

7月25日

朝起きると外はガスがかかっていた。ご来光は見られなかった。
それでも、久しぶりにブロッケンが見えて嬉しかった。

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あのご夫婦はまだガスがかかっている5時に出発した。赤石岳に10回以上登っているという浜松のIさんが途中までサポートしながら一緒に下ったそうだ。
他の下山する登山者にも注意してあげてほしいと小屋のご主人が話した。皆もそのつもりだった。

やがてガスが晴れてきた。快晴の空が広がる。今回最高のお天気だ。このまま下るのは惜しい天気だ。
まだ食料は残っている。
相方に電話をするとうまくつながった。
「すごくいいお天気なの。一番晴れたの。だからもう1日いたいんだけど・・・今日千枚小屋に泊まって明日下山して帰るのでもいい?」
相方は快諾してくれた。

やったあっ〜〜!!!この青空の下の稜線を歩ける!!
うれしくてたまらなかった。
やっぱりこの山頂直下の小屋にして良かった。もし、下の赤石小屋に泊まっていたら、どんなにお天気が良くても登り返す気にはならずに下山しただろう。

残っていた人たちで記念写真を撮る。
ご主人が大きな望遠鏡を出してくる。
光岳の山頂の木が少しないのが見える。「富士山が見られるようにあそこだけ伐採してあるんですよ。」
聖岳の山名版も良く見える。「あそこでこっち向いて小便したら丸見えだな。 」
皆大笑いする。

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名残惜しいが小屋に別れを告げる。この日千枚小屋に向かうのは私だけだった。

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