4月26日
ほら貝の合図とともに本宮の備崎を8時に出発する。
今日は、熊野修験の奥駈の二回目、玉置神社まで歩く。
ここは大峰山脈の最南部だ。
七越峰の下の林道から本宮大社の旧社地を遥拝して勤行する。
七越峰はツツジが満開だった。
ここから山在峠までは高低差が少ない道のりだ。
そして、まずは大黒天神岳への登りが始まる。
山頂近くではシャクナゲが咲いていた。
今まで同じ時期にここを歩いているが、シャクナゲが咲いていた記憶はない。今年は早いのだろうか。
金剛多和で昼食だ。
田辺市から参加しているOさんとしばらくぶりに話す。
「奥様は今回は参加しないんですか?」
「家内は娘の介護で家を離れられないんですよ。」
話を聞くと2年前に娘さんが自転車の事故で頚椎損傷で寝たきりになってしまったのだと言う。
「それで今年は満行させていただこうと思っているんです。」
私の姪と同じような状況だ。
姪は2年半前に交通事故で重い障害を負ったのだ。
さらに、姉とともに姪を介護していた義兄が1週間前に緊急手術をしたと聞いていた。
今回私はこの2人が少しでも良くなるようにと祈りながら歩こうと思っていた。
Oさんは私と同じような気持ちで奥駈に参加されていたのだ。
五大尊岳、大森山と急な登り下りが続く。
大峰の山は北部より南部のほうが標高は低く地味だが、アップダウンが多くきつく感じる。
休みたくても自分勝手には休憩できないところが修行のひとつだ。
珍しくアケボノツツジがもう咲いていた。疲れを忘れさせてくれる。
大森山から玉置辻に下る。
最後に神社までの参道を登る。この最後の登りがけっこうきつく感じられる。
玉置神社には予定通りに午後5時に着いた。9時間の行程だった。
最後の勤行をしてから駐車場に下る。そこではサポートの方々が温かいぜんざいを用意してくださっていた。ありがたい。
この奥駈は多くのサポートの方たちに支えられている。
家に着いて姉に電話をした。義兄はリハビリを始めたと言っていた。姪はしばらくショートステイで預かってもらえるそうだ。
「右手も少し動くようになったのよ。」
姉の声がちょっと明るかった。
私の祈りが少しは通じてくれたのだろうか。
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