昨年秋に続き、東京芸術劇場でのコバケン、日フィルのサンデーコンサートに出掛けました。
この日の演目は「ベートーベンのヴァイオリンコンチェルト」と「ドヴォルザークの新世界」 何れも一昨年から昨年にかけ、同じ指揮者とオケで娘と聴いたものです。
特に新世界は昨年10月からまだ半年しか経っていない。
なのに昨日の演奏は良い意味で前回とは全く異質でした。
前半のベートーベンのソリストは瀬崎明日香さん。メンデルスゾーンやブラームスと並ぶ三大ヴァイオリン協奏曲の中でも演奏難度が高い(でも、この一楽章のカデンツアはいいんですよねえ)この曲の構造をとても分かり易く提示しながらキッチリとした音楽を聴かせていただきました。
20分の休息を経て、後半の新世界
指揮者の小林さんは、名曲集中指揮者で有名で、1年に同じ曲を何度も演奏する(まあ、お客もある程度それを求めているわけですが)のですが、この新世界も恐らくプロオケだけで今年6回以上やる勢い。
となると、マンネリ化、みたいなのが心配なのですが、今回はそれが杞憂となりました。
昨年秋の新世界では、柔らかさを追求したのか「テヌート気味で刺激の足りない演奏」だったのですが、今回は一転、強弱が極端にはっきりしていて、テンポも揺れ、テヌートも少なく、全体にシャキっとした、でも、じっくり聴かせるところは体に染み込むような、低弦音を強調した印象深い演奏でした。
特に有名なニ楽章。消え入りそうな弱音と無音を行き来しながらなんとも懐かしい郷愁が胸に迫る迫真の演奏で、いつもはザワついている池袋のホールも本当に全員が集中した素晴らしい瞬間となりました。
ホントにこの日のニ楽章(遠き山に日は落ちて〜)は味があって最高でした。
二楽章が静かに終わり、三楽章との章間に「いいねえ」と隣の娘に囁くと、娘も同感らしく「うん」と大きく頷く。
座席左は知人、右は娘なのですが、なぜかこのとき左目の落涙が酷く、恥ずかしい思いをしました。
そして、アンコールはお決まりのハンガリー舞曲、でもこの日は小林さんトークでドボルザークとブラームスの関係に触れた後、その後のソリストアンコールにつながる第四番を演奏。冴え渡り鳴り響く弦の合奏を引き継ぐ形で、瀬崎さんのチャルダッシュ(なんと伴奏は指揮者の小林さん、曲中、ユーモレスクやタイスの瞑想曲を挟みながら)を堪能させていただきました。
終演後は、友人の図らいで、楽屋を訪問できることとなり、娘と2人あこがれのコバケン(小林さん)とお話しすることができました。
考えてみると私は足掛け30年以上、小林さんの演奏を聴き続けていて、そのマエストロと握手するだけで万感極まる思いがあり、娘は学校のオーケストラでまさに「新世界」を練習しているというジャストのタイミングでの面会となりました。(友人に感謝!)
来週は通常の定期演奏会ですが、今回は思わず良い拾い物をした気がしました。
2014.4.13 第209回 日本フィルサンデーコンサート
(前半)
ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲
ソリスト 瀬崎 明日香
(後半)
ドヴォルジャーク 交響曲第9番「新世界より」
(アンコール)
ブラームス ハンガリー舞曲第4番
(アンコール2 オケの退場後)
モンティ チャルダッシュ 瀬崎 明日香 伴奏 小林 研一郎
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