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2014年03月24日01:33

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【映画の窓2】それでも夜は明ける

映画の窓って何だろ(笑)

先週、約1年ぶりに映画を観たと思ったら、今週も行ってしまいました。
家にいると落ち着かないんですよね。今日は妻が台所の片づけを始めて、それはとてもいい事なんだけれども、キッチンを自由に使えないことがこんなにストレスとは!邪魔になってもいけないし天気もいいので、自転車で府中までぶらぶらと出かけました。

さて、「それでも夜は明ける」。原題は「12 Years A Slave」。
舞台は1840年代。南北戦争でリッチモンドが陥落し、ヴァージル・ケインが腹ペコで死にそうだったのが1865年ですから、その20年くらい前のお話です。(※注)
主人公は「自由黒人」。まず、自由黒人なんていう人たちがいたことすら知りませんでした。北部で恵まれた暮らしをしている、黒人の中では特権階級みたいな立場。その主人公が騙されて、南部に奴隷として売られていきます。

監督はスティーヴ・マックイーンという人。イギリスの黒人だそうです。
過剰な演出は一切なし。物語の背景などの説明もなし。お涙頂戴みたいな要素も皆無だし、奴隷制度を告発しようなどという上から目線も全くありません。それでも冒頭のさとうきび畑の1シーンだけで、黒人達の置かれていた状況と労働の過酷さがわかります。このように、映像と最小限のセリフで物語を進めていきます。重たい話なんだけれども、退屈な箇所なんて1つもありませんでした。ぐいぐい画面に引き込まれてしまいます。

ところどころで使われる長回しや静止画像が効果的。鞭打ちや首吊りのシーンはもちろん印象に残っているけれど、主人公が首吊り状態で長時間放置されている近くで黒人の子どもたちが普通に遊んでいる場面が怖かった。

最後の方に出てくるブラッド・ピットがどういう経緯で南部に働きに来たのかが不明だったけれども、彼を通して北部と南部の違いや、白人の中にも奴隷制度に反対の人もいたのだなという事はわかった。ブラピ、確かにいい所どりでしたね。彼はプロデューサーにも名を連ねているけれど、こういう映画に出資するなんて、アメリカのトップ俳優というのは偉いものだと思います。

だって奴隷制度なんて、アメリカからすれば文字通りの黒歴史でしょ?150年以上昔の話とはいえ歴史に向き合った映画が商業映画として成り立ち、アカデミー作品賞までとってしまうというのは素直に凄いと思います。できれば「大統領の執事の涙」とセットで観たかったな・・・。

この映画の主人公は幸運にも元の家に戻れたけれども、奴隷制度がなくなるのはずっと先のこと。そして、これはやっぱり「黒人可哀想だな」「白人ひでえな」だけの話ではないし、遠い国の昔の話でもないのだと思います。僕はどうしても、レイシズムが広がりつつある今の日本と対比して見てしまいました。

先週のキック・アスとは正反対の映画でしたが、いやー、映画っていいものですね。

※注:ヴァージル・ケインとはこの曲の話。ラスト・ワルツの映像から。
●The Band/The Night They Drove Old Dixie Down
http://www.youtube.com/watch?v=jREUrbGGrgM
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