3月15日
那智山からの日の出を見てから、ほら貝の響きを合図に本宮に向けて出発する。
今日は、熊野修験の奥駈、春峰入りの第1回目だ。
この道は、熊野古道中辺路の大雲取越えに当たる。
普通なら途中の小口で一泊するが、10時間ほどかけて一日で歩きとおす。
80人ほどの参加者がいるが、以前からの馴染みの顔が減っている。
以前は5〜6名だった高松の山の会の人たちが20人も参加していた。
10年くらいまでは請川で国道に出ると、速い人は本宮大社まで歩道を小走りで歩いた。
それには、請川に4時10分までにつかないと間に合わない。
遅い人はバスで本宮大社まで送ってもらっていた。
私は必至で本宮大社まで歩いた。
100人以上の参加者がいたが、10番以内に入れたものだった。
当時小学生だった息子は、先達を抜いて注意されていた。
だが、今では全員が同じペースで歩き、請川に着くのは5時過ぎだ。
全員が車で本宮大社まで行く。
あの頃より1時間以上かかるようになってしまった。
それでも、歩いていて遅く感じないのは、自分の歩くペースが遅くなったからだろう。
高木導師も一時あまり体調がよくないと聞いたことがある。
体力も衰えたのだろう。
以前は元気だった山伏さんの中にもサポートに回る方が何人もいた。
熊野修験の奥駈は27年目を迎えた。
私が参加したのはそのうちの半分ほどだが、時代の流れを感じた。
歩ける間は参加したいという気持ちと、そろそろ潮時なのだろうかという気持ちが入り混じっている。
それでも、いつも穏やかな高木導師の笑顔に導かれたいという想いは変わらない。
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