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2014年01月11日17:04

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黒蜥蜴 美輪明宏という人。

昨夜、WOWOWで、美輪明宏特集をやっていました。今日、野田秀樹氏演出の舞台『MIWA』の放送があるので、その宣伝も兼ねていたのかも知れません。

先日、コンサートに行った際に言っていた『フランス人監督が監督した美輪さんのドキュメンタリー』も放送されていた。(コレ、DVDで販売していた) 
最後の1時間くらいしか見られなかったけれど、最後、美輪さんが、同性愛を語る部分は、何か、恰好良い!と思ってしまった。
これ、有名な話で、コンサートの時も話していたが。

美輪氏のゲイの友達が、同性愛者であると言うコトがばれ、家族と親戚一同に吊し上げを食らう。美輪氏は、その現場にいたそうなのだが。その吊し上げがあまりにも辛く、その友人は、その席を退席した・・・と思ったら、その友人は、トイレで首吊り自殺をしてしまった。美輪氏「綺麗な人だったのに、大便から尿からたれながしで、鼻水が出て・・・。」
その姿を見て、「何で、物を盗んだわけでも、人を殺したわけでもないのに、この人は、死ななくてはいけなかったんだろう?」と考え、「それなら、私は、正面からそれを受けて立とう。」と思ったそうです。「私が有名になれば、自分に取材が来るだろう。取材が来たら、その記者に私は同性愛者であるって言おう。同性愛者の人間の何が悪いのか?を、世に問おう。」そう思ったと。

で、アサヒ芸能の記者が来た時に「あなたは、どんな女性が好きですか?」と問われたので、美輪氏は「ここだ〜!」と思って、「女性は、お友達としては好きですが、恋愛対象にはなりません。付き合っているボーイフレンドなら、6大学野球のリーグ戦が出来るくらいの数がおります。」と言ったらしい。記者は「芸能界には、あたたの他にもホモの人はいるけど、皆、隠しています。アナタは新人だから、まだ分からないと思うけれど、ホモだと言ったらダメですよ。世の中から抹殺されて、この仕事が出来なくなりますよ。」と忠告されたそうなのだが、美輪氏は「いいえ。別に、人を殺したわけでも、物を盗んだわけでもありませんから。どうそ、記事に書いて下さい。」と言って、その記事はアサヒ芸能に載ったんだそうな。
「化物とか、気持ち悪いとか、キチガイとか、散々言われましたけどね。別に・・・って。そんなコトを言う奴らを可哀想だと思ったは。」と。

気持ち悪いや、化物など、こういう言葉って、自分を主軸にした場合(って、人は、大抵、自分を主軸にしか考えられないのだが)、自分には受け入れられないモノをそう言うのだ。
美輪さんは、ある部分の人達には、「何言ってんの、コイツ?キモイ」という自分の考えや常識の範疇外の人になってしまうのだろう。

私にとっては、バカみたいってな話だが。私はその対象が受け入れられない時は、「何故、受け入れられないのだろう?」と考える。「キモイ」の一言で済まさぬように。「キモイ」の一言で、思考停止になって、相手を攻撃するコトしか考えない輩ってのは、一体何を考えて生きているのだろう?あ・・・考えて生きてはいないのか・・・。

また、美輪氏のファンが言っていた「美輪さんが、女装をして、『自分はゲイ』だと言ったコトは、一般の人(ヘテロセクシャル)に誤解を与えた面もあるとは思う。(ヘテロは)ゲイは、女装をしていて、女になりたい人なんだな・・・って思っちゃったかも知れない。」
確かに、それは言えているとも思う。
一般の方に、ゲイと、トランスセクシャルと、パンセクシャルと、ただの女装子(じょそこ)と、男の娘の違いを明確に答えよ・・と言っても、おそらく答えられないと思うし。

ただ。私は美輪さんの女装は『戦闘服』だと思っている。自分が人前に出る時の戦闘服。自分が美輪明宏である為の戦闘服であると。あれは、美輪明宏を分かりやすく具現化させた「美輪の象徴」みたいなモノで、あの戦闘服を着ている間は、きっと戦う美輪明宏なのだろうと。
何と戦うのか?世間だったり、メディアの偏見だったり、ある時は、世界だったり。それは、きっと、その時によって、様々なのだろうけれど。

美輪さんの歴史も興味深かった。最初は、米軍キャンプをまわって、歌を唄う。そのあと、銀巴里に行き、寺山修司の芝居。(横尾忠則氏の、『天井桟敷』の思い出話も面白かった) そして、映画界に行き、コンサートも開くようになり、自分で作・演出の舞台をやるようになる。
今は、TVにも出てますもんね。

TVは、キャラとして「美輪明宏」を使う。美輪さんも、おそらく、そのコトはちゃんと分かっていて、その時は、タレントとして振る舞う。自分が何を求められているか分かる人であろうからな。そのキャラとしても、美輪氏の女装は、一役買ったのだと思う。今のオネエキャラの人達と、ちょっと似てるかな?例えば、マツコデラックスさんは、普段は、男性の恰好だけど、TVに出る時は女装する。あれは、やはり、TVで、マツコデラックスという役割を演じる場合、必要で、また、分かりやすいイコンのようなモノでもあるのだろう。

しかし。若かりし美輪さんの美少年、美青年っぷりは、生半可じゃないですね。この人が、同じ「人間」というジャンルに入ってるのが不思議で仕方ない。だって、本当に人形のような顏なんだもん。神様って、たまに、凄いコトするよな・・・と思います。
絶世の美少年を作りました。その絶世の美少年には「同性愛者」という枷をつけました。色々苦労する星の下に生ませました。ただ、それを跳ねつける魂の強さと、しなやかさを与えました。そんなところなんだろうか、彼を作りし神様は。

で、久々に見ました『黒蜥蜴』。皆さんもご存知ですよね。深作欣二監督の映画です。原作は江戸川乱歩。脚本は三島由紀夫。
そもそも、三島由紀夫が、美輪氏に緑川夫人を演じて欲しくて、脚本に起こしたらしいんだが。
しかし、このスゲエホモ、3羽衆は何だろう?と思ってしまいますよね。乱歩に、三島に、美輪明宏。もう、スゲエ。濃い(笑)。

ざっくり粗筋を言うと。絶世の美女の女賊である黒蜥蜴=緑川夫人と、名探偵明智小五郎の対決を描いた作品・・・なのだが。
この緑川夫人って、良く言われますし、私もそう思うんですが、女性ではないよ。コレって、そもそもが、男性同士の恋愛なんだよ。緑川夫人と明智が魅かれ合っていく過程は凄く好き。どっちも頭が良くてプライドが高いから、絶対「好き」なんて言わねえケド。

コレ。何処かで似たようなの読んだな?と思ったら、ホームズ物語の『ボヘミアの醜聞』なのですね。アイリーンは女賊ではないし、なんなら緑川夫人より嫌な奴のような気もするが。あと、アイリーンもホームズもこっちは恋愛感情ねえだろうが、ホームズにとっては、特別な女性になる辺り。

黒蜥蜴に話を戻す。
深作氏らしい、画面構成凝りまくりって言うね。
せむし男の松吉や、蛇使いの女、大男なんていう、ケレン味もあってね。乱歩の世界。
あと、美術にビアズリーを使ってるんだよね。さしずめ、緑川夫人がサロメってコト?

狂女のように高嗤う美輪緑川夫人が、凄い。
あと、やっぱり綺麗。もう、綺麗。美輪さん綺麗。

でも、私、ドレスの緑川夫人より、ホテルから逃げる時の男装姿の美青年緑川夫人が1番好きなんだ。「何、この少女漫画から、そのまま出てきたような、美青年は!」と思う。ただただ美しい青年。

緑川夫人は、美しい人間で剥製を作るのが趣味なのだが、この人間剥製の部分で、三島由紀夫本人が出て来ます。剥製になった三島由紀夫。美輪さんにキスしてもらえる役得付き。あれ、三島が「キスシーン入れろ」って言ったんじゃなかったかな?
これ、映画館で見ると(おそらく、映画館で見たレポも、私の日記を遡ると何処かに出て来る)、この三島のシーンは、ココイチで笑いが起こります。

あれ、何だろうね。チンピラと喧嘩して人を刺しちゃったところを、そのまま剥製にって(^_^;)。シュール。

結果。明智さんとの勝負に緑川夫人は負けるのだが。最後のシーンは好きなんだ。明智さんに告白するシーンと含めて。
「アナタを殺すのは、私があなたを好きになったから。アナタがいたら、私は私ではなくなってしまう。だから、私はあなたを殺す。」と言う夫人。夫人はこの告白後、明智を殺したと思ったが、実は生きていて、明智は、せむし男の松吉に変装していた。
それが分かって毒を飲む緑川夫人。「私が死ぬのは、あなたに捕まるからじゃないは。あなたが、ずるい手を使って、私の告白を聞いていたからよ。」

あと、明智が生きてたって分かって、緑川夫人がほっとしちゃうシーンも好き。「生きていたのね。憎い人。」って言うのだが。その時の美輪さんの表情は流石上手い。恋する乙女の顏でもあり、サロメのような残酷な微笑にも見え、媚びた顏にも見えるんだ。この辺りは、流石です。

女賊と名探偵の恋愛は、決して実るコトがないのですね。

で、前述しました通り。乱歩もそう書きたかったろうけど。
コレって、男性同士の恋愛だよね。だから、緑川夫人の役って、女性がやっても、イマイチなんだ。女方がやった方が良いです。美輪さんや、篠井英介氏とかね。
だって、ど〜〜〜う考えても、緑川夫人は女性って感じではないんだよ。明智との丁丁発止のシーンを見ても。そして、明智のセクシャリティから考えても。明智さんおそらく、女嫌いだろう?って言うね。だって、この人、奥さん病気だからって、美少年(小林少年)と別宅に住んでるんだよ?その時点でおかしくねえ?(黒蜥蜴にその記述はないが、少年探偵団シリーズを読むと出て来る) 奥さん病気なら、尚更そばにいてやれよ!って思うんだが・・・。

ほかにも、美女箱詰めとか、もう、乱歩だなぁ〜みたいなシーンもあります。
面白いので、『黒蜥蜴』見て下さい。今でも、劇場でリバイバル上映するしな。深作欣二だし。
しかし。深作さんも、ホモチックな演出好きだよね。何だろうね。実相寺監督と同じで、根底に、そういう感覚があるのかも知れないね。

画像。お美しい緑川夫人。私、最後の明智さんの顏を抱く緑川夫人のシーンがとても好きです。画像にも貼ってしまったが。実らない恋は、ちょっと切ない。
チンピラ演じてるのは、三島由紀夫ですよん。


美輪さんのドキュメンタリー映画の予告。
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