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2013年04月28日10:29

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騙される方が悪い

■「資金の大半残ってない」=MRI社長、聴取応じる―監視委
(時事通信社 - 04月27日 15:01)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=2410707

 僕は金融機関に勤務している。僕の日記を読んでいる人であれば、おわかりであろうが、もっと具体的には某銀行に勤務している。元本確定の定期預金しか扱っていなかった昔と違って、いまどきの銀行では、投資信託や生損保も商品として普通に取り扱っている。株の売買は扱っていないが、お客さんから依頼されれば系列の証券会社を紹介することもある。中には結構、ボラティリティーの高い(価格変動リスクの高い)商品もある。当局の指導で、きちんと商品説明をするし、そもそも適合性の原則と言って、投資に馴染まないような人(高齢者とか運用経験が乏しくて商品性やリスクを理解できないような人)に販売してはいけないことになっている。それでも「こんなはずではなかった」とか言うお客さんとのトラブルは絶えないし、中には訴訟等に発展するものも少なくない。

 銀行に勤務する人間がこういうことを言うのもどうかと思うが、詐欺師に騙さるのは、総じて、大した努力もせずに儲けたいと考える、「欲の皮の突っ張った人間」である。

 冷静に考えればわかることだが、世の中に「美味しい話」など転がっている訳がない。ファイナンスの基本原則は「フリーランチは存在しない」、つまり無条件で得をするような話などは存在せず、メリットがあればデメリットがあり、何らかの対価が得られるような話の裏には必ずそれに見合ったリスクがあるということである。

 また仮に瞬間的にマーケットの「歪み」によって、正当な市場価値よりも安い株なり債券があったとしても、すぐにそれを買う投資家が現れることによって、本来あるべき市場価値に修正されることになる。プロの投資家の中には「アービトラージ」(裁定取引)と言って、市場価値が修正される前の「さや取り」を専門にやる人もいるが、シロウトなど出る幕もないような世界である。

 以上のように投資の世界は「弱肉強食」で、プロが血で血を洗うような争いを繰り広げているところであり、シロウトがヒト儲けしようと思っても、まずは無理である。

 そういうことがわかっていれば、大したリスクもないのに儲かりますみたいな話を持って来られたら、疑ってかかるのが常識であるということがわかるはずであり、そんな話を真に受けて騙されるようでは、騙される方が悪いと言わざるを得ない。

 今回の事件では「元本保証」を謳っていたいたようだが、今のように世界的に資金がだぶついて低金利の時代に、元本保証で6.0〜8.5%の利回りなど実現できるはずもないということくらいは、テレビのニュースくらいしか見ていなくてもわかることであろう。

 そもそも他人が勧めてくれる話というものは、勧めてくれる当人にとって「美味しい」話であって、勧められる相手にとって「美味しい話」ではない。保険のおばちゃんが熱心に生命保険の勧誘をしてくれるのは、我々が病気や怪我をしたときのことを心配してくれているわけでは決してなくて、我々を保険に加入させたら彼女たちの営業成績が上がり、彼女たちが儲かるからである。彼女らの高額の給料や、配布している景品やノベルティのコストも全部まとめてカバーしてお釣りがくるくらいに儲かっているから、いまだに大手保険会社は潰れていないのである。言い換えれば、我々が払っている保険料は自分たちのリスクに見合ったコストよりも相当に法外な価格設定をされている法外な商品だということになる。

 大阪のおばちゃんは、インチキな投資話の勧誘電話がかかってきたら、「そんなに儲かるんやったら、あんたがやりなはれ」と言うそうであるが、今回の「MRI」の投資話に騙された人々は、大阪のおばちゃんたちよりも相当に低能である。

 こんなお粗末な投資話でも、小奇麗なパンフを作って勧誘したら、1300億円も集まるのであれば、僕もやってみようかなあと思ってしまうではないか。
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