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2013年05月03日11:36

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教師が風俗店で働くのはいけないことか?

■女性教諭、風俗店で働く=借金返済目的、停職6カ月―大阪府教委
(時事通信社 - 05月02日 18:01)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=2415985

≪大阪府教育委員会は2日、勤務時間外に風俗店で働いていた府立高校の女性教諭(29)を停職6カ月の懲戒処分にしたと発表した。≫

 ウチの子供もごく最近まで府立高校の生徒だったので、このニュースには少し驚かされた。そして、いくつか思うことがあったのでこの文章を書いている。

 まず、「教師が風俗店で働いてはいけないのだろうか」ということである。

 教師に限らず、公務員やまともな会社であれば、通常は就業規則に副業禁止の既定があるので、就業規則違反に該当するのは間違いない。でも、どうして副業禁止規程があるのかというと、、本業がオロソカになったり、機密情報やノウハウの漏洩による会社の利益の毀損、勤務先の名前・名刺を使って違法な仕事とかイカガワシイ仕事をすることによる勤め先の名誉や信用を損なう等、副業に就くことによって本業の方に具体的な損害やマイナス影響を及ぼすことを防ぐ狙いに基づき設けられているのであって、就業時間外の行動についてムヤミやたらと拘束するような規則は憲法で定められた就業の自由を侵害する可能性すらあるし、そもそも労働基準法等では副業禁止について何ら触れられてはいない。

 本件の場合は、「教職にありながら、風俗嬢のバイトをするのはケシカラン」「教員の名誉を傷つけた」ということで、副業禁止規程をタテにとって懲戒処分にしたと考えられる。たしかにデリヘル嬢という仕事はあまり世間に誇るようなものではないし、勤め先の名誉や信用を損なう行為と言えるかも知れない。

 どういう店でどういう営業をやっていたのか知らないので、ここから先は推測に過ぎないが、幾ら馬鹿でも、「府立●●高校教諭」なんて公表しながら、それを「売り」にして、デリヘル嬢をやっていたりはしないだろうし、今回の事案だって「タレこみ」がなければたぶんずっとバレないことであったに違いない。したがって彼女が副業に就くことで、故意的かつ悪意を持って勤務先の名誉を損なう行為を行なっていたとは断定するのは難しいだろうし、それだけで懲戒処分にするというのは、かなり強引な気がするのであるが如何なものであろうか。

 これが通常の一般企業であればどうなるだろうか。中小企業ならばいざ知らず、まともな法務セクションがあるような大企業であれば、あまり強引な処分をやって後で従業員から訴えられたりすると面倒臭いので、従業員が風俗や水商売でバイトをしているということが発覚したような場合には、たぶん人事部あたりが内々に当該従業員を呼び付けて、就業規則に違反する懸念があることを告げた上で、副業を辞めるように勧告をするだろうが、本人が素直にバイトを辞めた場合にそれ以上の処分をするにはかなり慎重になるであろう。本人が自発的に退職してくれることを期待しつつ左遷するくらいのことはやるかも知れないが、何か法律違反でもやらかしたようなケースでもない限りは、単に就業規則違反だけで懲戒処分まで持っていくには、よほどの故意性や悪意性が立証される必要がある。

 僕の勤務先でも昔、某地方でやはり女性従業員が地元風俗店で勤務しているのがバレたことがあった。その場合も、問題になったのは、風俗嬢をやっていたことではなく、愛人男性(地元の暴力団関係者)に社内の機密情報を漏らしていたことの方であった。

 今回の処分の背景にあるのは、「教師は聖職」という昔ながらの「ステロタイプ」なモノの見方であろうが、いまどきの教師が聖職でもなんでもないのは誰でも知っていることであり、教師自体がそんなこと露ほども思っていないことは明らかである。いわば、「教師は聖職であるべきだ」という府教育委員会関係者の「幻想」「決めつけ」あるいは「願望」に基づき、「教師のくせに風俗嬢なんて許せない」という「処分ありき」の発想の下、今回の懲戒処分は決定されたのだと言えるだろう。

 個人的には、自分の借金を自己責任で返済しようという心がけ自体、決して悪いことではないと思う。教師であれば、教職員共済等での融資制度の利用だって可能であったであろうし、親や親族に泣きつくことだってできたのではないか。性質の悪い違法な金融会社からの借金であれば別であるが、まともなクレジット会社等であれば、最近はあまりアコギな督促はしない(できない)だろうから、複数の借入先からの借金を整理して少しずつ返済していく意思があるのであれば、個人民事再生等の検討もできたはずである。「借金返済」イコール「風俗嬢になること」というのは、あまりに発想が貧困というか幼稚である。

 この女性教諭に注文をつけるとすれば、「バイト先の風俗店あるいは常連客に、自分が現職の教師であるということを喋ってしまった軽率さ、あるいは脇の甘さ(そうでなければ、タレこみは起きなかっただろうし、教育委員会にバレることもなかっただろう)」である。あまり他人を信用するものではない。いまどきはシロウトでも簡単にメールやブログ、ツィッたー等を通じて世間に情報発信することができる。情報というものは必ず漏洩するものだと心得て、余計なことは何も喋らないようにしておくべきだったのだろう。

 次に思うことは、借りたおカネは返さなければいけないという心意気は立派だと思うが、上記のとおり、風俗嬢になる以外にもいろいろと合理的な選択肢はあったはずである。そういう意味で、この女性の世間の狭さとか常識の乏しさは致命的である。頼りになる相談相手がせめて1人くらいいれば、短絡的に風俗業に走るという選択は回避できたであろうし、せっかく就いた堅い職業を棒に振らずに済んだんだろうと思う。

 でも繰り返しになるが、安易に自己破産したりして借金踏み倒しを図ろうとするような輩とか、真面目に働こうともせずに生活保護を受給して恥じることのないような連中よりは、「自己責任」で何とかしようという心構えは評価できるし、個人的にはこういう女性は嫌いではない。

 府教育委員会も、実質的に退職に追いやって、臭いものに蓋をすることで本事案の決着を図るような安易な仕事をせずに、他のやり方だったあったのではないのか。

 僕ならば、風俗店は辞めさせた上で、他の学校に転勤させる。おカネで苦労した経験を活かして、生徒に金銭教育など教える機会を与えても良かったのではないだろうか。
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