夢の中、ぽっぴんHは早口でまくしたてた。
「わたしは一日も早く死にたいんだよ!」
それで目が覚め、数秒のうちに眠くてまた寝る。別の夢が始まった。
わたしは無能な司令官で、3,840億円の損失を出した。敵は4,500億の赤字だったから、こちらが勝っているとも言えた。しかしもう終わらせたかった。膠着している前線を見ていられなかった。若くて健康な兵士がどんどん死に、傷付き、不具者になっていくことがわたしには耐えられない。自国軍について、週あたりの死者は500人前後で推移中。
ぽっぴんH中将は、殺される覚悟で停戦協定に臨む。その旨を記した小さな紙を渡した。受け取った相手国指令部がそれを故意に隠せば、無期限停戦の約束が反故にされる。わたしは奇襲の恐怖に怯えた。死にたくないが、多くの人が無惨な姿になるのがもっとつらい。
幼児は首が切れていた。もうまばたきしない。その状態でも人間は生きるのか。将軍であるこの子の父親はピストル2発で(我が子の)両肩を打ち、腕を切り落とした。
「これで君を襲うことはないだろう」
死んでしまうじゃないか! ところが男児の生命は終わらない。それにしても首を失って生き続けるとはどういう仕組みだ。
「しばらくは体を動かすことができる。進む・止まる、この二つだ。訓練し、その体に弾薬を巻き付けて敵へと突進させれば有効だろう?」
参謀が答えた。首なし人間が無数にうろつく光景の中、ぽっぴんH中将は、
「地獄のようだ、これを作ったのはわたし達だ……。取り返しのつかない……世界を」
そうつぶやいて華やかなパーティー会場に向かう。
ワインとごちそうが振る舞われ、戦後世界についての協議が始まった。先ほどの停戦協定のあと両国の仲裁をしてくれる大国が親分の立場に。これから宗主国となる国家の大統領は、気まぐれで冷酷な男に見えた。パーティーの参加者は二晩のあいだ、この元首から屈辱を与えられ続ける。悔しさまみれになり、わたしは震えた。
すると地震が来て、ぽっぴんH中将は警戒した。会場の使用人から大いに笑われる。
「この建物は安全ですのに!」
「地震が怖くて、なぜ悪い!」
わたしは激昂して、叫んで目覚めた。
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