朝方まで降っていた雨が止み、まるで春のような暖かさになった。
「かなりの雨が降ったから畑仕事はできないし、午後からどこか行かない?」
「どこがいいかな。」
「浦神は?前から行きたがっていたでしょう?」
1時半頃に家を出る。
「今日は五郎は置いて行こう。」
「そうね、ちょっと暑いから昼寝していたほうがいいわね。」
だが、車に乗ろうとすると、五郎はこっちをじっと見ている。
「やっぱり、五郎も行きたそうよ。」
結局五郎も連れて行くことにした。
車に乗った五郎は嬉しそうだった。
浦神半島は那智勝浦町の串本よりにある小さな半島だ。
国道から見ると、海沿いには家が立ち並ぶが、その背後は標高100mくらいの低い山になっている。
ネットで見るといくつか山道があるようだ。
半島の外側には面白そうな岩がいくつもあるようだ。
浦神湾の海沿いの道に車を止めて歩き出す。
集落の終わりのお墓の横から山道に入る。
人工林を抜けると、照葉樹林の森になる。
五郎が横にそれると、「五郎!!カモン!!」と呼ぶ。
すると、五郎はそばに戻ってきた。
相方がびっくりしている。
「この前ちょっと練習したのよ。」
とはいえ、いつもすぐに戻ってくるわけではない。
それでも、「五郎!!カモン!!」と呼ぶと、いつの間にかそばに来ている。
ちょっと賢くなったようだ。
山道には時々テープがついている。
また、分岐にはブイがぶら下がっていて、矢印と地名が書かれている。
いかにも漁師町らしい標識だ。
だが、そこに書かれている地名は地図に書かれている地名ではない。
地元の人にはわかる名前なのだろう。
尾根に上がってしばらくしてから対岸に下りる。
そこには静かな浦神湾とは対照的な荒々しい海が広がっていた。
変わった形の大きな岩がある。
しばらく海岸を歩いたが、3時半を回っていた。
4月並みの暖かさだが、実際はまだ2月初めで日は短い。
また今度朝から弁当でも持ってゆっくり来ることにして、来た道を戻ることにした。
2時間ほどの散策だったが、やっぱり自然の中を歩くのは気持ちがいい。
海のすぐそばの山道。
南紀は至る所に素敵な自然が溢れている。
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