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2012年07月23日09:41

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憧れの南ア南部 赤石岳〜荒川三山ー1

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午前1時、車が家に近づく。
あれ?電気が点いている。
車を止めると、家から相方が出てきた。
「随分早かったね。」
「うん、寝ないで運転してきたから。」
テーブルに着くと、冷蔵庫からサラダを出してくれる。
びっくりした。
冷えたワインで乾杯してからサラダを食べる。
山から帰った後はうちの野菜が一番のご馳走だ。

「あんな天気で大変だっただろう?」
「うん、でもすごく良かったよ。」
相方は若い頃南アルプス南部が好きで何回か登っている。
地図や写真を見ながらこの4日間の話を始めた。

7月19日

予定では午後に畑薙第一ダムの駐車場に着いて椹島に泊まるつもりだったが、ほとんど仮眠をしなかったので、朝一番の7時半発の臨時バスに乗れた。バスでは若い女性が隣に座った。彼女は千枚小屋に泊まって、荒川三山、赤石岳、聖岳と縦走すると話した。私は、椹島に泊まれば千枚小屋に行くつもりだったが、朝のバスになったので、千枚小屋より早く着ける赤石小屋に行くことに予定を変更していた。バスの中では山の話に夢中になった。

椹島で彼女と別れてから、赤石岳への急登を登り出した。すると、30分もしないうちに喉がからからになってきた。バスの中でしゃべりすぎたからだと気づいた。寝るつもりだったが、それもしなかったから眠気も襲ってきた。ポカリを飲んでちょっと横になって目をつぶった。心臓がドキドキしていた。呼吸がすごく速かった。深呼吸を何度もして息を整えた。
足音がして目を開けた。一人の男性が「おはようございます」と声をかけて登っていった。荷物はそれほど大きくはなかったが、その足取りはゆっくりと確実だった。
そうだ、荷物が大きい時はもっとゆっくりと歩かないといけないんだった。ついいつもの日帰りの調子で歩いていたんだ。
男性が通り過ぎてから、私もゆっくりと一歩ずつ歩き出した。少しすると、その男性が休んでいた。後に飯塚さんと名前を知るその男性とは、抜いたり抜かれたりしながらほぼ同じ速度で同じコースを歩くことになった。

梅雨明け宣言直後の空は青く澄んでいた。だが、強い日差しは樹林がさえぎってくれていた。時折吹く風は心地よい。赤石小屋への道は地図で見るほどきつくは感じなかった。アルプスの尾根道の登りはジグザグにつけられている。大峰や台高などの紀伊半島の山の道は短いけど直登だからもっときついなと思う。

午後2時15分に赤石小屋に着く。椹島から5時間半で着いた。
小屋の前からは、明日登る予定の赤石岳が大きく見えた。その左には聖岳が美しい姿を見せている。初めて間近で見る南ア南部の盟主の姿に感動する。

ビールを飲んでからテントを立てる。まだ誰もテントを張っていないので、一番良さそうな場所に張る。
早めの夕飯を食べてから、小屋の裏の展望台に行く。すると、小屋の前からは見えなかった荒川三山の悪沢岳がその姿を現していた。
赤石岳、聖岳、悪沢岳、一つ一つがとても大きい。これが南アルプスなんだ。

6時過ぎにはシュラフに入った。どうやら今夜のテント泊は私だけらしい。だが、テントに入ってしまえばそんなことは気にならなかった。以前白山の大倉山避難小屋に一人だけで泊まった時は変な夢を見て金縛り状態になったが、テントだと自分だけの世界に入れる。

だが、9時過ぎに目が開くとなかなか眠れなくなった。明日の行動を考える。明日は天気が崩れるようだ。雷雨になりそうだとごろうさんがメールで知らせてくれていた。3000mの稜線歩き、雷雨の中を歩くのは嫌だ。今夜から降り出すのだろうか、明日の朝から降るのだろうか。赤石岳避難小屋までは行けるだろうか、このままここで停滞なんてことになるのだろうか。いろいろな考えが浮かぶ。それでも、いつの間にか眠りに落ちる。また目が開く。10回くらい時計を見た。天気が良ければ暗いうちから歩き出そうと3時前にアラームをかけたが、結局は成り行きに任せようとアラームは止めてしまった。

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聖岳

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赤石岳

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悪沢岳(荒川三山)


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