最後の教会めぐりを済ませ、ホテルに戻って休息した後にカール教会で行われる、モーツァルトのレクイエム・コンサートに出かけました。このコンサートは、観光客向けに毎週土曜日に行なわれているものですが、今回の旅行の中で一番でした。
カール教会に来るまでの道のりは雨です。会場の入り口に到着した時には、門の前に人だかりが出来ており、今か今かと開門を待っている状況でした。10分位待ったでしょうか、門は開かれました。中に入ると暗い教会の中ですが、教会の祭壇部がステージとされており、その部分が明るく照らされて幻想的な雰囲気を醸し出しています。カール教会は中が円形断面の広い教会でした。そんな内部に、天井画の改修のために組まれた足場があるために、細長く客席が配置されています。教会の礼拝用の席を使用しており、1席の前後方向も広いです。客席の長さは、大ホール並みの距離があると感じました。しかも天井の高い大空間です。マイミクさんがこのコンサートを聴いたときに「真ん中付近に座ったら音が小さく感じた」と言われていたのが良く理解できました。
座った座席は、最前列の中央付近です。上の話を聴いていましたので、事前にリクエストをしておいたものです。この位置からコンマスまでが約5m、合唱までが約10mと自分の好みからするとベストな距離感でした。教会のこの雰囲気、ライトアップによる演出などから自然と気分は高まってきます。いけそうな雰囲気とでも言えばよいでしょうか。雰囲気の良い場所では、食事がよりおいしく感じるのと同様に、心惹かれる場所で聴く音楽は、きっとよいはずだと思えたのです。
演奏が始まると、この直感がジャストであったことを実感します。演奏は20名程度の小編成オケが古楽器で演奏し、4名のメインと10数名の合唱の小さな編成によるものでしたが、教会の音響に助けられてか、フルオケ並みのスケール感です。古楽器の素朴で澄んだ音が教会の響きを伴って、とても心地よい音色に感じます。好きな曲だったこともあると思います。教会に興味を持っていたこともあると思います。そんなことも含めて至福のときをすごせたようです。
帰りには、先ほど聴いた音を思い浮かべながら帰路につきます。ふと気がつくと「よかったな〜」と何回もひとりごとをつぶやきながら、行き先とは違う方向に向かって歩いていました。
-5月5日、現地時間 19時ホテル出発
同日 現地時間 21時終了
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