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2012年04月06日22:35

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知りたがりの追及派(2/2)

 案内者は遠くに離れて、ぽっぴんH達の監視を中断中だ。わたしは美人の肩を激しく叩いて耳に叫ぶ。
「写真写真! 撮れ写真!」
「えっ、なになに!」
「あそこ、あれ“PAC3”、ほらパックスリーだから!」
「えっ、爆睡、爆睡??!」
「パッックスリーって! いいから早く撮れっつの、桜の中の緑の筒!」
「うん!」
「3枚撮れ」
「ん」
「撮れた? 撮れた?」
「撮れたと思う!」
「見せて」
「こう」
「やった!」
 彼女のデジカメは、撮影に成功した。
「それ送ってお願い、今日かあした」
「うん、わかった〜」
「ありがと!」
 あとは「禁じられた発言」であるかのように、“PAC3”の話は一切なかった。
 その後は案内者の家に行き、まずめのごはんを振る舞われ、義理で食べて帰った。わたしは、彼女と2人だけで話したくなった。
 コーヒーショップで1時間ほど語ったあと、車に乗せて、拾った駅には向かわずに、彼女の帰る方角へ小1時間走った。その中でわたしは、
「友達になりたい」
とつぶやく。彼女も同意した。
 渋谷で降ろす。美人はバッグからいちご大福を取り出して、ぽっぴんHにくれた。朝作ったという。ブログのURL を訊ねることなど、まったく忘れている。向こうは写真を送って来なかった。

 彼女との仲が強固になるにつれ、わたしは彼女の秘密(具体的には不倫)に気付いた。それは終わった話かもしれない。黙っていればよかった。でも相手はわたしのカレ(A男)の同級生(B男)だったし、「わたしのカレ=A男」がわたしと付き合う直前に、彼女に高い関心を寄せていたことをわたしは知っている。牽制しなければならないと、強く感じた。「B男とは好きにすればいいが、こっちまで手を出してくるな」と。
 したがって、美人とB男の関係をわたしが知らないと、彼女は思うべきでない。細かくは問わないにせよ。
「B男が今、誰とどうあるか、あなたは気にするね。『その後』に敏感になる心理って女の習性だろうか」
 彼女の顔がひきつり、青ざめる。不倫を認めた瞬間だ。
「まぁいろいろありまさァね、B男は有能だし、魅力を知れば、わからないではない。でも『連れ』がいながらそうなるべきではなかった。わたしはこれ以上問題にしない」
 美人は身動きしなくなり、整わない息を苦しそうに続ける。わたし達は以降、急速に接触を避けるようになった。

 あれから3年が流れた。今、SNS で「友達かも」とほぼ毎日表示される。

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