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2011年11月08日06:45

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TPPまとめ-3

 TPPについての俗論とそれに対する反論その3。
その1はhttp://mixi.jp/view_diary.pl?id=1787939957&owner_id=2129235
その2はhttp://mixi.jp/view_diary.pl?id=1790825411&owner_id=2129235

 ●『交渉途中で抜けられるのか情報が混乱してるぞー』
 → 確かに、このあたりの情報や見解が錯綜しているけど。まとめると、下記のようなことだと思います。
  ・ 理論上、離脱は可能。なので、交渉術として「自分の要望が容れられなけ
   れば離脱するぞ」と言って交渉するのが当然
  ・ 逆に、ごねられたくないアメリカは、当然「途中離脱するなんて許さん」
   と言うでしょそりゃ。
  ・ 逆に、他の交渉参加国は、アメリカのごり押しに対抗したいので、「イヤ
   なら途中離脱して良いですよ」と言っている。
  ・ 対中経済ブロックを作りたい官邸(総理)や、日米関係を外交の基軸にして
   いる外務省(玄葉外相)は、離脱に消極的なことを言うし
  ・ 条件闘争をしてより有利な交渉をしたい党(前原政調会長)などは離脱に
   積極的なことを言う
というだけ。離脱は出来る、でも離脱せずに交渉をまとめたい、でも理不尽な要求は蹴りたい、と。

 また、以前も書いたけど、そもそもTPPは条約なんだから、政府が合意しただけでは発効しない。韓国で今韓米FTAでもめてることからも分かるように、国会が批准しなければ発効しないのだから、現段階で恐れるのはまったくオカシイ。どうしてもイヤなら、国会批准の段階で反対すべき。


 ●『米国は、日本の参加を認めるのに時間がかかると言ってるぞー』
 → 笑「TPPは米国の陰謀」なんだったら、サッサと認めるデショ、矛盾してる。。。下記の通り駆け引きなんであって、100%真に受けるべきでない。米国にムカツキ米国を牽制したい他の参加国は日本の参加を待ちたいし、対中経済ブロックを作りたいアメリカは日本に早く参加させたいのだから。あんまり時間をかけすぎると、待って貰えなくなるけど。


 ●『参加しても、経済効果は小さいぞー』(以前、2で書いたことの補足)
 → 半分本当。でも、参加しないと経済にマイナスで、税収減で農業などへの補助金継続も難しくなる。それが、TPPに参加すると農業への補助金を継続してもプラスになるのだから、それだけで充分大きいと見るべき。


 ●『2国間交渉でやるべきだー』(以前、1、2で書いたことの補足)
 → 大国のワガママを封じるには、多国間交渉の方がずっとオトク、有利。日本が中国と交渉する際、豪州や印度を枠組みに加えよう、としてきたのはそのせい。かつて米国のワガママをEUなどと連携して押し返したこともあるし。それと同様、日米FTA/EPAなんかよりTPPの方がトク。


 ●『「遺伝子組み換え大豆」などの表示が無くなる可能性があるんだー』
 → 仮にもし表示が無くなったら、それこそ、気にしていた人は国産品を買うデショ。生産者責任(PL)がヤカマシイ米国が、生産者生産国を隠せ、と主張するとは考えられないから、生産国表示は残るワケだし。


 ●『輸出には円高の方が影響大きいんだー』
 → それを言ったら、農産物の一部の輸入もそう。果物とかね。意味不明な主張。経済には、下記の通り、色んな要因すべてが関係する。


 ●『TPPなどで日本を変えると農業や医薬などがダメになるんだー』
 → これ逆で、変えなくってダメになりつつあるよね。

 例えば農業。下記の通り、農業従事者平均年齢は66.1歳、ウチ65歳以上が59%(つまり、今の農家の6割は、TPPが発効する頃には75歳以上なので、生産農家としては引退している人が多いハズ)。40歳未満の若手は、わずか5%しかいないのだから。

 例えば医薬。下記の通り、医薬は大幅な輸入超過、日本の製薬業界は遅れている。ドラッグラグのおかげなど?でなんとか保っているけれど。でも、そのせいで、本来助かるはずの人命が、間接的に犠牲になっていたりするわけで...(開放すると薬害が生じる虞もあるけどね)。

 じゃ、こういう状況をどうするの?と言うアイディアが、TPP反対派に見えない。補助金(農業に限らない)で安全措置を講じつつ、得意分野を磨き輸出もして、苦手分野は輸入を増やす、というのがTPPなど自由貿易の発想だけど。これに対抗するアイディアは?

 TPP反対派の方々は「ジッとしていれば、昨日と同じ明日が続くんだぁ」と思っておられるのかしら。私には「ジッとしていたら、明日はない」ように見えるんだけど。下記の通り、国を閉じて江戸時代化するには準備不足だし。今のままでは、日本の農業は絶滅してしまう。貿易自由化もせずに補助金を出し続けようにも、日本の財政は破綻寸前なのだから、早晩無理になる。


 ● 最悪のシナリオは。
 → TPPに参加せず、アメリカや中国と2国間交渉をやるハメになることだと思いますよー。日本の外交力では、韓国以上に押されまくり、日本にとって不利な条件を押し付けられると思うから。

 特に、中国との交渉は危険。TPP無しでイキナリ中国と交渉するなら、巨大市場と資源を餌に押されまくるに決まってる。

 米豪産牛肉が入ってきても国産牛肉と棲み分け出来るけど。労働集約的農業が出来る中国から国産牛に似たサシ入り牛肉が入ってきたら、国産牛はやられてしまう可能性があるし。TPP参加国は遠いので持って来づらい生鮮野菜類も、中国からなら船便で運べるかもしれないし。

 かと言って、FTA/EPA系を制限し続ければ、日本の各種産業は衰退し続け、農業などに対する補助金も出せなくなるでしょうし...


------- 以下、日々の報道に関する感想 -------

 29日東京夕刊。TPP第9回拡大交渉会議が閉幕。USのワイゼル首席交渉官は「真剣に結論を出すつもりのない国は参加しないで欲しい」と日本側の中途撤退論を牽制した。それに対してチリの主席交渉官らは「満足出来ないなら交渉から出れば良い」と中途撤退に理解を示した。

 駆け引きが、日本の参加前からもう始まっている。日本が「自分の言い分が通らなければ脱退するもんね」と言い出すのを防ぎたいアメリカと、アメリカに対抗するために日本を利用したい他の国々と。

 そう言えば、エコノミスト誌コラムによると。TPP協議参加各国で米国警戒感が広まっているとか。マレーシア、ニュージーランド、シンガポール、オーストラリアなど。米国が秘密交渉したり自ら望む制度をごり押ししたりすることへの警戒。なので、米国以外に経済大国が加入することで、米国への牽制としたいのかも。

 そんな中、産経webによると。鹿野農水大臣、総理のTPP方針に理解を示した。
   http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111101/stt11110114030005-n1.htm
与党の議論が収束に向かいつつある?それとも予定の行動?




 2日web東京。米通商代表部(USTR)の高官が、日本の参加を認めるには米政府・議会の非公式な事前協議が必要で、参加決定に時間がかかるため「受け入れが困難になりつつある」と言っていたことが判明。
   http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011110290070328.html
米国では通商規制権が、憲法上、行政(大統領)ではなく議会にあるから、出てくる話。でも、日本がゴネて条件闘争するのを防ぐための駆け引きでしょう。米国だってTPPの一参加国に過ぎないのだから。日本の参加を認めるのは、参加各国であって、米国一国ではない。




 週刊朝日田原コラム・辛坊コラムから抜粋。
  農業従事者平均年齢   66.1歳
       65歳以上  59%
       40歳未満   5%
  → 75歳までで生産農家を引退すると仮定すると、TPP
   発効時には現在の農家の6割がいなくなることが分かる。

  カロリーベース自給率 約40%
  価格ベース  自給率 約70%
  → まぁ、どちらを採用すべきか?は単純ではないけどね。

 これらを踏まえると、TPPの代償としての戸別所得補償は、
   ・ 兼業農家(農業以外の職が正社員で年収400万円以上ある場合、
    とか制限を付ける)には支給しないか減額する。
   ・ 65歳以上の(つまり年金で現金収入が別途補償されている)
    小規模農家にも支給しないか減額する。
などの制限が必要かも。




 池田信夫コラム。「農水省がTPPに反対するのは、小麦の輸入関連などでの天下り利権を守りたいがため」だそう。ふーん?
   http://agora-web.jp/archives/1399407.html
また、「日米交渉の実態は、経産省vs農水省」とも。むー。
   http://agora-web.jp/archives/1400555.html




 アメリカのTPP推進派事情。陰謀論が入ってる。
   http://gigazine.net/news/20111104_tpp_mastermind/




 5日読売。経産省によると、自動車業界がTPP交渉国に2010年納めた関税は1300億円以上。同業界の営業利益1兆1千億円の1割以上とか。




 5日読売。政府は質問主意書回答で「TPP交渉参加後の離脱は、必ずしも排除しない」とした。

 なお、5日朝日によると。玄葉外相、TPP交渉参加についてのUS国内事前協議、90日+2〜3ヶ月かかる可能性を指摘。交渉次第で短くなる可能性も指摘。




 日経ビジネス誌。農水省の予測する「TPPに参加すれば日本に700万トンの外米が入ってくる」について。ウチ400万トンはアメリカ産米だとするが、アメリカでのジャポニカ米(日本風の短粒米)生産は30万トン。増産してもせいぜい100万トン以下だろう。さらに外米の価格は57円/kgを仮定するが、これは中国米が安価だった頃の値で、今は中国米も160円/kgする。しかも中国はTPPに参加しない。

 また、アメリカの輸出対象は、日本が5%なのに対し、日本以外の交渉参加国の合計は7%、日本より大きい。日本向け輸出のウチ農産物や食料品が占める割合は18%で、アメリカの輸出総額の1%にしかならない、と。

 米国が日本を狙った陰謀だ、とする論の危うさ。




 日経ビジネス誌。日本経済六重苦は、貿易自由化の遅れ(TPPはこれに含まれる)、円高、高い法人税、不安定で高価な電力、温暖化ガス排出規制、労働規制、の6つだそう。

 → それに加えて、今は東日本大震災と原発事故、ユーロ危機、タイ大水害もあるし、政治の不安定もあるよね。日本の輸出を増やすには、なので、TPP"だけ"では不十分。でもTPPも必須要素。




 6日毎日、斎藤環(精神科医)コラム。歴史人類学者のトッドもラカン派マルキストのジジェクも、ともに「資本主義と自由貿易を組み合わせると、さらなる格差化を招き、今の中国の様な社会になる」と指摘。対策として、トッドはプラグマティックな保護主義、ジジェクはコミュニズムへの回帰を主張しているんだそうな。斎藤自身は、トッド支持、つまりTPP反対。

 いや、それって「技術だけ高度な江戸時代化」だよねぇ。貧しくつましく、地産地消と最低限の貿易で生きて行こう、という。

 エネルギー自給と世界平和と(さらに、日本の人口がもっと少なければ)があればそれも可能だけど、今すぐはとても無理。隣の超大国・中国が、黒船となって日本近海や島々を荒らし回るでしょうし、今すぐエネルギーは自給出来ないし。

  ※ 長期的には、そういう世界も魅力ある。けど今後最低数十年は無理だと
   思う、と言うこと。私の子供の頃からの夢、地球上の人類を数億人にまで
   減らす、というのはそういう世界に近い。



 7日読売。医薬は2兆円、医療機器は6千億円の輸入超過だとか。これが製薬業界がTPPを恐れる理由の一つ。ドラッグラグなどを見ても、日本の製薬業界が国際的には実力不足なことが良く分かる。
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