電気は文明そのもの

今回の原発事故で、当然のごとくで原発全廃論議が広がってますね。
マイミクさんにも、そう主張している人が多数います。

気持ちは物凄く分かります。
でも、実行可能か？という点になると困難を極めます。
むしろ、無理だろうなとしか思いません。

現在の原発依存率３０％。
そして、今より３０％電力消費の少なかった時代は1985年。
なんだ、そんなに難しくないじゃん。
そう思える人もいるかもしれません。
でも、無理です。

なぜって、個人の行動を個人の自由にさせている限り、自ら大局の為に
利便性を手放す人間はあまりにも少数であって、個人それぞれの行動の
結果は電力消費の削減とは全く逆の方向を向くのはあまりにも明白。
現在、電気とは文明そのものと言っても良い訳です。

じゃ、どうすれば良いのか？

個人の自由や権利を剥奪するしかありません。
電力は配給制にして、消費制限をかける。
少なくとも、原発の代替エネルギー環境が整って行くまでは、それを
耐え続けるしかありません。
ついでに、言っておきますが、電力の個人消費なんて全体の3割です。
多くの産業において電力制限による減収、そしてそれに伴う首切り、そして
それによって失業率の上昇などなど、副次的な問題も発生します。

それでも、国民が望むならば、民主主義は「賢明な政策選択装置」というより
「数の暴力によるマイノリティー迫害装置」に過ぎない事を受け入れて
国民投票でもするべきです。
今なら、国民の総意に近い数字で原発全廃も可能です。
しかし、その結果は大幅なGDPの減少、失業者の増大、更なる景気の後退、
そして、政治不信による政情不安の構造的継続という国民自らが苦しむ
未来が待っています。

まあ、だからと言って、原発必要と言ってしまうと今の状況では世間を
敵に回しちゃいますね。
では、電力配給制ですか？

という事は、もちろん政府が全電力会社を国有化する訳ですよね。
そうなると、国の最大権力を握った巨大省庁の出現です。
どこに優先的に電力を配分するか、電力省(仮名)の役人の腹一つ。
電力省に顔の効く国会議員を選べるかどうかが、個人個人の生活水準をも
左右するという、恐怖の電力統制国家が出現です。

さて、そういう事を言うと、左翼プロパガンダを鵜呑みにした人に攻撃
されることになってます。
いわく、原発の建築費や周辺自治体への補助金などを全部使えば、日本中の
家屋に太陽光発電設備が設置できるだとか、そういう理屈ですね。
でも、残念ながら電力は総発電量なんて無意味なんです。
瞬間的な電力消費量をカバーできる発電能力を必要とします。
以前も日記に書きましたが、揚水発電なんていう電気が余ってる時にダムの
上に水をくみ上げておいて不足時に放水発電するなんていう非効率の極みな
マネをしないと電力を保存する事が出来ないんです。
まして、太陽光発電なんて、設備寿命やメンテナンス費用による派生の
諸費用を計算していないという洗脳プロパガンダです。

そこで、電気代をあげれば良いと、そういう方がいらっしゃる。
まあ、個人はまだしも製造業にとっては経費の大幅増は飲めません。
そういう事を言えば、左巻きの人々は「経済界に言いなりの日本の政治家」
なんていう批難を声高に叫んでくれます。
ですが、企業は営利団体です。
利益を出す事を最大の存在理由としています。
利益が出ないならば、海外移転も仕方がない訳です。
でも、そうなれば日本国内の雇用が失われます。
工場ひとつが日本国内から出て行けば、その従業員のみならず、その従業員の
生活を支える為の町の機能としてのサービス業も衰退します。
工場での1000人の雇用は家族や地域で数千人の人々の暮らしを支えています。

雇用を生み出す事は困難で、雇用を失うのは誤った政策一つで十分です。

それとは別に、安全保障の問題。
日本がなんで原発にこだわるのか？
そこを歴史をひもといて考える必要があります。
そもそも、太平洋戦争はなぜ起きたのか？
ま、このあたりは左巻きの人の思い込みによる間違った歴史認識がある限り
絶対に平行線をたどることになりますが、、、

日本が世界のパワーバランスを崩したことが原因です。
すなわち、西欧列強による世界中の植民地化に対して西欧諸国に対抗しようと
した事が原因です。
これをもって、世界秩序を壊した日本人＝日本人悪というのなら、そういう
考え方もあるかもしれません。
ですが、植民地の人間は下等人類として家畜並みの扱いを受けていた当時の
世界秩序を善とするのなら、左巻きの人々はきっと白人なんでしょう。
しかして、日本人は植民地化の恐怖を乗り越えるために自らも列強入りを
目指しました。
もちろん、その列強化の過程において日本人がその支配下の国々において
非人道的な行いを全くしなかったなどと能天気な右翼思想はもってませんが
だからと言って、日本人が西欧人と比して非道の限りをつくしたとは、
まるっきり思っていません。
むしろ、日本人統治の方が西欧列強統治時代よりも望ましかったと語る
東南アジア諸国の人々がいることを忘れてはいけないと思います。

さて、そんな訳で西欧支配の秩序を壊した日本は孤立し、有名なABCD包囲網に
よって兵糧攻めにあう訳です。

資源を持たない日本。
座して死を待つか、それとも運命を命をかけて切り開くか。
そういう状況に追い込まれました。
ちなみに、日中戦争は日本軍の愚行ではありますが、じゃ、日本が行かなきゃ
他の西欧列強の植民地とされて、日本はまさに孤立無援で閉じ込められる
そんな恐怖におびえていたという事をお忘れなく。
で、それは決して被害妄想というほど荒唐無けいな予測ではありませんでした。

そういう日本の歴史の関係上、日本は多角的なエネルギー確保をめざす国策が
あります。
特に原発に傾いたのは中東戦争をきっかけとしたエネルギーショックですが
やはり、日米安保という事実上の植民地化(左翼運動の最大テーマ)に対し
潜在的な核武装能力という布石が必要だった事も忘れてはいけませんね。

日本は平和？
とんでもない！
以前だってアメリカの植民地として搾取され、今は中国ロシアに狙われ、
何だか知らない間に朝鮮人にまで内部から浸食されています。
世界は見る間に形相をかえて行っている真っ最中です。
戦争という未来はありえないと言い切れる人間は愚かです。
真っ当な人間はいかにして戦争を回避しうるかを考えるべき状況です。
かといって、戦争しない為には占領されれば良いに至っては、議論の余地も
ないほどに愚かです。

まあ、そんなこんな長々と書いてしまいました。

電力。
簡単じゃありません。
それでも、原発を廃止しようと思う人が一杯いるのは当然です。
むしろ、エネルギーを使わない方向での社会の再構築は必要不可欠ですし
私は原発廃止論議は必要だと思います。

でも、こういった背後関係までを全ての人が考えて欲しい。
かわいそうだから。
こわいから。
そういう「感情」だけで思考を停止するのは止めて欲しい。
そういう「感情」だけで物を考える人間は、その善意を利用する人々に
とってあまりにもカモだから。。
そう、自分自身の為に、もうちょっと深く知り、もうちょっと深く考え
そして、よりよいと思う未来は何なのかを周りと話してもらいたいです。

そうやって人々が本当に考えた上での原発廃止ならば、私は賛成です。