〈薬の効果に関しまして〉
わたし：たしかに言えるのは、苦しさや咳払いが５〜６割低減しているっていうことです。
お医者：嬉しいではありませんか。
わたし：そうですとも。しかし１４日間で１０日分の処方はなぜですか、毎日正しくのむと足りなくなり、常に残量を見張っていなければならず……。
お医者：計算上は４日間のめないことになりますね。
わたし：不安で仕方ありません。これは新種のストレスです。
お医者：そう焦らずに、心を穏やかに保つことこそあなたにとっては肝要なのではないでしょうか。
わたし：それができれば苦労しませんっ。
お医者：しかし今、そう怒っているとき、全然苦しそうに見えませんね。
わたし：ハッ！ まったくそうです。平生よりむしろ（症状が）落ち着いているくらいです？！
〈薬の切れている時間に関しまして〉
わたし：薬をのんでいないとき、前よりむしろ苦しさがひどくなりました。
お医者：それは薬が効いていることで相対的にそのように感じるのではないですか？
わたし：さようです。しかし胸の詰まる感覚は際立ってしまいました。薬の二面性を見た思いです。
お医者：何事にも長所と短所があります。
わたし：この液体がたいへん強大に見えます。ちょびっとの量のくせに。
お医者：薬の薬たるゆえんです。
わたし：あなどってはいけませんね。
お医者：ですよ。
わたし：必要なんだけどにくたらしい、みたいな。愛憎、表裏一体。
〈薬をのむタイミングに関しまして〉
わたし：（薬に向かって）今、のみどきでしょうか？
お薬瓶：……（無言）。
使用人：薬に意思はありません。
わたし：わかっとります。残量を見ていただけです。本当はあとでカップを洗うのが面倒で、その手間を思ってちゅうちょしていたのですっ（あなたわりと仕事を選びますしね）。
使用人：えぇ。
（続くかもしれません）
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