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2010年03月25日17:50

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カラヴァッジョ 天才画家の光と闇

銀座でやってる『カラヴァッジョ 天才画家の光と闇』を見てきました。何か、サービスデーだったらしく、1000円で見られた。場所は、銀座の、何だっけ、ほら、あの、『ル・テアトル銀座(劇場)』があるところと同じビルの映画館(説明が長いっ!)でやっていたのだが、この映画館、指定席なのね。全席指定なの。指定席の映画館て初めて来たよ。どうやら5日前から、好きな席が取れるらしい。

で、ちょっとネタばれになる部分もあるかもなので、これから見るよ〜とか、そう言う方は、これから先、読まれない方が宜しいかと思います。

ストーリーは、もう、そのまま、画家カラヴァッジョの生涯(生涯と言っても、彼は38歳で死んでいるから、38年間が生涯なのだケド)を描いたモノ。
冒頭、熱病のカラヴァッジョが、船上で今までの人生を回想するシーンから始まるのですが、ミラノから、ローマに出てきて、男の愛人と住んで、良い絵を描いて、暴力事件起こして捕まって、娼婦に恋して、その娼婦をモデルにスゲエ絵描いて、暴力事件起こして捕まって・・で、殺人起こして、マルタ島に逃げる・・・と言う。

まず、吃驚するのが、絵のモデルに似た役者さんを探して来たのか、本当に絵に似てる人が出てきて「あ、あの絵のモデルさんだ、この人。」と分かる。
1番吃驚したのが、ボルゲーゼ枢機卿。ボルゲーゼ美術館展で、ベルニーニの彫刻見てきたばかりだったから「あ、ボルゲーゼさんだ!この間、見た人!」と思ってしまった。

ただ、カラヴァッジョがイケメン過ぎて、最初、「カラヴァッジョ、こんなイケメンじゃねえよ!」と思ったのですが、コレは見てるうちに慣れました。

正直、ちょっとカラヴァッジョを美化し過ぎて作っちゃったかなぁ〜とも思った。
殺人事件も、どちらかと言えば、相手方も悪い・・と言う描き方だったし(賭けテニスではなく、自分の彼女に怪我させたから(しかも、顔に)、カラヴァッジョはカッとなって決闘を申し込んで殺した・・になっていた)、他の暴行事件も、相手が挑発したのも悪いんだよ・・と言う風に描かれていたので。
でも、それは、作り手が、どうカラヴァッジョを見ているか・・と言うコトなので、私の中のイメージのカラヴァッジョと齟齬はあったが、イヤではなかった。

賭けテニスは出てこなかったケド、テニス勝負をするシーンは出て来る。で、吃驚したのだが・・・17世紀のテニスって、手にミットみたいなモノ嵌めて、そのまま手で打ち返すのね。ラケットないんだ!って思った。

あと、マリオ・ミンニーティが良い人過ぎた(笑)。
マリオ・ミンニーティって、画家でして、初期のカラヴァッジョ作品(『果物籠を持つ少年』や『トカゲに噛まれた少年』)のモデルもやっていた青年なんですが、最初、カラヴァッジョと同居してた同居人でもあります。で、確か、カラヴァッジョが、マルタ騎士団を追われ、シチリア島のシラクーサに逃げた時に、匿ったりもした・・まぁ、お友達兼男の愛人って言うコトなんでしょうが。

「コイツ、こんなに良い奴だったのか!」と思ってしまったよ(笑)。いや、残ってる資料(私が知ってる資料)によると、ミンニーティも、カラヴァッジョに負けず劣らず、ヤクザな性格だったらしく、カラヴァッジョの死後、故郷に戻って、やっぱり、殺人事件を起こすらしいんだが、カラヴァッジョと違って、幸せな結婚をして、家庭を築いて、画家としても成功した・・と言う、カラヴァッジョと似たり寄ったりの、人間的にダメ人間っぽいのに、人生の帳尻合わして、幸せになっちゃって!みたいな人・・だったのですよ、私の中で。

でも、映画のマリオ君たら、「ミケーレ、ミケーレ(カラヴァッジョのコト。本名、ミケランジェロだから、呼び名がミケーレ)」言って、何か、カラヴァッジョが怪我したら献身的に介護してやって、カラヴァッジョの為に、何か色々手をつくしてくれて・・「マリオ、オマエ、良い奴だったんだな!」と、映画見てて思ってしまった。

余談だが。マリオとカラヴァッジョがデキてる設定だっての、マリオが逃げる時、カラヴァッジョとキスするまで気が付かなかったよ!気付くの遅っ!
「あ、だから、『ミケーレ、ミケーレ』言ってたのか。」と。
てか、映画のマリオ君が、あまりに良い奴で「オマエ、良く、コイツと友達になれたなっ!何だ、カラヴァッジョ、オマエ、凄いテクニシャンか何かだったのか?」と思ってしまうコト度々だった。

救護院で、カラヴァッジョが治療を受けて、その時、ミンニーティをモデルに描いた『果物籠を持つ少年』があって、その横でロンギ(後にカラヴァッジョの友達になる、やっぱりキレやすい若者)が治療受けていて「何だそれは?その女は何だ?」と言って、「女じゃない。男だ。」と言い、それを聞いたロンギが「ふんっ。男色の芸術家か。」と言った後に、カラヴァッジョが「ニヤリ」とするのがスゲエ好きだった。
うん。私の中のカラヴァッジョって、こんな感じ。

余談だが。2001年の『カラヴァッジョ展』の時、ミンニーティの絵も来ていたので見ました。

あと、高級娼婦のフィリデちゃんと、コロンナ侯爵夫人が恰好良かった。特に、コロンナ夫人!綺麗だし、何て良い奴で、恰好良いんだ。映画では、カラヴァッジョは、この夫人を子供の頃からずっと愛していて、それで結婚もしなかった・・という体になっていた。そんな純情一直線な奴だろうか?カラヴァッジョ。でも、それも良し!

コロンナ夫人は、カラヴァッジョの庇護者ね。
フィリデちゃんは、カラヴァッジョの絵のモデル(『ホロフェルネスの首を刎ねるユディト』とか)を良くやっていた娼婦。映画では高級娼婦になっていた。

絵を描いてた時、可愛い少年がお手伝いをしてて「ミケーレ」って呼んでたが、おそらく、コレが、チェッコなんだろうね。チェッコは、カラヴァッジョのお手伝いさん兼モデル兼やっぱり、まぁ、愛人っぽい人。カラヴァッジョが連れ歩いてた時は、まだ10代だったらしい。『勝ち誇るアモル』のモデルだったとも言われている。チェッコは“小間使い”と言う意味らしいので、「カラヴァッジョの小間使い君。」くらいの意味なのだろう。

2001年の時の『カラヴァッジョ展』で、チェッコの絵も見た。師匠を一生懸命真似ました!と言う感じで、硬かったケド、一生懸命描いた絵だな・・って思った。

それに対して。もう、ズッカリと、バリオーネがスゲエ嫌な奴に描かれていて、カラヴァッジョと対比する為とは言え、ちょっと可哀想にもなった(^_^;)。

バリオーネは画家ね。パンフにはバッリョーネって書いてあるケド、バリオーネって書くね。
バリオーネは資料によると、カラヴァッジョを名誉毀損で訴えてます。どうやら理由は、バリオーネがカラヴァッジョの絵の技法を真似するので、怒ったカラヴァッジョが「オマエ、俺の絵の真似ばっかしやがって!バーカ、バーカ!」と公衆の面前で罵ったから・・らしい。

でも、映画では、バリオーネがカラヴァッジョを中傷して、カラヴァッジョが怒った・・というようになっていた。で、ズッカリの腰巾着のようなバリオーネ(笑)。ズッカリは当時の画壇の有力者ね。

因みに、私は、バリオーネの絵、好きです。

あと、もう、これでもか!と言うくらい捕まりまくるカラヴァッジョ。コレは、事実そうだったんだから仕方ない。
その度に、デル・モンテ枢機卿(カラヴァッジョのパトロン)に迷惑をかけまくるカラヴァッジョ。「ミケーレ!オマエ、大人になりなさい!枢機卿、そのうちストレスで胃に穴が開くぞ!」と思ってしまうコトしばしば(^_^;)。

17世紀のローマの感じが何か凄く良く出てた気がします。何が嬉しかったかって、カラヴァッジョが常に持ってる剣(映画では、昔、マルタ騎士団の騎士がくれた剣になってる)が、カラヴァッジョの描いた『いかさまトランプ師』の青年がさしてる剣とそっくりだったのが、何か凄く良かったです。「あ、あの剣だ!」と思ったもの。
小道具とかも良かったなぁ〜。

結構面白い映画でした。
私、デレク・ジャーマンの映画『カラヴァッジョ』は見たことないのだケド、こっちも見てみようかな・・・。こっちは、お耽美ジャーマンらしく、カラヴァッジョと同性愛がテーマらしい。私、寝ちゃわないかな・・・(^_^;)(私、あんまり、ジャーマン監督と相性良くないみたいで・・・)。

この映画は、心の中で突っ込みつつも、なかなか面白い映画でした。
で思ったコト。やっぱり映画は映画館で見なきゃダメだ。大きなスクリーンで良い音で見るからこその映画なんだな・・と、改めて、そんな当たり前のコトを思った。
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