[FT]ガス輸出大国ロシア、届かぬシベリアで大気汚染
2022年1月5日 14:58
ロシア・シベリアの都市チタのエネルギー会社で働くビタリー・ゴブリクさん(46)は市内を一望できる高台に立ち、幾千もの低い煙突が密集し急拡大する郊外を見渡した。ゴブリクさんが「住民は貧しさのあまり、石炭や木材だけでなく、ゴムやごみ、廃油、鉄道の枕木も燃やす。めぼしいものは何でもストーブに放り込む」と話す背後で、煙突から出る煙が空に溶け込んでいく。
チタはロシア国内のガス供給網に接続していないシベリアの多くの大都市の1つだ。都心部は石炭火力発電所による電気の暖房が使えるが、郊外の住民はかまどに火を入れていてつく寒さをしのいでおり、国内最悪級の大気汚染を引き起こしている。
ロシアは世界最大のガス輸出国で、国際舞台ではエネルギー超大国として力を誇示しているが、国内では広大な国土に供給網を張り巡らせるのに苦慮している。ガスを使えない地域は複数あるタイムゾーン全域に及ぶ。
ロシア国内の83の連邦構成体のうち、ガスパイプラインに完全に接続しているのはわずか11で、村落の約3分の1は接続されていない。1700万人が暮らす広大なシベリア連邦管区では、ガスパイプラインを利用できる村落は17%にとどまる。
ロシア国営ガス大手のガスプロムは2000年代以降、国内の主要インフラの拡張を担っている。同社は30年までに「技術的に実現可能な」全ての国内パイプラインを建設する計画を掲げている。
採算取れない遠隔地
ロシアのシンクタンク、国家エネルギー安全保障基金のアナリスト、イゴール・ユシュコフ氏は「経済的に理にかなう」と言う方がふさわしいと話す。多くの地域は辺ぴな場所にあり、人口密度が低いため、コストがかかるプロジェクトの採算が取れないからだ。「大半のケースでは、ガスプロムの言い分はもっともだ」と理解を示す。
とはいえ、パイプラインを拡張すべき地域もなお多いと指摘する。
ユシュコフ氏は「ガスは単なるコモディティーではなく、社会正義の1つの要素だ。ロシアはガス埋蔵量では世界最大だが、多くの市民は大型輸出パイプラインのそばに住んでいてもガスを使えない。市民ははっきり言って憤慨している」と語る。
中国とモンゴルとの国境付近に位置するチタはモスクワから約5000キロメートル離れ、鉄道で4日以上かかる。ガスプロムの25年までのパイプライン拡張計画によると、チタは短期計画に盛り込まれてさえいない。
16年までこの地域の知事を務めたコンスタンチン・イルコフスキー氏は、チタに移り住んですぐにガスの確保が最重要課題だと認識し、1日の仕事が終わるころまでに服がすすけた灰色になるのが不思議に思ったという。「他の地域や国の住民はみんなガスを使えるのに、私たちはのけ者扱いされた。個人的にも怒りを感じた」と振り返る。
イルコフスキー氏はロシア政府にガスパイプライン建設を働きかけ、タンカーで運搬可能な液化天然ガス(LNG)の貯蔵施設の拡充に取り組んだ。
同氏によると「風がなく、気温がマイナスになると発電所はフル稼働で石炭を燃やすため、街は炭じんに覆われる」という。「市民はそれを吸い込んでいる」
だが、ガスプロムや他の当局との会議では、地域の人口が100万人余りにすぎないため、パイプラインを建設しても採算が取れないと告げられた。
イルコフスキー氏は納得していない。「ガスに代わる燃料はなく、ロシアはガス超大国だ。それなのに、こうした地域に供給網を拡大する必要性があるかどうかについて論じるのもおかしな話だ」と訴えた。
チタは2つの川が合流する入り江にあり、周りを囲む丘が汚染された空気を閉じ込める。年金生活者のエルビラ・チェレムニコフさん(69)は、夏には近くの森林火災の煙もまん延すると話す。
ワンルームの木造住宅に住むチェレムニコフさんは、家計に余裕があるときは薪をくべて暖を取る。石炭を使うと「とんでもなく真っ黒になり」、汚染が特にひどい日に雪のなかで外に出ると、硫黄とガソリン、すすが混ざった臭いや味がするという。
手放せないガスマスク
だが、隣家の住民は手あたり次第何でも燃やす上に、煙突はチェレムニコフさんの家の窓のすぐ外に伸びているとこぼす。「煙がここにたまるので、息ができない。ガスマスクが手放せず、これをつけていても苦しい」と話す。
チタ州と同州を含むザバイカリエ地方の知事を計17年務めたラビーリ・ゲニアトゥーリン氏は、90年代にはロシアの石油大手ユーコスの関連会社がシベリア鉄道に並走するパイプラインの建設計画を立て、この地域の都市にガスを供給しようとしていたと話す。
同氏はチタに関する資料を収蔵した部屋で「このプロジェクトは着手寸前だった」と振り返った。「おそらく書類はまだどこかに残っているだろう。パイプラインの青い線が引かれたきれいな地図があるはずだ」
ところが、ユーコスがロシア政府に没収されたため、計画は2000年代半ばに白紙に戻った。ユーコスのミハイル・ホドルコフスキー最高経営責任者(CEO)は収監された。
ガスプロムが10年代初め、チタからわずか500キロメートルの場所にあるガス田から中国にガスを輸出する大型パイプライン「シベリアの力」の建設を発表すると、チタでは再び期待が高まった。だが、パイプラインには別のルートが選ばれた。
現在はモンゴルを経由して中国に延びる「シベリアの力2」が計画されている。「でも、またもや素通りされた」。チタ在住の警備員で、共産党員のウラジミール・クルバトフさんは、ガスの供給と大気汚染対策を訴え、地方政府の前で座り込みを続ける。
クルバトフさんは自身を含む多くの人はチタでのガスパイプラインの建設をすでにあきらめているが、大気汚染対策を切に求めていると話す。LNG発電に必要な処理プラントと貯蔵インフラの建設を地方政府に訴えているが、政府主導による大気汚染対策では目的は達成されないだろうとみている。
「ロシア西部の住民の暮らしぶりを目にしたことがある。西部はどこも空気がきれいで、ガスを使っている。これに対し、私たちチタの住民は(ロシアの学者)メンデレーエフの(周期)表にある元素を片っ端から吸い込んでいる」
By Polina Ivanova
(2022年1月4日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB050OO0V00C22A1000000/
>ガスプロムや他の当局との会議では、地域の人口が100万人余りにすぎないため、パイプラインを建設しても採算が取れないと告げられた。
シベリアのインフラは、囚人や戦争捕虜によって整備されて来ました。
タダで使える労働力を手に入れない限り、シベリアのインフラは充実しないでしょう^^;
独裁国家ロシアは、中共同様に、国民の生活環境に全く興味がありません。
肌の色や人種性別など関係なく、独裁国家に生まれたら、民主国家へ逃げるしかないのです^^;
日本には独裁大国が隣国として鎮座しています。
在日米軍がいるので安穏としていられますが、アフガンみたいにいつ撤退するか分かりません。
北海道の日本人は、寒さ慣れしているので、シベリアの強制労働に10年ぐらいは耐えられるでしょうが、東京よりも以西の日本人は、1年も持たずに亡くなるんじゃないかな^^;
媚中派の岸田首相は、あまり米国を刺激しないで欲しいね^^;
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