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2021年03月28日15:53

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テレビ版エンドを今更解説。

TV版を最近になって観た人は、とんでもない投げっぱなしエンドにびっくりしたんじゃないかと思います。ただ、それはTV版をロボットアニメとして観ているからであって、TV版は正確には「シンジくん心の成長物語」です。

どこにでもいる中学生・碇シンジは、実は世界を救う決戦兵器のパイロットだった・・・という、なろう系ストーリーの王道のような設定のシンジくんですが、エヴァが斬新だったのはシンジくんのダメっぷりをこれでもかと見せつけてくるところです。

よく覚えてませんが、序盤だけでもシンジくんは3回くらい逃亡します。この時点で普通の人は「こんな男無理!」と視聴を諦めることさえあります。そしてそれが、そのままシンジくんが劇中で置かれている現状です。ですが、実際には、シンジくんの逃亡には毎回意味があります。

やりたくないという→怒られてやれと言われる→言われたからやる→ダメ出しされる→なにこれ意味ないじゃん逃亡

みたいに、「TVの中でなければ」我々が陥りがちなダメダメ行動を、これでもかと見せつけてくるのです。それだけでなく自覚を持てとか責任感はないのとか規則を守れとか、彼から見れば意味不明な要求を当然のように押し付けてくる大人たちへの反発と、それによる成長がこの物語のテーマなんです。

序盤では、「やれと言われているからやる」「なのに文句を言われるのがわからない」というスタンスのシンジくんですが、綾波やアスカといった自分とは違う価値観の同僚に共感を覚えることで、少しずつシンジくんは成長していきます。

この成長の帰結として、ある味方の危機に彼は自らこう宣言します。
「僕は初号機パイロット、碇シンジです!」←※もちろんうろ覚え
このシーンは感涙ものなのですが、裏には悲劇も含んでいます。

なにをやってもダメで誰からも愛されない(と思い込んでいる)男・碇シンジは、自分の存在価値をエヴァのパイロットとイコールにしてしまいました。自分がエヴァのパイロットだからみんなが優しくしてくれる、ここにいていい、という形で定義してしまうわけです。
この辺は劇中で何度も描かれるます。描写ではなく記述、登場人物がそのまま発言するレベルなんですが、面白いのは、理解できない人には全く「内容として」吸収されていないところですね。

そうしてアイデンテティを確立したシンジくんは、目覚ましい活躍を遂げます。その一方、同じアイデンティティを持っていたアスカが、ストーリーから退場することになります。シンジくんはアスカのアイデンティティを知らず知らずに奪ってしまったんですね。そのシンジくんのアイデンティティに重大な危機が訪れるのが24話です。

>>最後の使徒を倒しちゃって世界が救われちゃった

のです。シンジくんは、大人たちが求める通り、自覚や責任感を持って、規則を守り、親友となっていた相手を殺し、世界を救いました。物語的には大団円なのですが、エヴァのパイロットが必要とされなくなることで、シンジくんは自らの価値を失います。こうして、延々とシンジくんの内面描写が連なる25・26話になだれ込んでいくのです。

「ねえ、私と一つにならない?それはとてもとても気持ちのいいことなのよ」
↑例によってうろ覚え

突然繰り返される、シンジくんの身近な人物によるお色気シーンは、シンジくんの妄想であり罪悪感の象徴です。そうなって欲しいけど、そういうことを考えてしまう悪い自分。まあ、そういった描写はストーリーパートには全くないので、心理描写パートで急にやられても視聴者はなんのことかわかりません。わかりやすく描き直されるのが旧劇場版におけるアスカを見ながらの自慰行為ということになります。

長い長い2話に及ぶ心理描写の中で、そういったものを含めて、自分のアイデンティティを模索していきます。人間として、生命として、生きていていいのか?ここにいていいのか?というのがテーマです。

で。

「僕はここにいていいんだ!」
「おめでとう!」パチパチパチ

となって、シンジくんが(エヴァに頼らない)自己肯定にたどり着いたところで物語は完結します。
シンジくんの心の成長という面ではとても面白いです。例えば、「僕はパイロットです!」と断言するシーン。そういた形でのアイデンティティの確立方法は、私たちも通常よく行っています。会社にも、「この会社辞めたらこの人生きていけるのかな?」と思うようなおっさんはいるでしょう。「◯◯の母」である以外の存在価値を見いだせていない女性もいるように思います。その先を考えさせるという点で、非常に面白いストーリーであり、TV版は個人的には「ちゃんと完結している」ように思うのです。

た・だ・し。
「僕はここにいていいんだ!」「おめでとう」は、シンジくんの妄想にすぎません。シンジくんが自分の中で出した答えを自分で肯定して完結しています。では現実では・・・・?というIFを描いたのが旧劇場版になります。

まぁその話は気が向いたら。


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