https://www.shinkalion.com/movie/
テレビシリーズをろくに見てない&息子も(うちに一体オモチャがあるとはいえ)そこまでハマっていないにも関わらず、タダ券があったということで平日の午前中にわざわざ映画館で見てきました。
劇場版シンカリオン。
そしたら観客が見事に自分たち2人しかいないという、前代未聞の事態に遭遇!
完全ゼロはさすがに初めてでした。
さて。
この映画は総集編的な映画化作ではなく、1年以上続いたテレビシリーズの後日談です。
一見さんが見て「よく分からなかった」なんて言ったところで知ったことか、という振り切った作りになっています。
そんなファンムービーである上にもう公式でネタバレしてるので今更どうこう言う人はいないと思うけど、一応ネタバレするので悪しからず。
(公式公開の冒頭3分映像)
https://m.youtube.com/watch?v=pRGigC7AB_k
開幕早々度肝をぬかれたのが、『シンカリオンに乗った初音ミク(劇中では発音ミク名義で準レギュラー扱い)がガチのゴジラに遭遇する』という…何を言っているか分からねーと思うが(以下略)のポルナレフ状態な光景。
しばらくして場面が変わると初音ミクが北海道でライブしたり(ご丁寧に雪ミク仕様)、テレビシリーズにも出ていたヱヴァ組が顔出したり、JRのCMを劇中キャラが再現したり。
まさか令和の時代に大スクリーンを前にZooのChoo Choo TRAINを聴かされるとは思いませんでした。
Zooの方ですよ、EXILEじゃなくて。
他にも色々ネタが仕込まれているのですが、とにかく手を替え品を替え、作品としての枠も超えて驚きを投げつけてくる感じが自分はとても痛快に感じて良かったです。
エヴァの世界線について幼稚園児に説明させる親の気持ち考えてねーな、とも思いましたが、しかしこの過剰なまでのサービス精神には感服するばかりです。
一応、基本のストーリーラインだけはなぞっておくと…
・テレビシリーズとは別の敵が宇宙からやってくる。
・そいつらは高速試験運転新幹線ALFA-Xを狙っている。
・時間と空間を繋ぐゲートみたいなのが出現して、主人公ハヤトの父であるホクトが時空の彼方に飛ばされる。
・代わりに子ども時代のホクトが迷い込んでしまう。
・自分より年下の姿をした父の出現に戸惑いながらも、奇妙な親子関係が始まるのだが…。
という感じ。
この物語の主人公・ハヤトは父親の影響で重度の鉄道好きなのですが、子ども時代のホクトが実は
「新幹線が大好きだけど、そんなこと言ってると周りからガキ扱いされるし受験の役にもたたないからやめなきゃいけない」
という葛藤を抱いていたことが明らかになります。
その一方で、鉄道に関する夢や妄想を書きためた一冊のノートを常に抱えている姿がとても痛ましいわけで。
で、色々あって子どもホクトはシンカリオン・ALFA-Xの運転士(パイロット)になり、息子と共闘するも、敵にコントロールを奪われ実の息子に刃を向ける展開に。
将来的にシンカリオンの開発にも携わるホクトが自身の夢ノートを手にし、
「ここで夢を捨てればシンカリオンは生まれない。そうすればハヤトを守れる」
と、ノートを破り捨てようとするも、まさに絶対絶命な状況の息子に止められます。
「夢を捨てちゃいけない!好きなものは好きなままでいていいんだ!」
この物語の核となるメッセージがここにつめられているように感じました。
シンプル故に力強い。
テレビシリーズでも「好きなもの」についてのメッセージは語られていました。
「教えてよ、君の好きなものは何?」
敵対する相手にハヤトはそう問います。
好きなものを知ることが相手を理解する第一歩だから。
それが出来れば争い合う必要はないのだから、と。
「好きなもの」とは、自身を構成する重要な要素。
それを自ら捨ててしまうことは自分を捨てることであり、それは過去の自分を否定するだけにとどまらず、未来をも閉ざしてしまうに等しいこと。
それを、まさに子どもホクトが繋いだ未来の先にいる息子・ハヤトによって気付かされるという時の円環構造は見事だなぁ…と思いました。
ターミネーター的とでも言いましょうか。
終演後、二人だけの劇場で「お話し分かった?」と息子に聞くと微妙な表情を浮かべていましたが、後日息子の口から「好きなものは好きなままでいいんでしょ?」という言葉が出てきたので、どうやらメッセージは届いていたようです。
それだけでこの劇場版シンカリオンは無限の価値があったと思います。
そして、忙しさに呑まれてしまい、自分が何を好きだったのかも分からなくなることが実感としてあるなぁ…なんて思っていたところだったので、自分の胸にもズシンと響きました。
今の立場で見ることができて本当に良かったと思います。
いやぁ、映画って本当に良いものですね。
…と、キレイめに締めてしまっても良いのですがシンカリオンの恐ろしさはこれで終わりません。
好きなものは好きなままでいい。
この映画は正にそれを実践しているとも言えるのですが、その結果についても記しておきます。
子ども向け映画ということで当初上映時間を70分以内に収めなければならなかったところを、何とかして枠を広げたところで上映時間はたったの79分。
この限られた時間の中で、
・ゴジラを出す
・初音ミクのライブをやる
・JRのCMパロディを入れる
・エヴァ組も再登場させる
・親子の絆を描く
・新しい敵も出す
・これまでに登場したシンカリオン全機出す
・新型シンカリオンも出す
・全機の変形シーンも入れる
全部やらなきゃあならないってのが幹部のつらいところだな…というブチャラティ状態。
全部やってはいるのですが、こんなの上手く収まるワケがありません。
展開についてはかなりの力技で無理やり押さえ込みに行った感がハンパなかったです。
幼稚園児でなくても微妙な表情になるってもんです。
例えば終盤、主人公たちが時空を超えるゲートの存在に気付き、仲間の一人が
「あれを破壊すれば(諸々のことが)解決するはず!」
と、振るや否やハヤトは即納得して必殺技を繰り出すのですが、破壊したらもう時空間の移動が出来なくなって父親戻らなくなるとかカケラも思わなかったのでしょうか?
言った通りに解決しちゃうんでいいんでしょうけど。
あと、せっかく鳴り物入りで新登場したALFA-Xが操られたり捕獲されたりで、強いのか弱いのかよく分からなかった上に、タイトルにある「神速」感、振り返ってみると特になかったような気がしたり。
そして、今回の敵役が本当にただの敵役としてしか機能していない(掘り下げる余裕がない)のは仕方がないとしても、途中で大軍率いて侵攻します!的な絵を挟んだ割に、大量のザコメカ軍団vsチームシンカリオンを全く描かないのはもったいない気がしました。
その結果、ラスボス一体に対して全シンカリオン14体が総掛かりで袋叩きに行く様はそれはそれで愉快でしたが。
スパロボの最終話みたいで。
何よりぎゅうぎゅうに詰め込んだせいでハヤト君が敵に対して相互理解を全く求めていないように見えるのが考えものだなぁ…
なんて思ったりもしたのですが!
いや、これこそが真のメッセージだったのかも知れません。
好きなものは好きなままでいい。
しかし、
『取捨選択』は必要だよ、と。
じゃないと、収拾つかなくなるからね!…と。
そんな大人なメッセージも含めて、私はこの映画を全力で肯定したい。
というわけで、劇場版シンカリオンの感想でした。
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