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2019年01月19日00:44

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ブレグジットとジャガイモ飢饉

1月16日、イギリス議会が
メイ政権がまとめた「EU離脱協定案」を
圧倒的大差で否決したのです。


メイ政権がEU側と合意した案では、
2020年末までを移行期間とし、
それまでに「アイルランド問題」の
解決策が見つからない場合、

イギリス本土も実質的に
EUに部分残留させる
措置を盛り込んだ
離脱案になっていました。

この場合、イギリスが
永久にEUに残る可能性が
あるということで、

議会は賛成202票、
反対432票で協定案を
否決したのでございます。

すでに、イギリスは
議会としても「離脱派」が多数派を
形成していることが分かります。

さて、話は変わり、
アイルランドですが、
北アイルランド以外の
アイルランド、
つまりはアイルランド共和国は、
1801年から1922年まで
連合王国(イギリス。以下UK)に
支配されていました。

当時のイギリスは
「グレートブリテンおよび
アイランド連合王国」
だったわけですね。

UK支配下のアイルランドでは
製造業が発展せず、
主にブリテン島に住む地主の下で
小作人が農産物、特に穀物を
生産していました。

もっとも、アイルランド農家が
生産する穀物は「輸出用」であり、
農民は口にすることができません。

ビジネスとしての農業ですね。
今風に言えば、「付加価値の高い
(輸出用穀物)農産物」に
特化した農業を強制されていたのが、
当時のアイルランド農民です。

というわけで、
アイルランドの農民は、
輸出用穀物生産をする傍ら、
余った土地でジャガイモを
生産することで
飢えをしのいでいました。

ところが、1845年に
欧州で「ジャガイモ飢饉」が発生。
ジャガイモが疫病でやられてしまい、
しかも当時は「単品種」であったため、
手の打ちようがなくなります。

もっとも、
欧州のほとんどの国々では、
農地の地主や貴族たちが
救済活動を行い、農民を救いました。

ところが、アイルランドでは
事情が違ったのです。
何しろ、アイルランドの地主は、
アイルランド島には住んでいません。

ブリテン島に住む地主たちは、
アイランド農民を救うことに
興味を持たず、
アイルランドからの
食料輸出の「禁止に反対」しました。

結果的に、アイルランドでは
農民が餓死していく中、
食料輸出が続けられるという、
実にグロテスクな状況に至ります。

当時のアイルランド人に「主権」がなく、
後のアジア・アフリカの植民地の住民と
同じ状況だったことが分かります。

1845年に始まった
ジャガイモ飢饉は四年間続き、
アイルランドでは人口の少なくとも
20%以上(!)が餓死しました。

さらには、食えなくなった若者を中心に
アメリカなどに続々と移民していき、
当然ながら結婚が減り、子供も生まれず、
アイルランド島の人口は
飢饉以前の半分にまで
落ち込んでしまったのです。

「(前略)飢餓でアイルランドの人々が
死んでいっている時に、大量の食物が
アイルランドからイングランドに
輸出されていたという
疑いようのないこの事実ほど、
激しい怒りをかき立て、
この二つの国
(イングランドとアイルランド)の間に
憎悪の関係を生んだものはない。
(セシル・ウッドハム=スミス)」


アイルランド共和国及び
北アイルランドの総人口は、
未だに(21世紀に至っても!)
飢饉前を回復していません。

上記の通り、アイルランドには
対UKの「壮絶な歴史」があるのです。
そこに、アイルランド島のカトリックと
プロテスタントとの対立が絡んできます。

UKは現状のままでは、
EUから「協定なき離脱」に
突入すること確実です。

とはいえ、アイルランド共和国は
もちろんEU加盟国のままです。

今回のブレグジットが、
アイルランド島における
「アイルランド 対 UK」の
新たな火種にならないよう、
願ってやみません。
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