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2018年05月19日10:57

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「忖度」の真意−ハンナ・アーレントは「エルサレムのアイヒマンと佐川宣寿

■改ざん前文書は3000ページ=23日国会提出へ努力−麻生財務相
(時事通信社 - 05月18日 11:05)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=5115939

(政治季評)忖度を生むリーダー 辞めぬ限り混乱は続く 豊永郁子
 アイヒマンというナチスの官僚をご存じだろうか。ユダヤ人を絶滅収容所に大量輸送する任に当たり、戦後十数年の南米などでの潜伏生活の後、エルサレムで裁判にかけられ、死刑となった。この裁判を傍聴した哲学者のハンナ・アーレントは「エルサレムのアイヒマン 悪の陳腐さについての報告」を執筆し、大量殺戮(さつりく)がいかに起こったかを分析した。
 前国税庁長官・財務省理財局長の佐川宣寿氏の証人喚問を見ていて、そのアイヒマンを思い出した。当時、佐川氏ら官僚たちの行動の説明として「忖度(そんたく)」という耳慣れない言葉が脚光を浴びていた。他人の内心を推し量ること、その意図を酌んで行動することを意味する。私はふと、アーレントがこの日本語を知っていたらアイヒマンの行動を説明する苦労を少しは省けたのではないかと考えた。国会で首相の指示の有無を問いつめられる佐川氏の姿が、法廷でヒトラーの命令の有無を問われるアイヒマンに重なったのである。
     *
 森友学園問題――国有地が森友学園に破格の安値で払い下げられた件、さらに財務省がこの払い下げに関する公文書を改ざんした件――については、官僚たちが首相の意向を忖度して行動したという見方が有力になっている。国会で最大の争点となった首相ないし首相夫人からの財務省への指示があったかどうかは不明のままだ。
 アイヒマン裁判でも、アイヒマンにヒトラーからの命令があったかどうかが大きな争点となった。アイヒマンがヒトラーの意志を法とみなし、これを粛々と、ときに喜々として遂行していたことは確かだ。しかし大量虐殺について、ヒトラーの直接または間接の命令を受けていたのか、それが抗(あらが)えない命令だったのかなどは、どうもはっきりしない。
 ナチスの高官や指揮官たちは、ニュルンベルク裁判でそうであったが、大量虐殺に関するヒトラーの命令の有無についてはそろって言葉を濁す。絶滅収容所での空前絶後の蛮行も、各地に展開した殺戮部隊による虐殺も、彼らのヒトラーの意志に対する忖度が起こしたということなのだろうか。命令ではなく忖度が残虐行為の起源だったのだろうか。
 さて、他人の考えを推察してこれを実行する「忖度」による行為は、一見、忠誠心などを背景にした無私の行為と見える。しかしそうでないことは、ヒトラーへの絶対的忠誠の行動に、様々な個人的な思惑や欲望を潜ませたナチスの人々の例を見ればよくわかる。
 冒頭で紹介したアーレントの著書は、副題が示唆するように、ユダヤ人虐殺が、関与した諸個人のいかにくだらない、ありふれた動機を推進力に展開したかを描き出す。出世欲、金銭欲、競争心、嫉妬、見栄(みえ)、ちょっとした意地の悪さ、復讐(ふくしゅう)心、各種の(ときに変質的な)欲望。「ヒトラーの意志」は、そうした人間的な諸動機の隠れ蓑(みの)となった。私欲のない謹厳な官吏を自任したアイヒマンも、昇進への強い執着を持ち、役得を大いに楽しんだという。
 つまり、他人の意志を推察してこれを遂行する、そこに働くのは他人の意志だけではないということだ。忖度による行動には、忖度する側の利己的な思惑――小さな悪――がこっそり忍び込む。ナチスの関係者たちは残虐行為への関与について「ヒトラーの意志」を理由にするが、それは彼らの動機の全てではなかった。様々な小さなありふれた悪が「ヒトラーの意志」を隠れ蓑に働き、そうした小さな悪が積み上がり、巨大な悪のシステムが現実化した。それは忖度する側にも忖度される側にも全容の見えないシステムだったろう。
     *
 このように森友学園問題に関して、ナチスに言及するのは大げさに聞こえるかもしれない。しかし、証人喚問を見ていると、官僚たちの違法行為も辞さぬ「忖度」は、国家のためという建前をちらつかせながらも個人的な昇進や経済的利得(将来の所得など)の計算に強く動機づけられているように感じられ、彼らはこの動機によってどんなリーダーのどんな意向をも忖度し、率先して行動するのだろうかと心配になった。また、今回の問題で、もし言われているように、ひとりの人間が国家に違法行為を強いられたために自殺したとすれば、そこに顔を覗(のぞ)かせているのは、犯罪国家に個人が従わされる全体主義の悪そのものではないか、この事態の禍々(まがまが)しさを官僚たちはわかっているのだろうか、と思った。
 以上からは、次の結論も導かれる。安倍首相は辞める必要がある。一連の問題における「関与」がなくともだ。忖度されるリーダーはそれだけで辞任に値するからだ。
 すなわち、あるリーダーの周辺に忖度が起こるとき、彼はもはや国家と社会、個人にとって危険な存在である。そうしたリーダーは一見強力に見えるが、忖度がもたらす混乱を収拾できない。さらにリーダーの意向を忖度する行動が、忖度する個人の小さな、しかし油断のならない悪を国家と社会に蔓延(はびこ)らせる。
 すでに安倍氏の意向を忖度することは、安倍政権の統治の下での基本ルールとなった観がある。従って、忖度はやまず、不祥事も続くであろう。安倍氏が辞めない限りは。
     ◇
 とよなが・いくこ 専門は政治学。早稲田大学教授。著書に「新版 サッチャリズムの世紀」「新保守主義の作用」。
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上記は、今朝の朝日新聞にけてさてされた、豊永郁子氏による「(政治季評)忖度を生むリーダー 辞めぬ限り混乱は続く」の全文である。

先日来、国会で行われてきた官僚たちへの参考人招致を見ていて、わたしは、ハンナ・アーレントの『エルサレムのアイヒマン 悪の陳腐さについての報告』を思い出したが、わたしと同じことを考えた人書いたということに少し驚いた。

それとともに、一連の�狄考АΣ歎很簑雖瓩如嶐崚戞廚箸いΩ斥佞鬚茲�聞くようになったが、官僚が政権トップに、つまり安倍晋三に「忖度」するようになったことは、この国に何をもたらしているのか、今のこの国はどのような状況にあるのかと言いうことを、豊永郁子氏による「(政治季評)忖度を生むリーダー 辞めぬ限り混乱は続く」というエッセイはズバリ指摘しているように思えるのだ。

豊永郁子氏は次のように書き出している。

�燹.▲ぅ劵泪鵑箸いΕ淵船垢隆盈修鬚澗犬犬世蹐Δ�。ユダヤ人を絶滅収容所に大量輸送する任に当たり、戦後十数年の南米などでの潜伏生活の後、エルサレムで裁判にかけられ、死刑となった。この裁判を傍聴した哲学者のハンナ・アーレントは「エルサレムのアイヒマン 悪の陳腐さについての報告」を執筆し、大量殺戮(さつりく)がいかに起こったかを分析した。/ 前国税庁長官・財務省理財局長の佐川宣寿氏の証人喚問を見ていて、そのアイヒマンを思い出した。当時、佐川氏ら官僚たちの行動の説明として「忖度(そんたく)」という耳慣れない言葉が脚光を浴びていた。他人の内心を推し量ること、その意図を酌んで行動することを意味する。私はふと、アーレントがこの日本語を知っていたらアイヒマンの行動を説明する苦労を少しは省けたのではないかと考えた。国会で首相の指示の有無を問いつめられる佐川氏の姿が、法廷でヒトラーの命令の有無を問われるアイヒマンに重なったのである。��

そもそも「忖度」とは何であろうか。「忖度」とは�狢梢佑瞭眇瓦鮨笋稽未襪海函△修琉嫂泙鮗爐鵑嚢堝阿垢襪海箸魄嫐�する�瓩繁�永郁子氏は書いている。だから安倍晋三もフジテレビの番組で次のように発言している。

「忖度というのはですね、指示をすれば問題だと言われますけれども、指示していないのに、忖度される側がどうだったのかというと、分からないわけですね。例えば指示していないのに、忖度した側も、果たして忖度したかどうかっていうのもあいまいな場合もあるんだろうと思います。指示を明確にし、組織の中でやっていただく。間違っても、私に近いから利益を得たりということは絶対にあってはならないということは、はっきりしていかなければいけない。」(朝日新聞2018年5月11日 - 安倍晋三首相(発言録)より)

安倍晋三は、この発言のなかで�獨崚戮気譴訛Δ�どうだったのかというと分からない�瓩般生世靴討い襦�つまり安倍晋三は行政のトップ、最高責任者であるにもかかわらず、官僚を統制することができなくなっているということを認めているのである。わたしはこの点に注目したい。

しかし「忖度」とは�狢梢佑瞭眇瓦鮨笋稽未襪海函△修琉嫂泙鮗爐鵑嚢堝阿垢襪海箸魄嫐�する�瓩世韻覆里世蹐Δ�。豊永郁子氏は次のように書いている。

�燹)粗�で紹介したアーレントの著書は、副題が示唆するように、ユダヤ人虐殺が、関与した諸個人のいかにくだらない、ありふれた動機を推進力に展開したかを描き出す。出世欲、金銭欲、競争心、嫉妬、見栄(みえ)、ちょっとした意地の悪さ、復讐(ふくしゅう)心、各種の(ときに変質的な)欲望。「ヒトラーの意志」は、そうした人間的な諸動機の隠れ蓑(みの)となった。私欲のない謹厳な官吏を自任したアイヒマンも、昇進への強い執着を持ち、役得を大いに楽しんだという。/ つまり、他人の意志を推察してこれを遂行する、そこに働くのは他人の意志だけではないということだ。忖度による行動には、忖度する側の利己的な思惑――小さな悪――がこっそり忍び込む。ナチスの関係者たちは残虐行為への関与について「ヒトラーの意志」を理由にするが、それは彼らの動機の全てではなかった。様々な小さなありふれた悪が「ヒトラーの意志」を隠れ蓑に働き、そうした小さな悪が積み上がり、巨大な悪のシステムが現実化した。それは忖度する側にも忖度される側にも全容の見えないシステムだったろう。��

例えば、「森友学園も問題」においても、佐川宣寿は国会答弁が政府に高く評価されて、財務省理財局長から国税庁長官へと異例の昇進を果たしている。豊永郁子氏の�燹�私欲のない謹厳な官吏を自任したアイヒマンも、昇進への強い執着を持ち、役得を大いに楽しんだという。�瓩箸いΔ海箸�、佐川宣寿にもズバリ当てはまるのである。

�狆攷祐�問を見ていると、官僚たちの違法行為も辞さぬ「忖度」は、国家のためという建前をちらつかせながらも個人的な昇進や経済的利得(将来の所得など)の計算に強く動機づけられているように感じられ、彼らはこの動機によってどんなリーダーのどんな意向をも忖度し、率先して行動するのだろうかと心配になった。また、今回の問題で、もし言われているように、ひとりの人間が国家に違法行為を強いられたために自殺したとすれば、そこに顔を覗(のぞ)かせているのは、犯罪国家に個人が従わされる全体主義の悪そのものではないか、この事態の禍々(まがまが)しさを官僚たちはわかっているのだろうか、と思った。��

と、豊永郁子氏は書いている。この豊永郁子氏の�犧2鵑量簑蠅如△發係世錣譴討い襪茲Δ法△劼箸蠅凌祐屬�国家に違法行為を強いられたために自殺したとすれば、そこに顔を覗(のぞ)かせているのは、犯罪国家に個人が従わされる全体主義の悪そのものではないか、この事態の禍々(まがまが)しさを官僚たちはわかっているのだろうか、と思った。��という箇所にわたしは注目した。

民主主義とは、本来この�猗蛤畊餡箸妨朕佑�従わされる全体主義の悪�瓩紡亶海垢戮�装置として機能すべきはずである。しかし現代日本社会では�猗蛤畊餡箸妨朕佑�従わされる全体主義の悪�瓩�散見し、すでに民主主義自体が崩壊しているように思われる。最近の旧優生保護法による障害者と言われる人たちに対する�犇�制不妊手術�瓩癲↓犢餡箸里燭瓩箸いΨ�前�瓩埜朕佑凌邑△鮨�害し否定していく。その本質はやはり�猗蛤畊餡箸妨朕佑�従わされる全体主義の悪�瓩砲△襪里任△襦�

このような論述から豊永郁子氏は、次のような結論を導き出している。

�牋幣紊�らは、次の結論も導かれる。安倍首相は辞める必要がある。一連の問題における「関与」がなくともだ。忖度されるリーダーはそれだけで辞任に値するからだ。/ すなわち、あるリーダーの周辺に忖度が起こるとき、彼はもはや国家と社会、個人にとって危険な存在である。そうしたリーダーは一見強力に見えるが、忖度がもたらす混乱を収拾できない。さらにリーダーの意向を忖度する行動が、忖度する個人の小さな、しかし油断のならない悪を国家と社会に蔓延(はびこ)らせる。/ すでに安倍氏の意向を忖度することは、安倍政権の統治の下での基本ルールとなった観がある。従って、忖度はやまず、不祥事も続くであろう。安倍氏が辞めない限りは。��

�爐垢任飽打椹瓩琉娶�を忖度することは、安倍政権の統治の下での基本ルールとなった観がある�瓩函∨�永郁子氏は指摘している。だから今の「忖度」政治を終わらせるためには、安倍晋三がやめる必要があるのだという豊永郁子氏の結論には、大いに説得力があるのだ。

フジテレビでの安倍晋三の�獨崚戮気譴訛Δ�どうだったのかというと分からない�瓩糧�言は、安倍晋三は一連の�狄考АΣ歎很簑雖瓩房�分には無関係で、責任はないのだということを言おうとしたのであるが、その発言は、安倍晋三はすでに�犢埓�の最高責任者�瓩箸靴胴埓�をコントロールする力を失ってしまっているということを白状しているのだ。果たして御製をコントロールすることのできなくなった安倍晋三をこのまま�犲鸛蠅虜足瓩卜韻瓩討�くことは、日本国民の一人としては絶対に許されないことであり、一日も早い退陣を求めていくことしかない。

冒頭に、国会で行われてきた官僚たちへの参考人招致を見ていて、わたしは、ハンナ・アーレントの『エルサレムのアイヒマン 悪の陳腐さについての報告』を思い出したが、わたしと同じことを考えた人書いたということに少し驚いたと書いたが、もうそうであるとするならば、今の日本社会全体が戦前の�爛淵船后Ε疋ぅ牒瓩汎瑛佑兵匆馘�雰囲気、政治的雰囲気にあることを意味しているのだ。

だから�牋打榮盂嫗狄忰瓩閥�ぶことこそが、�猗蛤畊餡箸妨朕佑�従わされる全体主義の悪�瓩帽海Δ海箸覆里任△襦�わたしはそのように確信しているのである。


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