第二次大戦下、南太西洋・・・
バックレー級米海軍駆逐艦<ヘインズ>は、特に荒れる事のない海を航海していた。敵との遭遇もなく、暇な時が過ぎて行く。新任のマレル艦長は、出港以来艦長室に引きこもったままだ。マレルは職業軍人ではなく、輸送船に乗っていた民間航海士。そんな艦長を、乗組員たちは「船酔いしてるんじゃね?」とバカにして話のネタにしているのだった。
ところがあるとき、船内のノンビリムードが一気に緊張に変わった。レーダーが、針路140に向かう謎の影を捉えたのだ。敵の船か、U-ボートか?・・・艦長室から出てきたマレルは、敵である可能性を考え追跡を指示する。すると<影>は、度々針路を変える動きを見せ始めた。<敵>もまた、こちらをレーダーに捉えているに違いない。マレルは、敵レーダーの偽反射として映るよう、あえて敵に動きを合わせず、<ヘインズ>の針路を一定に保つのだった。
その<敵>・・・ドイツ海軍のU-ボートもまた、レーダーに<ヘインズ>を捉えていた。熟練の艦長シュトルベルクが指揮するこの潜水艦は、針路140の先にある味方攻撃艦と合流し、暗号文を回収するのが任務である。そのため、コロコロ針路は変えてみせても結局は針路140に戻さなくてはならないのだ。シュトルベルクは、レーダーの影が敵艦かどうか確信を持てぬまま、潜水艦を140に向ける。そして潜行し、背後についた影めがけて後尾魚雷を発射。だが爆発音はない。どうやら敵艦ではなかったようだ。
<ヘインズ>のマレル艦長は、その動きから既に影をU-ボートだと見破っていた。そこで減速追跡を開始。故意に魚雷を撃たせ、すれすれで躱してみせた。この手腕に感嘆の声を上げる乗組員たち。ただちにマレルは油断したU-ボートに先行し、爆雷投下の指示を出す。爆雷を投下しては移動し、また投下・・・その繰り返し攻撃でU-ボートを浮上させるのが目的だ。
虚をつかれたU-ボートの中では、度重なる爆雷攻撃に疲弊して錯乱する者も出始める。だが冷静沈着なシュトルベルクはさらなる潜行を指示。海底につけて、爆雷の嵐を避けながらゆっくりと艦を移動させていく。
マレルは、援軍が来るまでの10時間、何とか爆雷でU-ボートの動きを封じ込めようと考えていた。司令部によると、U-ボートは針路140の先で<ヘインズ>をしのぐ火力を誇る敵艦と合流する予定らしい。その敵艦が現れては、こちらに勝ち目がないからだ。
シュトルベルクは、爆雷攻撃のあと、移動した<ヘインズ>が一瞬U-ボートと並走する動きを見せることに気がついた。そこで、ある爆雷投下のタイミングで艦を急に回頭させ、<ヘインズ>めがけて先頭魚雷4発を波状発射する。そのうち一発でも当たれば勝てる。そう踏んだのだ。
爆雷投下の後、突然U-ボートが魚雷を連続発射してきた。予想外の攻撃にさらされ、<ヘインズ>は艦の向きを変えられず右舷に一発喰らってしまう。マレルは、航行不能となってしまった<ヘインズ>から下艦するよう乗組員に指示。だが、攻撃要員だけは残しておくのだった。
潜望鏡で戦果を確認したシュトルベルク。敵駆逐艦は前方と後方で火事を起こしており、大混乱のようだ。まさに今、トドメを指すチャンスだ。彼はU-ボートを浮上させ、最後の魚雷発射命令を下そうとする。
海面からついに姿を現したU-ボート。これこそがマレルの待っていた瞬間だった。甲板でマットを燃やして火事を偽装し、敵がトドメを刺そうとしてきた時に一気にこちらの砲撃でケリをつける。これがマレルの作戦だったのだ・・・
『眼下の敵』。
戦闘素人でありながら船乗りの知略で敵に挑む駆逐艦艦長。そして、老練な軍人として大胆な戦略と強い忍耐力を武器に反撃するU-ボート艦長。大海原で展開する二人のタイマン勝負を描いた、戦争映画の傑作です。ロバート・ミッチャムVSクルト・ユルゲンスという渋さ溢れる二人の名演、そして迫力のバトルシーン、今でも色あせない魅力に満ちた一本でした。昔に一度きりしか見た事なかったんだけど、これ買って良かったなあ。何度も観たくなる映画ですね。
(通算979タイトル)
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