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2015年07月06日11:24

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サッカーは軍事的なスポーツ。

分析すると、ほとんどすべてのスポーツは速度と確率の問題に集約できます。
ほとんどのスポーツにおいて、相手防御陣は一定の確率で防御に成功するため、
「狙って得点を上げる」というのは難しく、常に「得点できる確率」を求めているだけです。
例えば、なでしこが標榜した攻撃に人数をかけるというのは、
前線での選択肢を増やす、つまり相手の防御プランが「的中する」確率を下げるということ。

速度というのは、単純な走る速さやパスの速度ではありません。
例えば、サッカーでよく攻撃側に致命的な時間ロスになるのは、
「ボールが自由落下で着地するまで動くことができない」時間。
胸でトラップしてから足でシュートを放つまでのわずかな時間に、
相手DFは数メートルも移動し阻まれるわけです。

結局、速さとは、相手の時間を奪う能力と言うこと。
この、相手の対応時間を奪うという点に着目した場合、
過去の常識に幾つかの疑問が浮かぶわけです。

1)いいクロス
実際にはクロスボールは、ピンポイントで当たらない限り基本的には成功しません。
もちろん、最終的に中央に入れなければならないのでその意義はあります。
しかし単純なベクトルの問題で、ゴールの間口よりもそれ以外の方がはるかに広いわけで、
攻撃側はゴールの間口に蹴らなければ確率は0ですが、防御側はそれ以外に蹴り出せば成功。
クロスのボールを受け取れる確率が五分五分なら、圧倒的に防御が有利なのです。
CKは、蹴る側に十分な余裕が与えられているためまだマシなのですけどね。

2)サイドパス
これは特定の状況でのみ言及します。
味方のインターセプトが成功し、中央付近のFWにボールが渡るが、
相手DF3-4人が付近にいる、という状況です。よくありますね。
通常、左右へのパスを振るが、まず成功しないことに気づくでしょうか。
これは、左右に振ることで相手DFに対応時間と、対応時間を利用して空間を与えるから。
空間というと、サッカーではスペースという味方に有利な領域があるので誤解を生むかもしれません。
防御領域ということにしましょうか。
サイドに展開したプレーヤーを追うことで、DFをつないでつくられる面積が増えます。
サイドに展開したプレーヤーは、基本的にはこの防御領域の外から蹴るしかないため、
ボールの滞空時間が延び、その分DFの対応時間が増えることになります。

このような場合は真後ろへのパス、
それを受けてすぐにDFを超えるか抜くような強いボールを蹴るという連携が、
現時点の例としては挙げられるでしょう。
あるいは、サイド展開でもDFのギリギリ外へ短く通して、
ワンツーで即座に中に抜いてしまうようなパスが必要です。

3)ロングボール
味方キーパーが長いゴールキックを蹴り、なでしこがヘディングパス→ヘディングパス→ヘディング→奪われる
というシーンがアメリカでもありました。
敵陣近くで味方が少ない状況でボールをあげてしまうと、対応時間も与えてしまいますし、
技術以前に落下地点と頭数で確率が決まってしまいます。
つまり、高いボールというのは局地的優位がない限り無意味かむしろハイリスクということです。
また、最初に例で出したように、高いボールは直接シュートできるものでない限り、
トラップして着地するまでの自由落下がかなりの時間を奪います。
なるべく足元に通すか、ボールの受け手に「自分の足元ではなく移動先にトラップする」ような、
新しい技術が必要になるでしょう。


4)なでしこトレイン
話題になったなでしこトレインですが、
これはコーナーキックの時にあえて密集し、キックと同時に展開するという方法です。
攻撃側が密集すると、DFは予測が難しくなりますし、
相手に追随する必要がある以上、攻撃側の展開に対し必ず出足で遅れます(=対応時間を奪う)。
かなり高度で、常識に反するいい手でした。
ゴール前で密集して押し合いへし合いするよりは、よほど展開力が上がります。

一方アメリカのCKですが、外部から走りこむ人物が2名以上いたように思います。
意識の死角からの奇襲としても有利だし、囮にもなるしカバーにもなるし、
まともに対応しようとすればゴール前のDF人数が減るため良手です。
なでしこトレインの少人数遠距離型といってもいいかもしれません。
ゴール前の跳ね返りに対しても、遠方にいるぶん対応時間がますため、
なでしこに限らずA代表も取り入れればどうですかね。

5)パスサッカー
パスサッカーの本質とは、速度と確率を最大にする戦術と言えます。
これまで書いてきたように、長いパス、高いパスは確率が下がります。
精度ももちろん下がりますが、相手の対応時間も長く、数的有利の影響を強く受けるからです。
ですので、必ずショート〜ミドルレンジのパスが重要になり、またパスを出せる選択肢、
特に次のパスでより得点の確率が上がる「脅威のあるパス」の選択肢が重要です。
斜め後ろへのパスや、シンプルなバックパス、
味方が追いついていない状況での左右のスペースへの大きなパスは、
時間的優位を失うためパスサッカーでは主流にはならないということです。

もちろん、サイドチェンジでの攻撃オプションや、
味方の攻撃人数の増加を待っての遅攻もメリハリとして大事ですが、
基本戦略はそちらではないし、特にとっさの場合に安全な遅攻よりも
ハイリスクな速攻の方が、相手の脅威になるのではないかという話です。
日本代表の攻撃陣は、伝統的に、とっさに安全策を取る傾向があったように思います。

以前ちょっと書いたのですが、小野-中村世代のパスは、
ふわっと意表をつく華麗なパスでしたが、
空間的・時間的な部分で優位を失うため、本田-遠藤らの中央突破を狙う世代に、
早期交代したのではないかなと思っています。
海外組でもなく若くもない遠藤が、代表に入る(入っていた)のはこれが理由だと思いますし、
ハリルが外したのも、彼の速度が変則的で特殊だからだという部分もあると思います。
要は、もっと本格派で同じことができる選手を要望したのですね。


相手の対応時間を削る、攻撃の精度を上げるという面や、
フィールドに散らばった味方の展開がそのまま攻撃オプションの数につながるという点で、
サッカー軍事的な思考が生かせるスポーツですね。
個人競技では望めないことですし、バレーなどでは敵陣に踏み込めません(航空戦には似ている)。
野球などはそのほとんどがカードゲーム状態で、
基本的に速度と確率の勝負は個人vs個人の勝負。
どれだけ内野の連係がうまいチームでも、投手が打者に負ければ勝負があっという間に決まります。
野球が得意な日本人って、第二次世界大戦の頃から基本的な戦闘スタイルの好みが
変わっていないなあという気がします。

なでしこ連覇ならず、米国がV
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=2&from=diary&id=3501548


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