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2014年11月06日00:43

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繋がる経済の話 〜消費増税反対→緊縮財政反対→TPP反対〜

 維新、みんな、生活の党が消費税増税に反対に回るらしいが、ただし「消費増税ではなく歳出削減を!」と主張しているようで、結局奴らも全く経済を分かっていない。という訳で久々に経済について書く事にした。そもそもの経済の仕組みが分かれば、芋蔓式に色々分かる為、それを極々簡単に説明していく。

 まず大前提として、政府収支と民間収支は反比例する。つまり政府が黒字の時は民間全体の収支合計はマイナスの値(赤字)になり、逆に政府が赤字の時は民間全体の収支合計はプラスの値(黒字)となるというような関係である。このグラフを見れば一目瞭然だ。

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 ただし、より具体的に言えば経常収支が関わってくるので上記は厳密な説明ではないのだが、それは(経常収支ってなんぞやって事を含めて)順を追って説明する。

 まず、何故政府収支と民間収支が綺麗に反比例するのか(厳密には経常収支を除いて考えた場合)を確認してみよう。


 まず、計算を簡単にする為に税金は一律、所得税50%のみの世界を仮定する。あなたは農民で色んな作物を作っているとする。


(1) 企業はあなたから「2000万円」で作物を買い取り加工している。あなたは「1000万円」で企業から加工食品を買っている。

(2) 政府は「3000万円」で企業から非常食を買ったり防災インフラの公共事業を発注したりしている。

(3) 企業の所得は合計4000万円、あなたの所得は2000万円なので、税収の合計は3000万円(←このように政府の歳出と歳入が一致する状態を財政均衡という)

 この世界のGDPは(「」合計)6000万円である。 企業の社員や政府の職員の給料は? とか突っ込み入りそうだが計算を簡単にry

 さてこのGDP6000万円の世界に、貯金という概念を導入し、この次の年、企業が1000万円貯金(厳密には内部留保という)した場合を考えてみよう。

 企業が1000万円貯金する為にあなたへの発注を1000万円に減らした。あなたは1000万円引く税金500万円で所持金は500万円なので、企業から500万円しか買い物ができない。(この時点で税収が従来より750万円減っている)

 政府は税収が減った事に気がついて、節約の為に企業に発注する金額を減らした。すると企業の所得が更に従来より下がり、それにより税収も更に従来より下がる……。

 という具合に……、そう、お気づきの通り、値下げが値下げを呼ぶデフレスパイラルになってしまう。
 デフレの原因は貯金なのである。(デフレで内部留保が増え続ける現象ってのはこういう原理なのだ)
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 では巻き戻しして、企業が1000万円貯金した瞬間に、逆に政府は1000万円の借金(国債発行)をして1000万円分の財政出動(企業へ何か発注)をしていたらどうだろう? 貯金に回すす分のお金が政府の発注で補填された為、企業は従来通りあなたから2000万円分作物を買って……、という具合に、デフレを防ぐ事ができた。

 というように、この場合政府は1000万円の借金(赤字)、民間は1000万円の貯金(黒字)となった。あるいは逆に、政府が貯金したのにGDPが変わらないという事があったとしたら、その分民間の誰かが借金をしたのだという事になる。

 これで誰にでも分かるように証明ができたと思うが、見ての通り政府収支と民間収支は基本的に反比例する。

 更についでに分かったと思うが、基本的に世の中全体が貯金>借金、の場合デフレになってGDPが減少する。逆にいうと、貯金<借金の場合GDPが増える。 つまりはそれが経済成長だ。基本的にその場合インフレである。資本主義というのは常に貯金<借金でGDPが増えていくのが正常なのである。
(※因みにGDPのプラスマイナス要因をより厳密に書けば、プラス要因として 元々あった貯金を崩して消費したお金、返済されたお金から消費したお金、マイナス要因として借金返済についやしたお金 という要素もあるが)

 さて今、日本がデフレで政府が赤字という事は、つまり毎年の政府の赤字額に匹敵する額のお金を、民間が貯金に回しているという事である。 という事は、民間の貯金マインドが解消されない以上は政府がガツンと赤字額を増やす以外に経済成長を取り戻す方法はないのである。

 なので、GDP成長が停滞している時に「政府の財政再建をーとか、消費増税だー!」というのは大間違いなのである。(勿論、増税で消費が減るという観点からも大間違いである)

 そしてこの観点からいけば、消費税増税は止めよう、と言ってくれても、「その代わり歳出を減らそうね」などと言い出せば全く意味がないのである。 つまり 維新 みんなの党 生活の党 は馬鹿だという事だ。

 今の状況だと本来の正解は、むしろ消費税は減税して歳出も増やすという二重の赤字化政策で、グーンと政府の赤字額をむしろ上げなければならないのだ。でないとデフレ不況から抜け出せない。

 さて、後回しにした経常収支の説明に行く前に、他にも大事な事があるのでここで脱線的な解説へも手を伸ばしたい。

 まず、既にこう思ってウズウズしている人が居るのではなかろうか。「でもそんなに政府が借金して大丈夫なのか!? 財政破綻しないの!?」と。

 それについて結論から言えば、日本政府が財政破綻は絶対にあり得ない。それについては二つの理由がある。

 まず一つ目として、政府の赤字額が民間の貯金に回す額を上回ればGDPが増えるという事は論を俟たない。GDPとは国内で生じた所得の合計なので、つまりGDPが増えた=皆の給料が増えた と考えていい。一般国民のお給料が増えれば消費が増える為、求人が増えて失業率が改善、すると更に全体の所得が増えるのでまた消費が増えて、すると企業は設備投資をする事で消費の増加に対応する。この設備投資に、貯めこんでいた内部留保を使ったり若しくは新興企業は借金をする訳だ。つまり好景気になると一時的に民間企業が(逆に!)赤字に転じる為、今度は政府が黒字になるという訳だ。証拠として、最初に見たグラフの1991年を見てみよう。バブルピーク時はまさに民間赤字政府黒字だったのである。

「でも、設備投資は強制ではないから100%民間収支赤字に転じる保障はないよね!」 はい、その通りです。でも、仮にそうなったとしてもそれでも大丈夫なんです!

 財政破綻しない理由その2。政府の借金は日銀が買い取ればチャラ。
 日銀というのは実は株式会社だ。筆頭株主は誰かというと、株式の55%を保有する日本政府。つまり、日銀とは政府が保有する機関、政府の一部、政府の右腕と言える。

 左腕が10兆円の国債を発行して民間企業に買ってもらったとして、今度は右腕が10兆円を発行して民間企業から国債を買った。では、自分の左腕が右腕に借金しているというのか? あり得ない。つまり、日銀が通貨発行して国債を買い取った時点で、その国債はチャラも同然なのである。
 上記のプロセスをいわゆる量的緩和という。2013年にはこの量的緩和を70兆円規模で行ったので、財政赤字が40兆円程だからなんと2013年は差し引きで「いわゆる国の借金」は30兆円減少したのである。(マスゴミは日銀保有国債を含めて国の借金と呼ぶ為この事は報道されない……)
 ソースhttp://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11582173317.html

 勿論、円建て国債は日本円でしか買い取れないが、日本の国債残高の95%は円建てなので問題ない。 自国通貨建て国債での財政破綻はあり得ないのである。

 じゃあなんで税金があるのかと言えば、通貨発行だけで政府事業をこなしていたら極端なGDP成長=急激なインフレとなり、つまりはジンバブエの状態となってしまうからというだけの事に過ぎない。
 つまり、税金とは健全なインフレ率を保つ目的のものであって、政府がいくら黒字になろうが赤字になろうがそれはインフレ率調整の「手段」あるいは「結果」に過ぎない。逆に言えば、インフレ率が健全値であればいくら財政赤字だろうが黒字だろうがそれ自体に損得は全く存在しないのである。

 因みに、国債を発行してると信用が落ちて金利が上がるー という説もあるが全くの間違いである。むしろ、デフレによって金利が下がり、デフレだから国債残高が積みあがっていくというのが経済の仕組みだ。ご覧の通り好景気で財政黒字だった年が金利高のピークで、バブル崩壊後に国債残高と金利は反比例で推移しているのが分かる。

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(横向きですみません)


 逆に言うと金利が上がる時は好景気になった時であるから、「国債が積みあがると金利が上がって経済が悪くなる」は矛盾しているのだ。


 
 さて、消費税について、もう一つ説明しておかなければならない事がある。

 まず、消費税が8%になってから、日本の実質消費が前年比が5%以上も下がり続けている。日本のGDPの6割超は国民消費支出なので、2014年度のGDPは前年比でマイナス2〜3%となる恐れがある。(これは、デフレに突入した1997年の消費税2%増税時よりも大きな落ち込みである)

 これによりいかに消費税がGDPのマイナス、つまり国力の衰退を招くかは既に明らかになった訳だが、では何故これ程消費税にはマイナスインパクトがあるのか。

 それは、逆累進課税だからである。つまり、低所得者の方が「消費性向」が高い為、所得から見た負担は低所得者に重く高所得者に軽い性質を持っている。
 消費性向とは、「所得の内何%を消費に回すか」という指数だ。例えば、年収200万円の人が年間200万円使って生活すれば消費性向100%、年収1000万円の人が年間500万円で生活し500万円貯金すれば、消費性向50%。

 ここで最初の議論を思い出してほしい。貯金とはGDPに対してマイナスの要素である。そして、高所得者程消費性向は低い。即ち、高所得者から多く税金を貰って政府が変わりに消費するという方が、経済成長には望ましい形だ。 その為 累進課税 が基本となっているのだ。(インフレ率が高すぎる場合に限れば、逆累進課税が有効かも知れない)


 つまり、逆累進課税は経済成長にマイナス要因となって当たり前なのである。低所得者層の方が消費性向が高いのだから、そちらを底上げする構造、言いかえれば中間層を厚くする構造、つまりは一億総中流と言われた日本の20世紀後半型の税制が経済成長に有利なのである。
 当然ながら、軍拡著しい中国の脅威に対抗する為には、日本は経済成長路線の構造に戻り国力を増す方が望ましい。

 そんな事したらタックスヘブンガーと言いだす者も居るが、だから政府は所得税最高税率を40%→45%に増税したのと共に、タックスヘブン対策も推進しているではないか。(その割に法人税減税しようとする辺りは安倍政権のちぐはぐさだが)
 因みにブレトンウッズ時代(戦後〜1973年)は資本移動規制があったので「ルイシンカゼイハカネモチガニゲダスー」なんて事もなかったのだ。 世の中、なんでも規制緩和すればいいなんてものではない。


 税金について学んだところで、話を軌道修正しよう、すなわち後回しにしていた経常収支である。
 民間と政府の収支は反比例するという事を最初に説明したが、実は「経常収支が黒字なら民間と政府の両方が黒字になり得る、経常収支が赤字なら民間と政府の両方が赤字になり得る」と付け加えなければならない。より正確に厳密に理解してもらうには更に順を追って説明していくが、とりあえずはこのグラフを見てもらえればイメージを掴めるだろう。 このグラフは折れ線が経常収支、青い棒が政府収支、黄色い棒が民間収支である。


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 経常収支とはなんぞや? というと、 (財とサービスの)貿易収支+所得収支+経常移転収支だ。

 貿易収支については説明はいるまい。所得収支は、国境を超える配当金や利息の支払い、経常移転収支はODA等の海外援助の事だ。


 例えば最初の議論の所得税50%でGDP6000万円の国の例を思い出してみよう。


(1) 企業はあなたから「2000万円」で作物を買い取り加工している。あなたは「1000万円」で企業から加工食品を買っている。

(2) 政府は「3000万円」で企業から非常食を買ったり防災インフラの公共事業を発注したりしている。

 これで実は、企業が外国へ「1000万円分何か輸出」していたとしよう(輸入は0とする)。すると税収が500万円増えた上、企業は500万円を貯金に回す事が出来る。

 つまり上記条件で経常収支が1000万円の黒字だと、GDPは7000万円となり企業と政府が共に500万円貯金するという事が出来る。(という状況が、上記グラフの経常収支と民間収支政府収支全てが黒字になっている年度の例である。当然この逆もあり得、現にそれもまたグフラ上1974年に見て取れる)

 ただし、「だから極端な経常黒字は素晴らしい」とは限らない。極端な経常黒字国の反対側には極端な経常赤字国が生まれるからだ。例としては2000年代の日対米、あるいは現在のドイツ対ギリシャである。
 経常黒字の逆で経常赤字は民間赤字と政府赤字の両立という悲惨な状況になり得る訳だから、経常赤字が極端過ぎる国は不況になると考えて差し支えない。貿易相手国が不況になれば、自国の輸出にも影響がある訳だ。よって、極度な経常赤字は勿論、極度な経常黒字も手放しで喜ぶべき事ではない。

 結局は、経常収支は(黒か赤かはさておき)「適度」な範囲内に収めつつ、周期的に民間収支赤字政府収支黒字、民間収支黒字政府収支赤字、の波を繰り返すというのがあるべき経済の正常な姿なのだ。(因みに平均で年間インフレ率は2%、名目GDP成長率が3%程度が理想だろうか) 



 さて、黒字の事を経済用語で資金余剰、赤字を資金不足と呼ぶ(例:財政黒字=政府資金余剰、財政赤字=政府資金不足)。 『ただし経常収支については「経常黒字=海外資金不足」「経常赤字=海外資金余剰」となるので注意。』

 ではこれまで収支とGDPの関係について長ったらしく説明したのを経済用語で簡潔にまとめると、  1年間の資金不足の合計が資金余剰の合計を上回ったらGDP増(資金余剰が資金不足を上回ればGDP減) となるのだ。

 それを踏まえた上で、下記のグラフを見て頂きたい。因みに民間収支は家計収支と企業収支に分けている。

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(再び横向きですみません)


 見ての通り日本はずっと家計と企業が資金余剰で推移している為、海外資金不足と政府資金不足がGDPを支えていたのである。ところが直近では原発の停止によりついに海外資金余剰に傾いてしまった為、 家計 企業 海外 の3項目の資金余剰を 政府資金不足 によりGDPを支えている状態だ。2014年の政府資金不足額が他三項目の資金余剰額合計を下回れば、GDPはマイナスになる。

 さて、ここからTPPの話に繋げたい。

 TPPの賛成論には、「外資を呼び込むんだ!」だとか、「日本は世界へ打って出るんだ!」だとかがある。この両方のレトリックに問題提議したい。

 まず、外資を呼び込む、というのは経常収支の悪化に繋がる恐れがある。経常収支の悪化とは上記グラフでは海外資金余剰が増えるという事だ。

 外資とはつまり海外へ株の配当金を送る企業だ。(厳密な定義で言えば外資とは過半数の株式を海外に保有されている企業だろうが)
 配当金は経常収支(財とサービスの貿易収支+所得収支+経常移転収支)の内の所得収支だ。では外資が日本へ進出してくるというのは具体的にどういう事か、以下の例で説明しよう。

 以前、橋下徹が高速道路の運営を外資企業に依頼しようとした(厳密には運営権の売却)。幸いこれは否決されたが、実現した場合理屈としては以下の通りとなる。


 例えば、政府が直々に120万円かけて高速道路の運営していたのを、経費削減として100万円で運営してくれる外資に委託したとしよう。

 その外資はアメリカ人の社長が2人の日本人の社員を雇っている会社であり、社長と社員と株主が売り上げを山分けにすると仮定する(あり得ない話だが計算を簡単にする為だ)。すると社員2人が25万円ずつ、これは純粋に日本人の所得だ。社長の25万円も、社長が日本で生活してくれる分にはGDPに貢献する事となる。だが、配当金として本国に送られる25万円、これはつまり日本の経常収支に25万円マイナス、という事になる。
 本来なら120万円がまた労働者達の消費などで国内へ循環していた訳だが、それが75万円からになってしまう訳でGDPも毀損している。GDPが減れば税収も減るので、経費削減でこんな事しても財政再建にはなり得ない。

 こう見ると否決されたのは当然で、橋下は非常に愚かな事をしようとしていたと言える。

 因みに安倍政権も、郵政とかんぽの癌保険の提携を白紙にさせ、代わりにアフラックを郵政と提携させた。これもつまり、わざわざアメリカに配当金をプレゼントしているのである。同時にこれは、安倍からオバマへの、「めっちゃTPP推進したいんです!」というメッセージであるとも考えられる。
 というのは、TPPの問題の一つにイコールフッティングというものがある。イコールフッティングとはつまり、「日本市場に外資も参入させろ!」という事だからだ。
 TPPに入れば外資に都合の悪いような規制をなくす必要がある訳だが、恐ろしい事に「政府調達」の外資規制すらも例外ではないのだ。

 要するにTPPで外資を呼び込む! で橋下の高速道路案や安倍のアフラック優遇みたいな事が相次いだり、あるいは日本企業株が買収され外資化する等していけばしていく程、配当金による経常収支の流出は増える。しかも、アメリカの価値観では配当金は大きくすべきものという事になるので、その分従業員の給料は圧迫される。


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 このグラフをご覧の通り、丁度アメポチ小泉政権期、アメリカ式株式ブームがもたらされた事により、配当金が高くなり労働分配率は低くなっている事が分かる。(08 09年に労働分配率が上がっているのは単にリーマンショックで分母になる売上が減った為で、分子である人件費が増えた訳ではない。労働分配率=付加価値÷人件費)

 このように、むやみやたらに政府調達にまでガイシヲヨビコムーなんてするのは、単に経常収支と労働分配率を悪化させGDPを毀損する事に他ならない。

 ※(ましてや、安全保障上の問題もある。例えば三菱のミサイルより米国産ミサイルの方が安いからといって自衛隊のミサイルを全て輸入で賄う事となれば、日本の防衛産業の衰退すなわち安全保障が弱体化する。 土建産業なんかも外資参入で地元企業が衰退すれば、災害時の救助作業や復興に支障がでる)


 ※内の問題の時点でTPPは論外なのだが、それは置いておくとして経常収支の話に関して「その分、日本も海外へ打って出る事で経常収支はむしろプラスになるのだー」という反論があるかも知れない。

 なるほどイコールフッティング等で日本に外資が浸透する分、日本企業もまた海外への進出や買収を行うのだから、差し引きで経常収支は改善するという事だ。

 一見一理あるようにも思える。確かに出ていく分のお金が増える以上に入ってくるお金も増えた場合、経常収支の数値は「額面上は改善」される事になる。

 だが、そもそも出ていく以上に入ってくる方が増える保証などないという反論を抜きにしても、もう一つ重要な反論をしなくてはならない。それは、「経常収支の質」の問題である。

 まず第一に、日本から海外へ払う配当金が増える場合労働者が割を食うという事は先述の通りだ。労働者が貧困化すれば当然GDPも毀損する。
 では海外から日本へ入ってくるお金はどうかというと、これは経常収支の構成要素である(財とサービスの)貿易収支、所得収支、経常移転収支の内、所得収支として入ってくる事になる。
 つまり、「労働者が割を食い、見返りが所得収支増」であると考えると、例え経常収支の数値が改善されても質は悪化したと言わざるを得ないのだ。順を追って説明しよう。

 まずTPPに加入したからといって輸出はほとんど増えないと考えていいだろう。何せ、昨今は数十円単位で円安が進行したにも関わらず、「輸出量」はほとんど増えていないのだ。これは、グローバル化により既に日本企業の現地生産化が進んでしまっていた為である。
 つまり、ハナから関税等の「貿易障壁」もへったくれもない状態なので、別にTPPに入ろうが入らなかろうが財の輸出にはほとんど関係のない話だ。
 むしろ、海外投資へのハードルが下がる事により、海外生産拠点を更に増やすとも考え得る。いわゆる産業の空洞化が却って進行する可能性があるのだ。

 ただ、同様に海外投資のハードルが下がる事はサービス業の進出を促す可能性もある。例えば吉野家とかモスバーガーとかその他諸々日本企業がベトナムやインドネシアやシンガポール等にガンガン進出し、現地で大いに儲けたとしよう。(仮に)
 すると、なるほど現地法人から日本の本社へ配当金が流れてくる訳である。すなわち、所得収支に対しプラスの要因となる。

 ただしここで注意して欲しいのは、配当金が外国から日本へ入ってきたという事柄自体は、日本の生産に結び付いていないという点だ。(そこが貿易収支と所得収支の違いともいえる)

 例えば、同じ経常収支の100万円でも、車を一台輸出して得た100万円は、車を一台作るという生産の結果である。一方、吉野家の海外現地法人から自動的に100万円の配当金が振り込まれる事は、牛丼を生産した結果ではあるものの日本の国内で生じた生産ではない。つまり前者は国内総生産(GDP)に加算となるが、後者はGDPに加算されない。

 では更に例えば、100万円の配当金を得た吉野家本社が、その100万円で社用車でも買ったとしたら(経済用語としては設備投資になりますね)ちゃんとGDPへの貢献になるじゃないか、という反論も考えられる。確かに、それはその通りだ。

 とはいえ、日本の○○本社は海外からの配当金で何かするかも知れないし、あるいは何もしないかも知れない。具体的には、得た配当金はそのまま内部留保に突っ込む可能性だってある訳だ。
 つまり、海外から入ってくる配当金が増えたとしても、その配当金が消費や設備投資に回されず内部留保に回ってしまう場合、経常収支の数値が改善されていても経済に好影響とはならないのである。しかも日本の企業が内部留保を積み上げ続けている現状を見れば、そうなると考える方が自然という事になる。

 一番最初の議論でお分かりの通り、デフレの原因は貯金(内部留保)する事である。では何故企業がこうも内部留保するようになったかと言えばその原因は主に二つある。

 一つは需要不足だ。需要がなければ設備投資する甲斐もない。

 もう一つは、金融ビックバンである。つまり金融規制の緩和により外国企業が日本企業を買収できる環境になった頃から丁度、内部留保は増え始めている。これはつまり、外国に買収されそうになった時に内部留保で自社株買いを行い防衛する為だ。

 この二つの主原因の内、前者はまだしも政府が財政出動を行う事で解決できる。だが、後者についてはTPPに入ってしまうともう解決できなくなってしまうのだ。



■消費税10%、本当に来年上げる? 有識者会合始まる
(朝日新聞デジタル - 11月05日 06:00)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=3126606
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