女子高生A子は、悩み、苦しんでいた。
自分が、殺人犯であり、自分はゾンビなのではないか?と。
ひと月前の土曜日の午前0時過ぎ、終電で最寄り駅に着いた空手二段の彼女は、駅から家までの徒歩15分を一人歩き。
これまでにも痴漢に遭ったことがあったが、空手で撃退していたので油断していたのだ。
7〜8分歩いたところで、ワンボックスワゴン車に乗った三人組の若い男に襲われ、車に押し込められそうになった。
抵抗して、一人は倒したものの、もう一人には空手の心得があって突きや蹴りを防がれ、てこずっているうちに三人目に背後から木刀で殴られて意識が遠のき、気がついたら、全裸にされて両手を後ろに縛られ、倉庫の中のようなところに転がっていた。三人組は、誰が一番乗りするか、相談していた。
最初に倒した男が、サバイバルナイフ片手に近寄ってきて、「おとなしくしてりゃあ命は取らねえ」などと陳腐なセリフを吐きながら、股を開かせようとしたが、つい抵抗してしまった。
激怒した三人から、再び殴る蹴るの暴行を受けた。最後に、仲間の制止する声に耳を貸さずに、サバイバルナイフを手にして、鬼畜の形相で迫る男の顔、腹部の激痛。
殺された、と思った。意識を失った。
しかし、意識を取り戻した。
気がつくと、全裸のまま、立っていた。三人組の男たちは?、と辺りを見回した。
血の海と化した床に、三人の男たちの、恐怖、苦悶の表情を凍りつかせた生首が転がっていた。六本ずつの腕、脚と、三つの胴体も。
自分の体には、打撲も切り傷、刺し傷も、無い。
生前の三人組に剥ぎ取られた衣服が、目に付いた。セーラー服とスカート、下着は切り裂かれていたが、コート、靴、ハイソックスは血の染みもなかった。
切り裂かれた衣服を持ち、コートを着て、靴を履き、バッグと中身も確認して、外へ出た。 家の、割と近くだったので、そのまま家に帰った。
幸い、両親は日曜の深夜まで帰らない。シャワーを浴びて、ベッドに潜り込んだ。悪い夢を見たのだ、と自分に言い聞かせて。
しかし、翌朝、三人組の惨殺死体は発見された。テレビのニュースでは人間の仕業ではなく、大型の野獣の仕業かも知れない、と言っていた。
やはり、自分が殺したのだ。奴らに殺された自分が、ゾンビとなって黄泉帰り、奴らを殺したのだ。あんな奴ら、殺したことに良心は痛まなかったが、自分が怪物になってしまったらしいことは、恐ろしく、悲しかった。
月曜日の夜まで、自室に閉じこもった。しかしゾンビになったにしては、前以上に腹が減り、トイレにも行きたくなる。どうなっているのか、どうしたら良いのかわからずに居るうちに、ニューヨーク国連本部ビル屋上に、巨大なUFOが現れた、と言うニュースを、テレビで見た。
ふぅん、宇宙人も実在したんだ。自分がゾンビになってしまったのも現実なのだな。
女子高生A子は、特に驚きもせず、テレビニュースを見ていた。
続く
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