メキシコ「残業週12時間」に制限 超過なら3倍支給、日本企業に衝撃
2026年2月26日 4:27
【メキシコシティ=市原朋大】メキシコの国会下院は25日、2030年から週の労働時間を40時間(現在は48時間)に制限する憲法改正案を承認した。残業時間も週12時間までとし、最長でも16時間に厳しく制限する。中南米ではエクアドル、チリと並び労働時間の短い国となる。上限を超過すれば3倍の給料支払いを企業に義務付ける。
制限は2027年1月から段階的に始まり、30年まで1年に週2時間ずつ労働時間の上限を引き下げていく。年内にも施行される新規定では、残業時間を基本週12時間までとし、残業をさせる場合には規定の賃金の2倍を支払う必要がある。
特別な理由で12時間を超える場合でも、最長でもプラス4時間までとし、その場合は給料の3倍の支払いが求められる。
従来も残業時の賃金は週9時間までが2倍、10時間以上は3倍としていたが、残業時間の上限がなかった。メキシコ政府は「業界によっては週に80〜90時間働かせているケースもあった」(労働社会保障省)と長い労働時間を問題視してきた。
新たな規定では1日4時間の残業ができるのが週4日までに限られ、18歳未満は残業自体が禁止される。残業を含め、1日12時間を超える労働は禁止される。新制度により残業を求めること自体がかなり難しくなる。
日本企業「労働者に甘えていた」 追加採用など不可避か
自動車メーカーをはじめ、多くのメキシコ人労働者を雇用する日本企業には衝撃が広がっている。
首都メキシコシティの日系金融機関首脳は「待ち時間が長くなりがちな専属運転手をはじめ、労働者自身が(賃金の高くなる)残業を希望するのにこちらも甘えていた部分があった。より厳格に残業時間を管理しなければならない」と語った。
メキシコでは労働者の半数以上が所得税を支払わず、労働関連法の規定にも拘束されない「インフォーマル(非公式)」セクターで働いているため、今回の憲法改正の恩恵は小さい。一方、正規雇用の多い日本企業には直接のコスト増要因となる。
日本の残業手当(25%増し)と比較しても、雇用する側の負担は重い。中期的には追加人員の採用や、生産現場ならシフト再編も検討する必要がありそうだ。
週40時間労働制はロペスオブラドール前大統領が23年に提案した政策で、24年10月に就任したシェインバウム大統領にとっても看板公約の一つだった。低所得者層が支持基盤でもあるシェインバウム氏は「労働時間の短縮は企業の生産性向上を意味する」として、経営者に意識改革を求めている。
賃金も上昇 「安い労働力の国」認識転換も
経済協力開発機構(OECD)によると、メキシコの平均年間労働時間は2200時間程度(24年)と、OECD平均(1700時間超)を大きく上回る。日本(約1600時間超)よりも大幅に長く、長時間労働の割合も平均より多かった。
メキシコに進出する日本企業の多くが、条件さえクリアすれば米国輸出時の関税をゼロにできる米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)を前提としてきた。賃金の高騰する米国と比べて労働コストが安く、使い勝手の良い労働市場も米国向けの輸出拠点としてメキシコが重宝される要因となってきた。
メキシコでは18年から続く左派政権による最低賃金の引き上げにくわえ、労働時間の縛りも厳しくなる。中西部サンルイスポトシ州に進出している日本メーカーの社長は「世界的な潮流で(労働時間の短縮は)仕方がない。メキシコといえば『安い労働力の国』という認識を転換する機会になるだろう」と前向きにとらえている。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN25BKH0V20C26A2000000/
貧困が犯罪を生み出す原因です。
中南米に大規模なギャング組織が根付くのも、低賃金労働者が大量にいて、外資を呼び込む為の国の方針にしているからです。
これから労働集約型の企業は、機械化するか、新たな工場立地国を探すかです。
どっちにしろ、安い労働力を求めて海外に工場を建てる考え方は、もう変更です。
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