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2023年05月24日09:15

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今後の農業は農薬よりもハイテクロボット^^;

キャベツ食い荒らす蛾をレーザーで撃墜 急所に1発
2023年5月23日 5:00

国連が2022年7月に発表した「世界人口推計」によれば、50年の世界人口は約97億人(中間値)と、21年よりも約18億人増加する見通しだ。国連食糧農業機関(FAO)の推定によると、この増加と富裕化を続ける人口を養うために、50年までに農業生産量を現在より60%も増やす必要があるという。かなり大きな数字である。

一方で、FAOによると、世界の食用作物の最大40%が、植物病害虫の被害によって失われており、これによる農産物貿易の損失は、年間2200億ドル(約30兆円)以上にのぼるという。農業生産量を大幅に増やすためにも病害虫被害の低減は喫緊の課題になっている。

これまで病害虫の駆除には、主に化学合成農薬が用いられてきたが、近年は病害虫が「薬剤抵抗性」を持つようになり、農薬が効かなくなってきたことが指摘されている。薬剤抵抗性とは、農薬が効かない遺伝子をたまたま獲得した個体が生き残り、その後、世代交代を繰り返すことで、いずれ大半の個体が抵抗性遺伝子を持つようになる現象である。

そこで農薬に頼らない病害虫の駆除方法の開発が待ち望まれている。大阪大学レーザー科学研究所の藤寛特任教授と山本和久教授らの研究グループは23年1月、レーザー学会学術講演会第43回年次大会で「青色半導体レーザーを用いた害虫の撃墜」という新技術を発表した。レーザーで病害虫を撃ち落とすための急所を世界で初めて発見し、実際に「大型昆虫を撃墜するのに成功した」(藤氏)ことが開発のポイントである。

今回、「標的」にしたのは薬剤抵抗性を持ち農作物に大きな被害をもたらしているハスモンヨトウというガの一種である。農林水産省が「指定有害動植物」に指定している病害虫で、野菜、畑作物、花卉(かき)、果樹にまで広く被害を及ぼす。その幼虫は、とにかく食欲が旺盛で、一晩でキャベツなどが食い荒らされることもあるという。

実は、レーザーによる病害虫の駆除技術には先例がある。有名なのは、米マイクロソフト共同創業者のビル・ゲイツ氏が立ち上げたゲイツ財団が開発を支援する、マラリアを媒介する蚊をレーザーで撃ち落とす病害虫駆除システムである。

しかし、マラリア蚊とハスモンヨトウでは、大きさなどがかなり異なる。蚊の成虫は体長が約4〜5ミリメートル(mm)なのに対し、ハスモンヨトウは約15〜20mmと大きい。飛行速度も蚊の毎秒約0.7mに対して、毎秒約2mと速い。蚊の場合は、パルスレーザー1発で全身に照射できるが、ハスモンヨトウのサイズになると急所に当てないと、羽など一部が損傷するだけで撃ち落とせない。

そこで藤氏らは、ハスモンヨトウの体の8カ所に対してレーザーの出力を5〜20ワット(W)まで変えて照射する実験を行った。8カ所とは、顔、羽、触角、胸部、お尻などである。パルス幅は0.1秒なので、1発当たりのエネルギー量は0.5〜2ジュール(J)になる。

レーザーは青色半導体レーザーを使った。ハスモンヨトウの体の色は、茶色と淡褐色で青い光の吸収効率が高いことと、青色の半導体レーザーの出力が赤や緑の半導体レーザーよりも高いためだ。

こうして体の異なる部位にレーザーを照射する実験を繰り返し、急所が胸や顔にあることを突き止めた。この知見を基に、カメラの映像からハスモンヨトウが飛んでいる位置を検出し、それを追尾してレーザー光を照射して撃ち落とすシステムを開発した。「顔や胸に18〜20Wのレーザー光を照射すると1発で仕留められる。距離は最大で10m程度まで対応できる」(藤氏)という。

将来はロボット搭載で移動式に
今回の開発は、政府の大型プロジェクト「ムーンショット型農林水産研究開発事業」で、19年に「先端的な物理手法と未利用の生物機能を駆使した害虫被害ゼロ農業の実現」プロジェクトに採択されたことがきっかけだ。開発は20年にスタートした。

この技術はハスモンヨトウだけでなく、砂漠地域で大量発生し大規模な農作物被害をもたらしているバッタなどにも適用できる可能性があるという。ただし、社会実装に向けた開発はまだ道半ばだ。

課題の1つは、速く飛行する個体を撃ち落とす技術開発である。ゆっくりと飛行する個体の撃墜には既に成功しているが、速い個体に正確にレーザー光を当てるには、現状では追尾の計算処理が追いつかないため、飛行についての予測技術が必要になる。

既に農業・食品産業技術総合研究機構(NARO)がハスモンヨトウの飛行位置の予測技術を開発している。モデル化したハスモンヨトウの飛行パターンと、ステレオカメラで撮影した画像から算出される3次元の位置を融合させることで飛行位置を予測する。

大阪大学では開発した技術とNAROの予測技術を組み合わせ、24年ごろに圃場で実証実験をする予定だ。NAROでは機械学習を活用し、ハスモンヨトウの雌雄を識別し、雌のみを撃ち落とす技術も開発する方針であるという。

実用化に向けた最大の課題は、システムとして圃場のニーズに合ったものを安価に提供できるかにありそうだ。「小型・軽量化とともに、システム価格として10万円以下を目指す。この価格を実現できれば、農薬が不要になることもあるのでかなりのニーズを期待できる。将来はロボットやドローンに搭載して圃場を移動できるようにしたい」(藤氏)としている。

実はマラリア蚊のレーザー駆除システムがメディアで大きな話題になったのは10年代半ばごろのことだが、その後、広く社会実装されたという情報はほとんど見かけない。殺虫剤が不要で自動で次々に蚊を退治してくれる。そして何よりSF的で面白い。そんなことからメディアでは取り上げられやすいが、いざ社会実装となるとコストを含め課題が山積していそうだ。

大阪大学が参加するプロジェクトの最終年度は29年度。それまでにこの未来的な技術を社会実装し、「待ったなし」の状況となっている農作物の病害虫被害低減に貢献してほしい。

(日経クロステック/日経エレクトロニクス 内田泰)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC164DO0W3A510C2000000/
そのうち害虫だけでなく、害獣にも活用できたりして。

第二次産業で産業革命が起こったように、今度は第一次産業で起こるかも。
人手不足に悩む農家には朗報です♫
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