大学生の西川くんは、ある夜、荒川河川敷で射殺死体と遭遇した。その傍らには、雨露で妖しく光るリボルバーが落ちていた。西川くんはそれを拾ってアパートに駆け戻る。翌日から、「拳銃を持っている」ことで気分が大きくなっていく西川。おかげで美人のセフレをモノにし、同級生でそこそこ可愛いユウコとも親しくなれた。だが、まだ満たされない。心は常に拳銃に占められているからだ。ステンレスの銃身をよく磨き、バッグに隠して持ち歩くようにして銃との付き合いを深めていくが、やはりまだ物足りない。そんな時、夜の公園で手負いの猫を見つけた。こいつを安らかに眠らせてやろうと思いつき、衝動的に猫を撃ち殺す。そのまま走って逃げた西川だったが、翌朝刑事が部屋にやってきて…
「銃」。村上虹郎主演作、武正晴監督作品。
以下、要するにネタバレすれば、それでいいんだ。


「タクシードライバー」や「野獣死すべし」の従兄弟にして、特捜最前線・第80話「新宿ナイト・イン・フィーバー」のアップデート版とも言える映画でした。冒頭から後半までずっとモノクロなんですが、これが西川の虚無感と狂気を際立たせ、銃身のシルバーステンレスが映える効果を持たせています。この銃、刑事ドラマでお馴染みのコルトローマンMk�掘A�弾6発です。実は弾数に若干おかしなところがあるのですが、発砲がリアルか妄想かやや解りにくいところもあるので、そこはつっこまないでおきましょう。銃に魅せられて暴走していく展開は自明の理なんですが、その道程がかなり現代的ですね。「新宿ナイト・イン・フィーバー」で赤塚真人演じる昭和のサラリーマンはストレスにストレスを重ねて発砲に至るんですが、平成の大学生・村上虹郎は、ストレスではなく己の狂気や闇を解き放つために、生を実感するために発砲するのです。虚無ではありながら表面的好青年の仮面は取り繕うことができる村上虹郎は、トラビスや伊達邦彦ほど「イッちゃってる感」は薄め。だからこそ、時折見せるサイコパスな顔が怖かったですね。ラストの電車内でカラーに反転した時の映画的カタルシスと映像の美しさは絶品です。こういう挑戦的な映画を、みんな大好き奥山和由が製作したってのが嬉しいですよね。
虹郎くんのパパ、村上淳も出てきますが、どこで登場するかはお楽しみ(笑)
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