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2016年05月04日11:37

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ポール・クルーグマン Diabetic Economy より

クルーグマン教授のNYタイムズのコラムの稚訳です。
原文はこちら。

http://www.nytimes.com/2016/05/02/opinion/the-diabetic-economy.html?rref=collection%2Fcolumn%2Fpaul-krugman&action=click&contentCollection=opinionレジスタードトレードマークion=stream&module=stream_unit&version=latest&contentPlacement=1&pgtype=collection&_r=0

興味ある方は原文を読んだ方がいいかもしれません。
あくまで自分の勉強がてら訳してみました。

ヨーロッパの話ではありますが、、失業率が高いという部分だけ当てはまらないものの、
その他を日本、と置き換えて読んでみるとなんだかむなしく、悲しくなってきます。
まさに日本もヨーロッパと同じ状況だから。

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糖尿病に冒された経済

Paul Krugman MAY 2, 2016

これは悪いニュースである。
一時的な金融危機だと推測されていたころから8年たった今も、
経済の弱体化はずっと続いているということだ。終わりは見えない。
これはみんなで心配するべき状況ではないか。
ヨーロッパ全体とその他の世界に住んでいるわたしたち全員で。

最初は良い話から: 今年の第一四半期におけるユーロ圏
( 同じ通貨を導入した19か国のグループ)は妥当な成長率を記録した。
実際、米国の成長率よりも良かったくらいだ。
ようやく、ヨーロッパの経済は、経済危機前よりほんの少し大きく成長した。
そして失業率は、2013年の12パーセントに比べて10パーセントまで下がった。
しかし、これはあくまで良いニュースとして通用するというだけだ。
アメリカ人は、米国の経済復活のペースが遅すぎると軽く愚痴る。
しかし、米国経済は、金融危機前と比べると10パーセントも成長しているのだ。
同時に失業率も5パーセント以下に戻った。

そして、前述通り、ヨーロッパの慢性的な伸び悩みに終わりは見えない。
金融市場がなんと言っているのか見てみよう。

 安全資産の長期金利がとても低い時は
投資家にとって強い景気回復が視野に入っていないことを示唆している。
さて、ドイツの5年もの国債利回りはマイナス0.3パーセントだ。
実際、金利は8年間マイナスのままである。 


われわれはこの超低金利の状況をどう考えるべきなのか?
最近、ミネアポリス連邦銀行の元頭取であるナラヤマ・コチャラコタがこの状況にピッタリな
たとえ話をしてくれた。
この低金利をこんなに低金利で据え置く必要はない『人工的』だと非難する、
低金利政策に批判的な人々への回答として。
低金利を糖尿病患者が注射しなければならないインシュリンと比較してみようというのだ。

インシュリン注射は健康な人の生活に関係ないし、悪い副作用もある。
しかし、慢性疾患である糖尿病の症状をコントロールするためには必要なものだ。

ヨーロッパにおいては消費の弱さが慢性的であり、
ヨーロッパ大陸経済が引き続きデフレ傾向であるという先入観を与えてしまう。
たとえここ2、3か月調子が良かったとしても。
治癒には至らないとしても低金利のインシュリンは消費の弱さと闘う助けにはなる。

金融緩和の注射がヨーロッパの悩みの種を抑え込む助けにはなっているが
(ヨーロッパ中央銀行のマリオ・ドラギ総裁の指導力が無ければどんな惨状になっていたのか
ぞっとする)
金融緩和は治癒の兆候は示してはいない。実際に中央銀行の努力にかかわらず、
ヨーロッパの潜在インフレ率は、公的目標である2パーセントよりずっと低いままだ。

同時にヨーロッパ全体の失業率は、わたしが滞在中のポルトガルでも大きな問題で、
大変大きな人的、社会的、政治的なダメージを与える水準のままである。

スペインではそれが顕著で、最近では成功物語が喧伝されているが、
いまだに若者失業率が45パーセントという信じがたい状況だ。

もう何が起きても新鮮な驚きはないだろう。ギリシャが再び破たんしても、英国市民がEU離脱に投票しても、中国経済が崖から転落しても、何があっても。ヨーロッパの為政者たちはどのように破たんの影響を相殺できると考え実行しようとしているのか?誰もアイデアがあるようには見えない。

実はヨーロッパが抱える慢性病を完治させるにはどうしたら良いか知ることはたやすいことだ。
公共投資を増やすことは、特にドイツではできない相談らしい。フランスも同様だ。
フランスのリーダーたちが気づいているよりも年間決算の状態は良いのにもかかわらず。

目標に届いていないインフラ需要がとても多い上に、投資家が政府にどうしてもお金を出すように頼み込んでいる状況。
わたしはインフレから守られている10年の実質金利、国債金利は
マイナス0.8パーセントだと言いましたっけ?

そしてヨーロッパの中心がもっと消費してくれることで周辺諸国も多大な恩恵を受けることになる。


しかし、正しいことをするのは、政策的には無理な相談らしい。
既定路線を変える意志を表明するどころかドイツの政治家はヨーロッパ中央銀行で絶えずでしゃばっている。ここはヨーロッパの主要機関の中で唯一何がヨーロッパ経済に起きているのか把握しているところなのに。

こんな言い方もできる: ヨーロッパを訪れてみたらアメリカ人は自国に満足できる。

確かに米国の二大政党のうち一つは危険なほら吹きを大統領候補にしようとしている。
しかし、GOP(共和党)はここしばらく発狂のプロセスにあるし、
彼はホワイトハウスには入れないだろうという見方が大半だ。

ということで、米国の経済、政治の状況はずいぶん希望を与えてくれているが、ここヨーロッパでは希望はかなりの供給薄状態だ。

わたしはヨーロッパがこの鬱屈から浮かび上がるのを見たい。
世界にはもっと活気に満ちた民主主義が必要だ!
だが、いまのところ前向きな兆候は見当たらない。

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