先日の新聞で、4月から6月までのGDPが発表された。
実体経済のマクロ指標であるGDP(実質GDP成長率)がマイナスに落ち込み、実質賃金も対前年比下落が続いていますが、なぜか企業収益だけが拡大しています。
黒田日銀総裁は、27日にNYで講演し、日本企業の収益が過去最高水準にあることを受け、「デフレ脱却に向けた動きはストップしていない」と、演説しました。
「経済成長率のマイナス」と「企業収益過去最高水準」双方ともに事実ですが、黒田日銀総裁が言う「デフレ脱却に向けた動きはストップしていない」という結論は導き出せません。
「生産者がモノやサービスという付加価値を【生産】し、顧客が消費・投資として【支出】(購入)し、【所得】が生まれる」と、所得創出のプロセスについて説明します。
上記【生産】【支出】【所得】の合計は生産面のGDP、支出面のGDP、分配面のGDPに該当し、三つのGDPは必ず金額が一致します。
これを「GDP三面等価の原則」と呼びます。
という話は今更ですが、実は上記の【所得】とは、大雑把に書くと企業の粗利益になります。
企業は粗利益から各種の費用(人件費、税金など)を支払います。
すなわち、給与所得や税金は、企業が稼いだ【所得】からの、従業員や政府に対する分配なのです。
現在、【所得】の合計であるGDPはマイナス成長です。
それにも関わらず、分配を終えた(=法人税を支払った)企業に残った【所得】、すなわち企業収益(最終利益)は過去最高になっています。
これが、何を意味しているのか。
要は、所得の分配が歪んでいるのです。
全体の所得のパイ(=GDP)が増えていないにも関わらず、従業員や政府などに対する分配が減った結果、残った企業収益が最大化されたに過ぎないわけでございます。
すなわち、一般の従業員と、最終利益から分配(配当金、自社株買い)を受けるグローバル投資家を含む株主との「所得の分配」が、株主側に過度に傾いてしまっているわけです。
簡単に書くと、資本から所得を得る人々と、実体経済から所得を得る人々との格差拡大です。
ピケティ風に書くと、まさに「r>g」というわけでございます。
国内の所得格差拡大は、デフレを深刻化させます。
何しろ、多数派である一般国民の所得は抑制され、購買力が高まりようがないのです。
すなわち、内需という最強最大の需要が伸びません。
さて、ここまで読み進め、冒頭の黒田日銀総裁の発言について、どのように感じますか。
「日本企業の収益が過去最高」と「デフレ脱却」は、方向が真逆である可能性があるわけで、現実の日本では間違いなく「真逆」なのでごす。
中央銀行総裁という立場にある人が、この程度の認識なのですから、我が国がデフレから脱却できないのも無理もありません。
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