ベトナムにいた頃ベトナム人に日本語を教える活動をしていた。
大学などの公共施設の一室を借りフリー・クラスを作って
そこでベトナム人の若者たちに日本語を教えるわけだが
彼らは非常に自尊心が強い人たちだった。
彼らは私が彼ら一人一人の名前を憶えていないことを責めた。
一度しか会っていないのに彼らは私が名前を憶えることを期待していたのだ。
初対面では先ず名前を訊くのがマナーなので形式的に訊くだけで
一人一人の名前など右の耳から左の耳へと通り過ぎていってしまう。
だから私は毎度のように叱られた。
名前だけならまだしも
家族を亡くしたことを忘れてしまうこともよくあった。
ベトナムでは家族について尋ねるのもマナーのうちの一つだから
「お父さん、お母さんはお元気ですか?」と挨拶のように訊く。
これも形式上のことなので情報は右の耳から左の耳へとすり抜けていく。
ベトナムでは家族を亡くした人はとても多い。
医療の技術が未熟なため大した病気でもないのに命を落とすことは珍しくない。
それでよく家族を失ったことを忘れて
「お父さんはお元気ですか?」と訊いて辛い思いをさせたことが何度もある。
仲のいい友人の誕生日を忘れて怒られたこともある。
ベトナムではいい大人になっても誕生会を催す。
誕生日は最も重要な記念日である。
それを忘れるというのは致命傷になる。
関係にヒビが入ることは間違いない。
ベトナムのエースコックの代表的なカップ麺の名前はNHO MAIMAIという。
NHO は忘れない、MAIMAIは永遠に、という意味である。
ベトナム人は恋人同士でNHOという言葉をよく使う。
NHO EM (NHO ANH)というのは英語の語感でいえばI miss youのことで
「あなたを忘れない」という意味である。
ベトナム人は忘れられることを非常に恐れる。
人の心を知る手がかりが記憶力である。
記憶力が悪いと「情けのない人」だという烙印を押されてしまうだろう。
忘れてもいいことと忘れてはいけないことの違いを見つけることが
人生最大のポイントである。
平均的な大人は1日に3つ何かを忘れる
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=908157&media_id=49
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