1986年9月19日、私は名古屋・大須にあった円盤屋という中古レコード店にいた。
大須周辺には中古レコード店が多く、
私はよくその辺りをブラブラするのが好きだったからだ。
その界隈には家電を扱う店が多く、
子供の頃からオーディオマニアだった私には
1日中歩き回っていても飽きない場所だった。
円盤屋に入りすぐに目に付いたのは「ガロ」というフォークグループのLPだった。
「ガロ」には思い出があった。
私の兄は仕事中に交通事故で死んだ。
その4日前、私は三重の鈴鹿サーキットに行き、
そこに何故か中古レコードを売る屋台があり
「ガロ」のシングル「ロマンス」がタダ同然で売られているのを見た。
「買って損はないだろう」そんな軽い気持ちで買ってみた。
「ガロ」は兄が好きで、よく聴いていたから何となく耳に残っていた。
兄が死ぬ前日の朝、私は彼とけんかし、
学校から帰って「ロマンス」を聴いていたら
兄がおどけて歌に合わせてリズムを取って見せ私を笑わせようとした。
どうやら朝言い過ぎて反省しているようであった。
私は怒りが収まらずにいたのでそれを無視した。
生きている彼を見たのはそれが最後だった。
円盤屋で「ガロ」のLPを買った翌日
それを聴きながら思い出に浸っていたら、TVでびっくりするニュースが流れた。
なんと「ガロ」の元メンバーのトミーが自殺したのだという。
前日、偶然見つけたレコードは何かを私に訴えようとしていたのだろうか?
実はトミーのライブを見たことがある。
彼は「ガロ」解散後ハードロックバンド「MaMaDoo」を結成している。
元々ロック志向が強く、本来はフォークではなくロックをやりたがっていたのだった。
そのバンドを見たのは名古屋の鶴舞公園で行われたフリーコンサートの会場だった。
私の目当ては「クリエーション」であったが
一番印象に残っているのは盲目の歌手長谷川きよしである。
残念ながらトミーのバンドのことは全く覚えていない。
今でも「ガロ」と聞くとふっと昔のことが蘇って来る。
そういえば円盤屋でいつも店番していた店長、デイブ平尾にそっくりだったな。
今頃どうしているんだろうか?
今でも大須にいるんだろうか?
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