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2023年07月21日20:11

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THE FIRST SLUM DUNK

見てから随分間が空いてしまいましたが(見たの今年の1月です)、映画『THE FIRST SLUM DUNK』の感想と、関連した雑感をまとめてみようと思います。

まず自分は連載当時からの読者で、テレビアニメ版も見ておりました。
単行本は買ってなかったのですが、高校の部室に置いてあったのを読んでいた記憶があるので、振り返ってみると小中高くらいの間にスラムダンク熱が刷り込まれていたのだと思います。
ただ、その後は特に触れる機会もなく、自身の認識として「熱烈なファンというわけではないけど大好きだった」くらいの感じです。
ちなみにバガボンドもリアルも読んでいません。
そもそもバスケが得意なわけでも好きなわけでもありません。


その程度の自分が映画化の報せを聞いた時、やはり最初に頭に浮かんだことは「未完のまま終わってしまったテレビシリーズの総括になるんじゃないか」ということです。
当時のメインキャストは大御所級になったとはいえ全然現役で活躍しているわけだし、これ以上遅れたらもう再集結のタイミングは無いのではないかと…とかも考えました(奇しくもテレビシリーズでゴリを演じた梁田清之が公開前に57歳という若さで亡くなってしまいました)。
なので、声優陣が一新されるという公開直前のニュースには心底ガッカリしました。
例えばドラえもんやルパンのように、今後末永くシリーズを続けるための総入れ替えとかは全然分かるのですよ。
何クールも続けるわけでもなく、多分The Second SLUM DUNKも無さそうな中、一回こっきりの再登場なら「あの頃のアイツらに会いたい」というファンの気持ちに寄り添った作りにしてくれても良かったんじゃないか…というのは今も変わらぬ思いです。

で、一旦よろしくない感情が芽生えると悪いところに目が行くもので、予告を見ても「原作の絵が動いてる!」と言えば聞こえは良いものの、何というか…こう、絵に瑞々しさが無いというか、汗だくになって走り回っているはずなのに乾いた絵に見えてしまうなぁ、と思ったり。
あと、背景の観客がドリフとかに出てくる絵に描いた看板みたいに見えたり。

そんなこんなで見る気が完全に失せていたのが公開前。
そしていざ公開したら評判が凄いじゃないですか、大絶賛の嵐で。
決定的だったのが職場の人で「原作もアニメも見てないけどハマっています。漫画読み始めました」という人がいたこと。
これは相当だな、と。
奥さんも珍しく見たいと言ってるし、これは見に行かねばならないだろうと。

(以下、ネタバレ含みます)










今作はTHE FIRSTと銘打ってはいるものの、原作の最終戦・山王工業高校との試合を描きつつ、その合間に(主に)宮城リョータの過去のエピソードを挟み込む形式を取っています。
本来の主役である桜木花道の目線ではなく、ポイントガードとして試合を見渡す立場から語り直すというのは面白いなと思いました。
また、リョータは原作においてほぼバックグラウンドが掘り下げられていない人物なので、その生い立ちを今回初めて明かすことで原作ファンも新鮮な気持ちで見ることができたのではないでしょうか。

ただ、自分はここでまず躓きました。

描かれていなかった過去が描かれる…それ自体は良いと思うのですが、その過去が重過ぎて、もはや自分の知っているリョータとは別人に思えてしまったのです。

別に重い過去を語るなと言っているわけではありません。
「全然知らなかったけどリョータ…お前、大変だったんだな」という気持ちが無いわけではないのです。
ないのですが、リョータの持つ『軽妙な格好良さ』が損なわれてしまったように感じられたことが大問題なのです。

原作において、心理的掘り下げがされていなくても、リョータは十分魅力的なキャラクターでした。
体格で劣っていようともそれを武器に変えることができるし、桜木とはまた違ったクレバーな明るさの持ち主であることからも、クソ真面目・無口・元ヤン・自称天才の中では独自の立ち位置を確立していたと言えます。
少なくとも原作において、今作で描かれるような暗部なんて想像すらさせない人物でした。
そこに今回のような悲劇的なエピソードを加えるなら、『そんな影を感じさせないくらいに敢えて明るく振る舞うよう努めていた』ことが直接伝わる描写が欲しかったし、その上で『そんなリョータでも再び訪れた例の洞窟では感情を抑え込むことが出来なかった』という演出にした方がよりグッと来るんじゃないかなぁ…と思うのですがどうでしょう。

とにかく、終始ウェット過ぎて本当に別人みたいなんです。
私が好きな宮城リョータは、試合前日、舐めた口を叩く相手選手に


「切符買っとけよ、明日帰るんだろ」


と、さらりと返す(でもナメられたことにカチンと来てもいる)、そんなキャラなのに。
どうせ主役に据えるならこっち方向の魅力をもう少し膨らませて欲しかった、というのが正直なところです。

そうまでしてリョータをじっくり描いておきながら、やっぱり試合展開は原作通りなのだから、そりゃ終盤は桜木花道にフォーカスされて当然ですよね。
三井が一度はグレて、そこから再起したことも少なからず語る必要ありますよね。
でもビックリするくらいその辺の描写は少ないです。
ゴリもそうだし、流川に関してはほぼ描かれないし。
それならもう少し万遍なく主要メンバーを描いてくれた方が良かったんじゃないか、リョータの視点だけで絞り込むのはどうしたって無理があるのだから。
沢北のエピソードも追加してるくらいなんだし。


とまぁ、文句が続きましたが上に挙げた点以外の要素はことごとく百点なので、結果超面白かったというのが最終的な感想です。
やっぱり何回見てもあの試合展開は燃えますよね。

動きのリアルさは言わずもがな、特に音の演出が良かった気がします。
ドリブルのダムダム音とかバッシュの擦れるキュッって音とか。
あとリョータが覚醒して切り込んで行く瞬間にかかる主題歌「第ゼロ感」の、問答無用な高揚感が凄くて鳥肌立ちましたよ。

結論、試合の部分が色褪せることなく熱いし燃えるし、そこに現在のCG技術力の高さが加味されて、漫画でもテレビアニメでもなし得なかった臨場感が味わえる映画になっていました。
今回オミットされてしまった原作のシーンも描いて欲しかった気持ちはありますが、映画と原作がそれぞれ補完し合う間柄なのだと飲み込むことにします。
叶うならば省略されてしまっていた前半戦を含め、フル尺での試合だけを編集したバージョンとか見てみたいですね。





…さて。
映画の感想は以上なのですが、もうちょっとだけ個人的な話をします。

この映画を見た直後くらいに、いわゆる「親子無料招待」的な形でプロバスケットボールの試合を見に行くことになりました。
プロのバスケを生で見る機会は人生初です。
というか、体育の時間とスラムダンク以外でバスケの試合を見たこと自体ありません。
NBAとかも全く興味無かったし。

で、実際に見てみたらこれが最高に面白かったんですよ。

今回初めて試合を最初から最後まで見たことで、色々とバスケの魅力的なところに気がつきました。
まずルールが分かりやすい。
もちろん細かいルールは色々ありますが、大枠は「ボールを輪っかに入れろ!」ですから、子どもでも理解しやすかったと思います。
(その点、完全知識ゼロの子どもに野球のルールを説明するのって相当難易度高いですからね。)
分かりやすさで言うとサッカーも「ネットにボールを蹴り入れろ!」なので同じくらい分かりやすいのですが、バスケはサッカーと比べて少人数でフィールドも狭い分、試合展開がスピーディーで熱中しやすいと感じました。
単純に得点チャンスも多いし、尚且つある程度のリードはすぐひっくり返るので緊張感があります。
事実、この時見た試合は終了間際のラストショットで勝敗が決まったので、リアル山王戦を見たような気分になりました。
リアルの試合見てスラムダンクみたい、って変な感想ですよね。
でも本当にそんな感じでした。


改めて考えると、スラムダンクの面白さは登場人物のドラマはもちろんのこと、そもそもバスケの魅力を真正面から描いていたことに起因するような気がします。

『バスケそのものが面白い』

ジャンプで新連載として始まってから長過ぎる月日が経ってしまいましたが、この当たり前の真実にようやく自分は辿り着けたようです。
そしてそこに導いてくれたのは間違いなくスラムダンクでした。
今さら自分がどうこう言うまでもなく、やっぱり凄い作品なんだと思い知った次第です。

というわけで、今さら映画を見ろとは言いませんので、もしまだ生で見たことがない御仁がいたら是非Bリーグの試合を会場で見てほしいなと思います。
バスケに全然興味が無いという方、特にスラムダンクなんて知らないという子どもたちにはオススメしたいです。
高校でいきなり初対面の女子に「バスケットはお好きですか?」と聞かれた時のためにもね。

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