SPACに清算ブーム、損失さらに膨らむ見込み
年内めどに閉鎖進む 買収候補見当たらず、来年導入される新税も背景
By Amrith Ramkumar
2022 年 12 月 27 日 12:19 JST
特別買収目的会社(SPAC)がブームに沸いていた頃、誰もが先を争ってSPAC設立に走った。だが今、関係者は年内にSPACを清算しようと急いでいる。SPACを巡る熱狂は見苦しい結末を迎えた。
今月に入り、SPACの閉鎖は1日4社のペースで続いている。これは昨年初めに、このセクターがピークに達していた頃のSPAC設立のペースとほぼ同じだ。閉鎖を急ぐ背景には、すぐに買収・合併できそうな候補企業が見当たらないことや、新たな税金が来年から課されることが突如決まったという事情がある。
約70社のSPACが今月すでに清算を完了し、投資家に資金を返却した。調査会社SPACリサーチによると、この数はSPAC史上でこれまでに清算された会社の総数を上回っている。SPACの設立者は、今月の清算で6億ドル(約797億円)以上、今年に入ってからは11億ドル以上の損失を出した(SPACリサーチ調べ)。
さらに多くのSPACが向こう数週間のうちに閉鎖すると発表している。この傾向は、ベンチャーキャピタリストのチャマス・パリハピティヤ氏やプライベートエクイティ(PE)ファンドのアレック・ゴアズ氏、ゴールドマン・サックス・グループの元社長ゲーリー・コーン氏など富豪の個人投資家をはじめ、投資ファンドのKKRやTPGといったウォール街の大手企業を含む多数の支援者・企業を苦しめている。
ただ、SPACの大口投資家の多くにとって、清算による損失は熱狂時代に築いた財産のごく一部に過ぎない。パリハピティヤ氏は9月に2つのSPACを閉鎖すると表明したが、同氏の投資会社ソーシャル・キャピタル・ホールディングスはいくつかの取引で約7億5000万ドルを稼いだとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に語った。同社は宇宙旅行を手掛けるヴァージン・ギャラクティック・ホールディングスや個人向け金融アプリのソーファイ・テクノロジーズなどの企業を上場させている。
このゲームに遅れて参加したSPACは買収・合併先を見つけるのに苦労している。株価の下落と金利の上昇により、新規上場市場は実質的に凍結され、経営陣が2年間という案件探しの期限を守ることは困難になっている。その期限の多くが来年前半に迫っている。
気候変動や医療、歳出に関するインフレ抑制法が成立し、自社株買いに対する1%の連邦税が導入されることも清算を加速させている。SPACを清算し、投資家に現金を還元することは、会社の既存株の買い戻しと見なされ、来年から買い戻し税が課されることになる。一部のアナリストは、SPACの清算損失は向こう数カ月で20億ドルを超えると予測している。
「富を生み出す素晴らしい手段だと思われていたものが、だんだんと毒入りの聖杯のように見えてきた」。ブティック投資銀行メトセラ・アドバイザーズの共同マネジングプリンシパル、ジョン・チャチャス氏はそう話す。同行はSPACからの問い合わせを受ける機会が増えている企業に助言しているという。
白紙委任会社とも呼ばれるSPACは、投資家から資金を調達し、未公開企業と合併して上場を目指すが、その目的は株式公開だけというダミー会社だ。規制当局の審査を経て取引が完了すると、株式市場に名前が登場するのはSPACではなく上場した企業だ。
こうした合併は、2020年と2021年に従来の新規株式公開(IPO)に代わる人気のある選択肢として登場したが、ブームは今年の市場反転で終焉(しゅうえん)した。
この方法で上場した企業を組み入れた上場投資信託(ETF)は、スポーツ賭博のドラフトキングスや電気自動車(EV)メーカーのルーシッド・グループなどの新興企業の下落に引きずられ、今年70%余り下げている。SPAC経由で上場した企業は今年、他の新規上場企業よりも株価が悪化している。
SPACの特徴の一つは、投資家が買収・合併に参加したくない場合、現金を取り戻すことができることだ。市場が沸いていた頃、投資家は新規公開した新興企業の株を持ち、大きなリターンを期待したり、株がすでに上がっていればすぐに売却することが多かった。だが今、投資家は買収・合併前に撤退することが多くなり、企業が調達できる現金の額は劇的に減少している。
SPACは現在、このセクターのピーク時よりも低い金額で企業を買収している。ディールロジックのデータによると、SPACによる合併を発表した新興企業の平均評価額は、昨年の大半は20億ドルを超えていたが、今期は4億ドル程度に減少している。この2年間で約300社がSPACを通じて株式公開した。
SPACリサーチによれば、まだ400社近いSPACが約1000億ドルを保有しており、買収・合併先を探している。SPACを研究しているニューヨーク大学法科大学院のマイケル・オルロッジ教授は、SPACのうち約200社が清算された場合、設立者の損失は20億ドルをはるかに上回ると指摘する。SPACの設立者は今年、清算により平均約900万ドルを失っている。これは、ペーパーカンパニーを設立するために銀行や法律事務所に支払ったものだ。
さらに、合併契約には達したものの、まだ完了していないSPACが150社あり、全体で約250億ドルを保有している(SPACリサーチ調べ)。その中には、ドナルド・トランプ氏のソーシャルメディア企業を上場しようとしているSPACも含まれている。この150社の中には恐らく合併を断念するものも出てくるとみられ、清算損失は予想以上に膨らむ可能性がある。
https://jp.wsj.com/articles/spac-boom-ends-in-frenzy-of-liquidation-11672111131
禿鷹ファンドとSPAC(Special Purpose Acquisition Company)との違いは、買収した老舗企業を解体して高く売りつけて差額を稼ぐか、有望な未上場のベンチャー企業を買収して成長させて売り抜けるかです。
一方はバリュー株戦略で、もう一方が成長株戦略です。
どちらの戦略を取るにせよ、ネタになる企業がなくなればそれで終了です。
所詮金融は実業の影に潜む虚業です。
ITバブルが崩壊した時の様に、新たなバブル崩壊にならなきゃ良いですが、中共あたりからドミノ式に崩れて行くかも^^;
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