mixiユーザー(id:644479)

2022年06月28日09:06

184 view

石炭火力に舵を切る欧州

あれだけ日本を批判したのに…脱ロシアを名目に石炭火力に舵を切る欧州の苦悩
天然ガスの「兵糧攻め」を仕掛けるロシアが問うヨーロッパの脱炭素化の現実味
2022.6.28(火)
土田 陽介

ロシアが欧州連合(EU)に対して、天然ガスの供給を段階的に削減している。

 ロシアは4月以降、EU各国の需要家に対して、ロシア最大の天然ガス企業である国営ガスプロムの金融子会社ガスプロムバンクに口座を開設し、ルーブル建てで決済するよう求めている。少なくないEUの国が、この措置に対して反発した。

 その結果、ロシアは4月末にブルガリアとポーランドに対して天然ガスの供給を停止した。5月末には、オランダとデンマークに対してもロシアは同様の措置を取った。

 一方で、ロシア産の天然ガスに対する依存度が高いドイツとイタリアのエネルギー企業はガスプロムバンクに口座を開設し、ロシア産天然ガスの輸入を続けた。

 ところが、6月に入るとガスプロムはドイツに対してもガスの供給を削減するようになった。具体的には、ガスプロムは6月15日と16日の二回にわたり、バルト海経由でロシアからドイツに天然ガスを輸送するガスパイプライン「ノルドストリーム1」の供給を削減した。この措置で、同パイプラインの輸送量は通常から6割減少した。

 ドイツ最大のロシア産天然ガス輸入業者であるウニパーも、ロシアからの供給が契約水準より4分の1減少していると発表している。ガスプロムはカナダで修理中のドイツ重電大手シーメンス・エナジー機器の調達の遅れを削減理由に挙げているが、ドイツはこれを否定し、価格の吊り上げ工作であるとロシアを批判している。

 ロシアが天然ガスの供給を意図的に絞っているなら、これは「兵糧攻め」に等しい。EU統計局(ユーロスタット)によれば、EUの天然ガスの総供給量(生産+輸入)に占めるロシアからの輸入比率は2020年時点で34.4%に相当する。そのほとんどがパイプラインによる陸上輸送であるため、兵糧攻めの効果は大きい。

石炭火力に回帰する環境先進国のEU各国

 EUは3月8日、2035年までにロシア産化石燃料から脱却するための行動計画「リパワーEU」の政策文書を公開した。5月18日にはその詳細も発表されたが、今年中にロシア産の天然ガスの使用量の3分の2に相当する量を削減するという計画は極めて野心的であり、多くの識者がその実現可能性に対して疑義を呈している。

 ロシア産の化石燃料のうち、石炭に関する禁輸措置は4月8日に合意に達した対露制裁第5弾のパッケージで、また石油に関する同措置は6月3日に合意に達した同制裁第6弾のパッケージで、それぞれ既に合意に達している。だが、天然ガスに関しては、ロシアへの依存度が高いドイツやオーストリアを中心に慎重論が根強い。

 こうした状況を受けて、EU各国では石炭火力発電を復活させる動きが相次いでいる。ギリシャをはじめとして、オランダ、オーストリア、ドイツである。ドイツにいたっては、5月末に主要7カ国(G7)の環境相会議で、議長国として石炭火力を2035年までに段階的に廃止するとする共同声明を取りまとめたばかりだ。

 ドイツのハーベック副首相は6月19日に石炭火力の増強に関して声明を出した際に、それを「苦痛(Das ist bitter)」と表現しながらも、冬季に向けたガス備蓄を進めるためには不可欠な措置であるとして理解を求めた。副首相がベーアボック外相とともに共同党首を務める環境政党、同盟90/緑の党の支持者に対する弁明というところだろう。

 ヨーロッパにおける石炭回帰への動きそのものは、ロシアが兵糧攻めを仕掛ける以前より「脱ロシア化」を図る観点から模索されていた。当然、ロシアが天然ガスの兵糧攻めを仕掛ける可能性への危機感を持っていたためだが、実際にロシアが兵糧攻めに等しい行動に出たことで、ヨーロッパ各国の石炭回帰の動きにはドライブがかかるはずだ。

改めて問われる脱炭素化の現実味

 ここで話をドイツに転じたい。

 同国の2021年時点の電源構成(図)を確認すると、再エネの41%を筆頭に、石炭28%、天然ガス15%、原子力12%であった。うち原子力は2022年末までに全廃する方針をショルツ政権が堅持しているし、天然ガスはロシアによる供給減や脱ロシア化の観点から拡大が困難である。残る電源は再エネか石炭しかない。

【ドイツの電源構成(2021年)】
https://jbpress.ismedia.jp/articles/gallery/70718?photo=2

 ドイツのショルツ政権はロシアがウクライナに侵攻した直後の2022年4月、2035年までに再エネによる発電100%を目指すエネルギー法案を発表した。確かに、再エネは脱炭素化と脱ロシア化の両立に適うという意味では理想的なエネルギー源だろうが、ドイツで本当に再エネを拡張する余地があるのかというそもそもの疑問が残る。

 現状、ドイツの再エネ発電のほぼ半分は風力であり、これが再エネの主力だ。しかし、バルト海以外に海を持たないドイツにとって、これ以上風力発電を増やすことは至難の業と言える。太陽光発電に関しても、日照時間が短いドイツでは拡大の余地が限られる。水力発電も、ドイツは国土が平たんであるため能力の増強は難しい。

 となると、残された手段は自らが否定し続けてきた石炭火力の増強しかない。情勢が変わったと言えばそれまでだが、そうであれば原発の稼働延長も視野に入ったはずだ。脱炭素化の観点からすればそれも一つの手段だったが、脱原発は連立政権の一角をなす同盟90/緑の党の党是でもあるため、石炭以上に受け入れ難かったのだろう。

脱ロシア化との両立で綻びを見せた脱炭素化

 石炭に関しては、炭素固定化の技術も進展しており、一概に廃されるべきエネルギー源ではなかったはずだ。にもかかわらず、ヨーロッパ勢は2021年11月の気候変動枠組み条約第26回締結国会議(COP26)で石炭火力の早急な廃止を盛り込もうと躍起になっていた。そのヨーロッパ勢が、脱ロシア化を理由に石炭火力に注力しているのだから皮肉なものだ。

 石炭火力の利用は「脱ロシア化」を目指すうえでの経過的な措置であるとヨーロッパ各国は説明するはずだが、こうした状況を途上国などから「二重規範」だと批判されても致し方がないところだろう。脱ロシア化との両立を図ろうとすることよって、ヨーロッパが志向する脱炭素化の綻びが早くも露呈してしまったとしても過言ではない。

 とりわけG7の議長国として脱炭素化で存在感を示したいドイツの場合、原発を継続しないで石炭を強化するという、脱炭素化の観点からすれば矛盾した行為を強めることになる。この決断に至るまでの理由をドイツ政府は内外に対してきちんと説明しているとは言えない。そうした態度のままでは、ドイツが不信感を持たれても仕方がない。

 いずれにせよ、脱ロシア化との両立を図ろうとしたことで、ヨーロッパが描く脱炭素化は早々に矛盾を露呈することになった。そうした矛盾を抱えながら、ヨーロッパは今後も脱炭素化に突き進むことになるのだろう。矛盾を抱えている以上、いずれかのタイミングで行き詰まりを見せることになると予想される。

 日本のエネルギー事情も、脱炭素化と脱ロシア化の両立を図るヨーロッパの影響を色濃く受けている。今夏もさることながら、今冬の電力不足は深刻になる模様だ。ヨーロッパの二重規範は褒められるべきではないが、厳しいエネルギー事情を考慮に入れれば、日本もあらゆる手段を模索し、現状打開に尽くすべきではないだろうか。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/70718
日本の効率の良い石炭火力発電を欧州に売り込む絶好の機会です。
途上国へのインフラ投資の一環として、石炭火力発電所を建設するのもありです。

欧米が本来の合理的なエネルギー政策を妨害する事はもうないでしょう♬
7 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2022年06月>
日 月 火 水 木 金 土
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930