ニュース記事とは無関係です。
ロシアのチグハグな言動や、戦略目標との乖離を考えると、ロシアはすでに当初の戦略を実行できなくなっているように見えます。ロシアの建前上の戦略目標は「在ウクライナ親ロシア派住民の解放」であり、本音は「ウクライナの軍事的無害化」だと言えるでしょう。
クリミア半島や東部各所へのロシア軍の侵攻はわからなくもないのですが、最終的にこれらの地域を支配下に置きたいのだと「仮定すると」、実はこの戦術はうまくありません。実際に交渉の過程を想像してみればわかりますが、100キロ平方占領しました!これを全部もらいます!停戦しましょう!という主張は通りにくいでしょう。
じゃあどうするかというと、
「ドニエプル川以東をほとんど占領しました!俺たちの勝ちですね!撤退する代わりに東部は頂戴します!」というのが落とし所として妥当でしょう。
ところが、さすがに20万人程度の兵力でこれを実現するのは難しい・・・ような気もします。例えば、戦争の規模が近いアメリカ-イラク戦争の兵力は26万人ほどですが、圧倒的な技術格差がありました。アメリカ-イラクよりも技術的な格差が小さいロシア-ウクライナ戦争で、20万人程度の兵力でウクライナの国土の半分を掌握というのはかなり微妙なラインです。
実際、ウクライナ側の方が数倍も死傷者は多いものの、よく健闘しているのは事実だろうと思われ、侵攻側のデメリットが露呈している状況です。遠征軍は若くよく訓練された兵士でなければ務まらない反面、防御側は未熟で二流の兵士であっても戦いやすいからです。
というところまで想定して、ロシアはキエフを攻撃目標としたのではないかという気がします。首都解放と引き換えに東部の割譲と、旧ベルリンのような支配体制を行う・・・というのは交渉として妥当な線です。ゼレンスキー氏の殺害→指定した人物による傀儡支配や、それによる割譲への合意、NATO不参加への合意などは、首都を落とせば難しくないようにも思います。
が、それも攻略に失敗。電撃戦のような高速戦術ではいかに短期間に効果的な攻撃を集中するかという技術的な側面が必要になりますが、正直これは個人の能力に依存します。というのは、こうした作戦を立案できる人物は極めて稀で、秀才というよりは天才に近い感覚が必要なようです。先進国であればできるか?というわけでもなく、アメリカでさえ湾岸戦争では電撃戦を行いましたがイラク戦争では行っていません。これはアメリカであっても、電撃戦を理解している立案者がほとんどいないことを意味します。
当然、ロシアも「電撃戦するぞぉ」とぶち上げたものの(2日で終わる、って言ってましたよね)、細部ではグダグダになってしまい、達成できていないのはご存知の通り。こうした作戦は「電撃戦で行くぞ!!」って言ったって達成できるものではなく、作戦能力というか指揮能力というか、軍全体をコントロールする練度が必要なわけで、容易ではありません。現代の国家で電撃戦をまともに行えそうなのは、政治力や軍事力の他に、軍の練度や民族の雰囲気まで考慮に入れると米・英・独くらいな気がします。まぁ、相手にもよりますが。
まあとにかく、ロシアは電撃戦で勝つつもりで色々と目論んでいましたが、実際には失敗し、その綻びが各方面で見えているようです。ミサイル防空艦の被撃沈などはその最たるもので、完全にウクライナの能力を舐め切っていたようです。
ただ、これで終わりかというとそうでもなく、ロシアは前に進めないだけで、ウクライナが押し戻すのはかなり困難です。ロシアは戦略目標として「民間人の解放」を謳っているが故に自らに制約をかけている側面があり、「何が何でもやる」というドクトリン(戦闘教義ではなく、基本原則)に切り替える場合はウクライナに対する数的優位は揺るがないでしょう。
戦闘が長引き、ロシア人の戦傷・戦死が増えると、ロシア自体が好戦的なムードに切り替わる可能性もあります。ロシアが新たに支配した地域で長く居座ると、奪還するウクライナの方が不利となり、ウクライナ戦車がロシア軍の対戦車兵器で次々撃破される、というこれまでとは逆のシーンも増えるはずです。
ウクライナがどうしたいかにもよりますが、侵略された領土の完全奪還はかなり難しいと見ていいのが現状で、その場合ロシアは東部の一部地域の支配確立など、戦略目標の一部を達成することになります。
ウクライナの健闘ムードが強いものの、ジャイアントキリングを達成しなければならないのは過酷な道です。どうなるか・・・。
■駅のロシア語案内覆い隠す=JR東日本、批判受け撤回―東京
(時事通信社 - 04月15日 11:31)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=6923752
ログインしてコメントを確認・投稿する