日本の防衛産業「土俵際」 受注数半減、選択と集中問う
2022年1月9日 2:00
日本で防衛装備品の生産から撤退する企業が相次ぐ。技術が高度になった半面、防衛省が発注する数は20年ほどで半分に絞った。最新の戦闘機などは日本企業だけで開発が難しく、米国依存も一段と強まる。中国や北朝鮮の脅威が増す状況で防衛産業は土俵際に立つ。自前で残す技術の選択と集中が重要になる。
「生産に積極的になれない企業が多く、産業が脆弱だ」。岸信夫防衛相は危機感をあらわにする。
2019年にコマツが防弾性能などを持つ「軽装甲機動車」の開発を中止した。20年には航空機のパイロットの緊急脱出装置を納入してきたダイセルが撤退を決めた。
防衛省によると陸上自衛隊は1989〜98年に大砲を積んだ自走砲や装甲車、戦車を年平均68.6両調達していた。09〜18年は26.6両にしぼんだ。海上自衛隊の掃海艦艇や護衛艦、航空自衛隊のヘリコプターや戦闘機も減った。
冷戦期の日本は旧ソ連の北海道侵攻の脅威を踏まえ、戦車などの陸上装備を国内企業から大量に調達していた。冷戦が終わって2000年代に入ると防衛分野は削減対象になった。政府は03〜12年度の10年間で防衛予算を5%減らし、調達を絞り込んだ。
業界が「お久しぶり生産」と呼ぶ間隔があく受注が増えた。技術者や設備を維持する企業の負担は重くなった。
防衛装備品はもともと利益が出にくい。防衛省は一般的に原価に5%ほど上乗せした額で発注し、企業努力の余地は少ない。営業利益率が10%超の米防衛大手ロッキード・マーチンなどと差がある。
日本勢の多くは事業全体に占める防衛分野の割合が低い。「仮に100%のシェアを取ったとしても年間予算からするとわずかだ。新規生産するメリットはない」。21年に陸自向けの新規の機関銃生産から撤退した住友重機械工業の下村真司社長は漏らす。
日本の周囲は中国や北朝鮮の脅威が増す。ミサイル防衛や南西諸島の守りの強化が重要になり、政府は直近の10年ほどで防衛費を1割積み増した。それでも国内産業の受注増には直結しない。
艦艇などに搭載する巡航ミサイルの射程は大幅に伸び、戦闘機はレーダーに映りにくい「ステルス機」が主流になった。国内企業の独自開発は困難で、米国の日本への対外有償軍事援助(FMS)が10年間で10倍に膨らんだ。
米国が開発した最新鋭のF35戦闘機の開発費は6.1兆円で、70年代に運用を始めたF15の6倍を投じた。各国は苦労して手に入れた独自技術を簡単に譲らない。日本は機体の組み立てしか許されず、ほとんど生産に携われない。
自前の防衛産業が衰退すれば自衛隊が使う装備の機動的な導入が難しくなる。保守や修理にも悪影響が及ぶ。
どうすればよいのか。国内企業保護のため単純に大量発注するのは非効率で本末転倒だ。最新装備を海外から導入しつつ、米国などが一目を置く技術に集中投資する戦略が基盤維持に不可欠だ。
防衛省幹部は「米国は10年先の脅威を見据えて装備開発に着手する。世界に売れる技術で企業はもうかってさらに投資する」と分析する。日本は研究開発費の防衛分野の比率が3%と低い。韓国の16%、英国の11%に見劣りする。
政府は22年度予算案で防衛分野の研究開発費を1.4倍に積み増した。中国の極超音速ミサイルを迎撃できる「レールガン」やドローンを電波で撃ち落とす研究を進める。
研究開発は22年に改定する国家安全保障戦略の柱にもなる。将来の戦い方を見据えて中国の抑止に真に有効な技術の見極めが欠かせない。
(安全保障エディター 甲原潤之介、越智小夏、川崎なつ美、グラフィックス 天野由衣)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA138FN0T11C21A2000000/
防衛分野の研究開発に必要な人材の教育や基礎研究は大学が担うのですが、教育機関は媚中派の巣窟になっている文科省の管轄です。
反日的な大学も多いので、そんな大学に回す金を防衛費に回せば、産業の空洞化を防げます。
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