「息子と連絡がつかない。心配だ」
通報をうけ、自宅にかけつけた警察官が見たのは睡眠薬のビンを手に死んでいる男の姿だった。
家の鍵はかかっていたし、争ったり、物がとられた様子もない。
自殺で決まりだ。
しかし、この事件にはおかしなことがあった。
自殺の動機がまったくないのだ。
遺書もなく、友人・知人に聞いても彼が悩みをかかえている話もなく、後日遊びに行く予定まで立てていた。
それでは、これは睡眠薬摂取による事故か?
いや、捜査の過程で彼が睡眠不足という話は出てこなかった。
だが、部屋には睡眠薬のレシートがあった。彼が購入したもので間違いない。
これはどういうことだろう?
話は4日前の木曜日に遡る。
男は職場の同僚である、エヌ氏を憎んでいた。
殺してしまいたいほどに。
男は1つの計画を立てた。
エヌ氏はいつも水筒を持ち歩き、仕事が終わると飲みながら車を運転して帰る。
あの水筒に睡眠薬を入れれば、帰り道に居眠り運転をおこすに違いない。
そして事故って死ねばいい!
男はすきをみて帰り際のエヌ氏の水筒に睡眠薬を入れた。
完璧だ!
しかし、翌日、エヌ氏は昨日と何も変わらない様子で会社にやってきた。
「(な、なぜだ!俺の計画が失敗だと、、、)」
家に帰り、エヌ氏は睡眠薬のビンを見つめた。
「効果がなかったのか?」
ゴクッ
男は効果を試すため自分で飲んでみた。
それが永遠の眠りになるとは知らずに。
そこ頃、エヌ氏は今日も仕事帰りに水筒を開け、目が覚めるような苦いブラックコーヒーを飲んでいた。
おわり。
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