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2021年08月10日02:23

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重症化しやすい肺炎から 身を守る「予防と治療」

新型コロナの野々村真「肺が真っ白」重度の肺炎で入院
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肺炎は脳血管疾患を抜いて、がんや心臓病に次ぐ日本人の死因3位だ。発熱や咳、痰などの症状が風邪と似ているせいか「、風邪をこじらせると肺炎になる」と思われがちでもある。しかし、肺炎はそもそも微生物によって肺の実質に起こる炎症症候群の総称。肺炎による死亡者数が増えた背景や予防方法などについて、市中肺炎の前向き研究に取り組む呼吸器内科の医師に聞いた。

肺炎の患者さんがとても多い。「なぜなのか?」というのが出発点でした。私たちの研究は20年以上続いていますが、この間に肺炎は脳血管疾患を抜き、2011年に死亡原因の第3位に浮上しました。ところが、肺炎の死亡者の95%は65歳以上の高齢者であり、若い方で亡くなる例はほとんどありません。また、年齢が上がるにつれて肺炎の罹患率や死亡率は加速度的に増加しているのです。

死亡者数増加は超高齢社会を反映
高齢者は加齢による免疫力低下で肺炎にかかるリスクが高まるのは事実です。また、例えば脳血管疾患などの後遺症で寝たきりになると、肺炎だけではなく、いろいろな病気のリスクが高まるのはよく知られています。そういう状態の高齢者が肺炎にかかって重症化
し、残念ながら亡くなる場合、寝たきりになった引き金は脳血管疾患ですが、最終的な死因は肺炎としてカウントされるわけです。こうしたことから、特に日本人全体において肺炎による死亡率が高くなったというわけではなくて、超高齢社会を反映した死亡者数増加
といえるのではないでしょうか。肺炎の分類の一つに、患者さんが肺炎になった環境に応じた分け方があります。市中肺炎と院内肺炎というのがそれです。市中肺炎というのは、普通に家で暮らしている方が日常生活の中でかかる肺炎です。院内肺炎は、入院して 48時間以降に発症した肺炎を指しています。しかし、超高齢社会と高齢者肺炎の増加を背景として、自宅以外の医療・介護施設で生活する高齢者や自宅で介護を受けている高齢者の肺炎が増えていることから、両者の中間的な位置付けで、医療・介護関連肺炎というカテゴリーが2011年に日本呼吸器学会によって提唱されるようになりました。肺炎とは、肺の実質、つまり気管支から先の呼吸に関係する臓器に細菌やウイルスなどの微生物が侵入して起こる炎症症候群の総称です。体の中にありながら外気と接しているのが呼吸器です。そのため、気道上皮には線毛が生えていて、空気と一緒にウイルスや細菌などの異物が侵入すると、それらを排除する防御機能があります。ところが、高齢であったり、なんらかの基礎疾患を抱えていたり、喫煙習慣があったりすると、防御しきれずに肺炎になってしまうのです。肺炎の原因のおよそ4割はわかりません。しかし、原因が判明している中で、圧倒的に多いのは肺炎球菌です。これに次ぐのがインフルエンザ菌とマイコプラズマです。当院で診た重症肺炎の患者さんの中で、最も罹患数が多く、また亡くなった方のケースでも多いのが、肺炎球菌による肺炎です。肺炎球菌による肺炎は重症化のスピードがとても速く、実際に私が診た若い患者さんの中にも、受診時は自分で歩いていたのにその数時間後にはICUにいたという例もありました。インフルエンザ菌は気道上部に常在する細菌の一種であり、インフルエンザ(流行性感冒症)を引き起こすインフルエンザウイルスとは異なります。また、マイコプラズマに起因する肺炎は、小児や若い人に多くみられます。

高齢者の肺炎が重症化しやすい背景
風邪やインフルエンザの後に肺炎になることはよく認められます。風邪を起こすウイルスやインフルエンザウイルス自体による肺炎もありますが、多くは続発する細菌性肺炎です。なぜ風邪やインフルエンザに続発して肺炎が起こるとかというと、気道の上皮細胞が異物を排除する働きをしているのですが、風邪やインフルエンザにかかるとその細胞が剝離してしまう。つまり、異物を排除する働きが一時的に損なわれてしまい、肺胞内で肺炎を起こす菌が増殖しやすくなるので、肺炎を続発しやすいのです。高齢者や基礎疾患を持つ人は、風邪やインフルエンザの予防が不可欠です。肺炎が起こる原因は細菌やウイルスなどの侵入で、これは老若男女の別はありません。では、なぜ、高齢者の肺炎が多いのか。前述の通り、高齢人口が増えていることに加え、一般的に高齢者は加齢により免疫力
が落ちており、合併症を持っているケースもまた多いため、肺炎だけでなく感染症に対する防御力が弱くなっていることが理由に挙げられます。また、高齢者の肺炎は重篤な事態になりやすい理由として、患者さん自身からの訴えが少ないため、重症化してから初めて医療機関を受診する例が少なくないことがあります。なぜなら、高齢者の場合、肺炎に限
らずどの疾患でも典型的な症状が出ないことが多いからです。なんとなく元気がない、食欲が落ちた、おかしなことを言う、反応が鈍いなど、普段と心身の様子が違うことに周囲の人が気づいて受診につながり、肺炎とわかることがしばしばみられます。身近に高齢者
がいる家族や介護職の方々は、心身の小さな変化を見逃さないで受診につなげることが肺炎の早期発見と治療に役立つことを理解しておいてください。肺炎は基本的に治る病気です。治療は薬が中心なので、死亡者数の増加と関連させて抗菌薬が効きにくくなるという、いわゆる薬剤耐性菌の問題が理由とされることがあります。しかし、肺炎の治療においてそれが顕著だということはありません。高齢者の場合は、薬が効くかどうかということ以外にも、栄養状態や免疫力、合併症の有無などの全身状態が治療効果を左右することが多いのです。全身状態が低下している高齢者の場合には、どんなに手を尽くしても治らない場合があります。今後も高齢化が進む以上、肺炎による死亡そのものを減らすことは困難といえます。また、一命は取り留めても、全身状態がさらに悪化することも少なくありません。胃ろうや気管切開などの選択を迫られることもあるでしょう。こうしたことから、高齢者が肺炎になった場合に、その家族は、看取りも含めてどのようなゴールに向かって治療をするのかをしっかりと考える必要があるでしょう。

肺炎の検査や治療について。
従来から行われているのが喀痰検査で、痰に含まれている菌の培養を行うことで病原微生物を絞り込みます。しかし、この検査は時間を要するので、今はベッドサイドでも簡単にできて、すぐに結果がわかるPOCT(Point of care testing /臨床現場即時検査)を行って迅速な治療につなげることが多いです。咽頭や鼻腔を拭ってインフルエンザウイルスなどの感染の有無を調べたり、尿中抗体検査で肺炎球菌やレジオネラ菌の感染の有無を調べたりする検査です。このほかに、X線やCTなどで肺に炎症が生じているかどうかを確認し、血液検査でCRPや白血球数、赤血球沈降速度の値などから炎症の程度を調べます。治療は薬物療法がメインです。肺炎の原因がわからなくても、治療はできます。なぜなら、市中肺炎を起こす菌はある程度わかっているので、それに対する抗菌薬で治療できるからです。原因がわかっていればさらにターゲットを絞った治療薬を使えるので、より望ましいのはもちろんです。このような肺炎の原因そのものをターゲットにした抗菌薬と同時に、患者さんの症状に応じて解熱薬や鎮咳薬、去痰薬、咳や息苦しさを緩和する気管支拡張薬などが使用されることもあります。なお、肺炎の治療では、入院は必須ではありません。近年は中等症までの重症度では外来で治療を行うことが多いです。入院治療の場合は点滴による薬の治療で、通常3日目に経過を判定します。外来治療の場合は経口による服薬治療ですが、やはり3日後に再診することが多いです。

今日からできる肺炎の予防方法
肺炎には他人にうつる感染性と、うつらない非感染性があります。感染性の代表はマイコプラズマ肺炎と、肺炎に先行する風邪やインフルエンザです。これらは
飛沫感染なので、咳が及ぶ範囲の人がかかりやすい。ですから、ある程度の物理的距離をとることが予防になります。また、他人にうつさないようにするには、次のような咳エチケットの徹底が基本です。・咳をしている間はマスクをする。・マスクをしていないときに咳をする場合には、ティッシュで口を覆う。ティッシュがなければ、着ている服の袖口で口を覆う。・飛沫のついた手を洗う。うつらないためにできる予防方法は、手洗いの徹底です。日本ではこれにうがいが加わりますが、欧米ではエビデンスがないとして推奨されていません。しかし、上気道炎の予防に有用だという日本での研究報告がありました。ですからうがいの励行も予防としてよろしいのではないでしょうか。それから忘れてはいけないのが、ワクチン接種です。これはインフルエンザのワクチンを接種して続発性の
肺炎を防ぐ方法と、直接的に肺炎予防の肺炎球菌ワクチンを接種する方法があります。インフルエンザと肺炎球菌のワクチンを両方接種することで肺炎にかかりにくくなり、重症化を防ぐことが期待できます。残念ながら、日本の肺炎球菌ワクチン接種率は、欧米に比
べるとまだ低く、定期接種となってからも日が浅いため周知徹底されていません。高齢者はもちろん、若くても慢性の基礎疾患を持っている人は、毎年流行前にインフルエンザワクチンを接種し、同様に肺炎球菌ワクチンも接種しましょう。
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