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2021年05月02日23:56

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アルコールストーブを効率よく燃焼させるシステム

例によってとにかく趣味の話なので、読む人を置き去りにして語ります。キャンプ用のアルコールストーブにハマっています。ハマっていると言っても買い漁ったり、自作したりという方向ではなく論理考察です。


キャンプ用にアルコールストーブを使っていると、基本的には火力を落としたほうが燃費がいいことがわかります。
要するに、轟々と強火で燃やすと一定量のお湯を沸かせないことがあるのに対し、弱火で加熱すると同じ燃料消費でも十分に沸騰させることができるのです。
本来は加熱中も鍋などから放熱されるので、大火力で一気に加熱したほうが熱損失は少ないはずなのですが、実際には漏れ出る炎から失われる熱量が遥かに大きいことになります。

これは炎から鍋の底面・側面に受け取れる熱量に上限があり、それ以上の熱量はすべて損失になることが原因です。
このため底面に放熱板のような構造を取り付けたヒートエクスチェンジャー鍋は、従来の鍋やクッカーよりも遥かに早く水を加熱することができます。放熱板ではなく受熱版ということですね。

このことから、バーナーの炎やその周辺の高温空気の流れには「厚み」がある一方、「普通の鍋」に対しては熱の厚みは無意味であり、接触面でしか熱のやりとりができていないことになります。この「厚み」を利用できるのが、張り出した構造のヒートエクスチェンジャーということですね。
ところが、ヒートエクスチェンジャーにも問題はあります。重量がかさむこと、外部構造であることから収納性が悪く壊れやすいこと。また燃焼温度を下げる効果があり、一酸化炭素やアルデヒドを大量に排出する可能性があることです。そこで、ヒートエクスチェンジャーに頼らず、熱効率を上げる方法を考える必要があります。

一般的なバーナーは、燃焼空間の直下に空気取り入れ口があるか、空気取り入れ口を持たずガス圧で空気を巻き込んで燃焼します。ガス圧を利用して混合することで十分に空気を含んだ高温燃焼の青い炎になるわけです。
ちなみに蝋燭の炎などは空気を巻き込むほどの流速がないため、空気が不足したリッチバーンで低温のオレンジ色の炎になり、不完全燃焼のためすすや一酸化炭素、アルデヒドを撒き散らします。
これは燃料の問題ではなく構造の問題なので、うまく空気を燃焼箇所に送り込むとろうそくもバーナーのような青い炎を放つことは可能です。

まあとにかく、燃焼には空気が必要なのですが、殆どのバーナーは「そのへんにある空気」をそのまま巻き込んで使用するので、「そのへんの空気」を温めるのにカロリーを奪われます。
そのためもし仮にジェットエンジンのように圧縮・高温化した空気に燃料を添加できれれば、より効率の高い燃焼が可能です。
まぁ、そんなことをすると鍋を吹き飛ばすのでアレですが・・・。ただ、素の火力が低いアルコールストーブの場合、こうした部分で燃焼効率を上げる必要が出てくるでしょうね。

もう一つの問題は、鍋自体がまとう境界層です。境界層とは、物体の周囲にある空気の層です。水風呂にはいり、しばらく動かずにいると、体の表面に温かい水の層ができることを実感できますね。これが「境界層」です。
これの逆のことが鍋と炎の間にも起こります。鍋に触れた炎や高温空気は、鍋に熱を伝えて温度が下がり、なおかつ表面に囚われて境界層を形成します。
この境界層は炎などよりも冷たいので、一種の断熱材のような働きをして熱効率を下げます。
プロパンやイソブタンを用いたガス缶では、缶内部が高圧になっていて、その勢いで境界層を吹き飛ばすことができるのですが、低圧で炎を吹くアルコールストーブの場合はそこまで強い流速がありません。

さらに、燃焼効率を高めることで別の弊害も出てきます。鉄板など輻射熱の強いものを加熱すると、バーナー本体が温められ、熱暴走をおこすという問題です。
ガス缶も同じ問題を抱えていますが、ガスの噴出による断熱膨張とそれに伴う気液平衡の気化熱で一定程度冷却されます。この仕組は論理的にはイソブタン-10度、プロパン-40度など、かなりの低温まで冷やすことができるものです。
一方、アルコールストーブは加熱を気化冷却で受け止めるわけですが、これは65度以上の領域の話であり、ガス缶のような破裂の危険はないものの、冷却力はより低く、遥かに早く熱暴走に達します。

この問題は、アルコールストーブが風に弱いことと二律背反で問題になります。
アルコールストーブは風に弱いため防風版などで風を防がなければならないのですが、あまり囲みすぎると冷却不足や輻射熱により容易に熱暴走をする、という問題です。
熱暴走するとアルコールは一気に気化し、効率の悪いリッチバーンに陥ります。膨大な燃料が轟々と燃える一方、鍋の底面から大きくはみ出した炎は効率が悪く、流速のない炎は境界層に阻まれて、きちんと鍋を温めることができません。

通常アルコールストーブは通常単品で使用され、必要に応じて五徳や風防を追加していくのが定番なのですが、諸問題を防ぐにはすべて一体で設計する必要がありそうです。

1)燃焼用の空気は、風防の下部のスリットから流入し、バーナー本体と風防の狭い隙間を通って上昇する。
 この時、流路を狭くすることでバーナー本体の境界層を押し流し、冷却効率を上げる。
 空気はバーナー本体から熱を奪って温められる(予熱される)一方、本体は空冷されて温度が下がり、熱暴走を防ぐ。
 ※このため、アルコールストーブ本体は起伏のないデザインであることと流路を形成するために十分な高さがあることが求められる。
  つばがあるトランギア系、自作系のロータイプは吸気が乱流となり層流で冷却できないためアウト。

2)温められ、上昇した空気は燃焼室に入り、アルコールと混合して燃焼する。
 この燃焼は、予熱された空気と少量のアルコールによる(比較的)希薄な燃焼(リーンバーン)であり、高温完全燃焼により有害ガスの発生を低減する。
 この時発生した熱は鍋底にあたり、高い温度差により鍋を加熱する。
 またアルコールストーブから吹き出すジェットは十分に強力で、燃焼室内部で鍋の底面まで到達することが望ましい。

3)燃焼ガスは、風防上部と鍋底の隙間から、安定した一定圧で四方に噴出する。この時、僅かな隙間(高さ4mm程度)から吹き出すことにより、鍋底の境界層を吹き飛ばしつつ、熱流自体が鍋底に沿って移動する。
 鍋底が終わり側面になる辺りで上昇気流となり陰圧を発生させると同時に、鍋側面の境界層に阻まれ鍋から剥離する。

4)風防の給気口・排気口は、それぞれ地面近くのスリット、鍋近くのスリットであるので、地面や鍋底の境界層が抵抗となり風防内に侵入しにくい。
 よって主熱源となる燃焼室内部は高温が保たれ、強風下での加熱が可能になる。

さらにいうと、風防の外側に排熱を鍋周辺に留める防護壁があると良いかと思います。これはトランギアのストームクッカーにもある機能ですので、一定の効果はあるかと。
今回の論理考察で考えているのは、ストームクッカーでは考慮されていないアルコールストーブ本体の空冷ということになります。

一応上記の1〜4を満たすと思われる構造体を考案してはみたものの・・・どうするんでしょうか、製造するんでしょうか。
で、よく考えると、効率を求めて高温燃焼させるとNOxが発生しますよね。どうするんでしょうか、普段一酸化炭素をほとんど気にしないように、アルコールストーブ程度のNOxは気にしなくてもいいのでしょうか。

まあ結論は出ないんですが、文章を書いたので残しておきます。
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