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2020年10月19日03:46

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中国の輸出管理法とは?

■中国で「輸出管理法」が成立 米に対抗、日本に影響も
(朝日新聞デジタル - 10月18日 06:11)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=6272591

立法趣旨

 法案第1条の立法趣旨では、「国家の安全と利益の発展を守り、核不拡散条約等の国際的義務を履行」と書かれています。他方、パブリックコメント募集の際に併せて公表
された起草説明では、以下の3点の趣旨が記載されています。
 �‖舂滅鵬�兵器・通常兵器と関連の汎用品の拡散リスクを防ぐことにより、国家の安全、テロ・暴動を防ぎ、重要戦略稀少物資を保護し、国際的義務を履行。
 �⇒⊇亟浜�規制を実行するにための調査権限が不足し、執行上問題。そのための法律体系の改善を図る。
 �9餾歸�義務の履行により、責任ある大国のイメージ確立が必要。国際規則とのリンクを促進することで国際協力を促進。

主な内容

 法案全体は、70条の条文で構成されています。各条文の概要等は、CISTECのHPで紹介していますので、それをご覧いただければと思いますが、ここでは懸念点を含めて、特に留意が必要な点を挙げてみます。

 �‖舂滅鵬�兵器関連規制を一本化
 従来、核、ミサイル、生物・化学兵器関連が別個の法令によって規制されていました。
 これを、輸出管理法により統合し一本化するもので、これは特に懸念はありません。
 北朝鮮に対して、不正に核・ミサイル関連物資を密輸していた企業等がありますので、その取締りのために実効性が高まることが期待されるところです。

 ��通常兵器関連の汎用品・技術等の輸出規制を新たに導入
 通常兵器関連の汎用品・技術についての輸出管理規制は、国際的にもワッセナー・アレンジメント(WA)合意を踏まえて各国で規制されており、制度の国際調和の面では自然な流れです。ただ、末尾の別表をご覧いただくとわかりますが、中国との貿易・投資でも多くの関わりのあると思われる広汎な種類の汎用製品・技術(更には役務)が、新規に規制対象になることから、その対応には相当の準備と運用負担が生じることになります。

 ��リスト規制対象選定の考慮基準や「戦略的重要稀少物資の保護」との目的
 リスト規制対象品目は、国際輸出管理レジーム合意によって決められており、各国ともそれに準拠して規制を行っているのが通常です。中国の法案の起草説明では、国際規則とのリンクを図る(明確にWAと同様の規制を導入するかは不明)とされている一方で、リスト選定の原則として、輸出管理政策への整合とともに、「国家の安全、技術の発展、国際市場への影響、国際的義務、貿易・産業の競争力に対する影響等」考慮しなけれ
ばならないとされています。また、許可基準の中には、「市場における供給の状況」との項目があ4 CISTEC Journal 2017.11 No.172ります。平和と安全の確保とそのための国際協力といった安全保障輸出管理の目的とは異なる、多分に産業・通商政策的要素が含まれている印象ですので、その場合には、WTO等の国際通商ルールとの整合が問題となってきます。特に気になるのは、条文では直接触れていませんが、起草説明において「戦略的重要稀少物資の保護」を目的の一つとしていることです。起草過程 に お い て 検 討 さ れ た、 中 国 商 務 部 傘 下 のCAITECの研究報告がいくつかありますが、その中に、『我が国が優位な戦略的鉱物資源の輸出管理展望』という論文があり、「国際訴訟問題への対処として、輸出管理規制において、安全保障理由による稀少鉱物資源織り込みの必要性」その他の狙いが述べられていることと併せ考えれば、WTOで問題となったレアアース等の輸出規制を、本法案で行うことを企図しているように感じられます。

 �ず突⊇亠�制を導入
 草案で規定されている再輸出規制としては、2つの類型があります。一つは、米国が導入している類型の制度で、中国原産品が一定割合内蔵されている製品を中国以外の国から輸出する場合には、域外企業であっても中国政府の許可が必要というものです(デミニミス・ルール)。もう一つの類型は、中国の原産性を問わず、中国から輸入した規制対象品を再輸出する場合に、中国政府の許可が必要というものです。再輸出規制は、国際法的にも問題ありとして、日欧政府及び産業界は米国に対して指摘し(日本は不公正貿易白書等で指摘)、CISTECでもその撤廃(輸出管理制度が整備されている国については当該国に委ねる)を要請してきています。しかし、そのような問題に留まらず、後に詳細に述べるように、その規制によって貿易・投資に多大な混乱を招く可能性が高いことから、貿易・投資環境の阻害要因にもなってきます。

 �ス�汎なみなし輸出規制を導入
 これは、第3条の「輸出管理」の定義規定から読み取れるものですが、実際、前掲の任清弁護士の解説や各種の英文紹介記事では、みなし輸出規制(Deemed Export)が含まれる旨が明記されています。
 みなし輸出規制というのは、国外への輸出等だけでなく、国内の外国人に対して、有形無形を問わず規制対象の技術(プログラム等も含みます)を提供することを規制するものです。ただこれは、後述するように、国際的に広く行われているもののではなく、何らかの規制があるのは米国と日欧のみです(それぞれ規制内容はかなり異なります)、
 中国の法案におけるみなし輸出規制は、法人内での中国人社員から外国人社員に対す
る提供も規制対象としているように読めること(その点は米国と同様)
 ・外国人向けだけではなく、国内の外資企業等も含めて外国法人として、これに対する提供を規制対象としているように読めること
 ・技術だけでなく、貨物、役務の提供も含めて規制対象としていること という点において、世界でも例のない特異な規制となっています。

 �Χ愡澹楜劵螢好箸瞭各�
 輸出許可された需要者、用途とは異なるエンドユース違反により、国家の安全・発展等に危害を及ぼす者や、「テロリスト」をブラックリスト化し、これらの者への輸出を禁止するものです。米国では、SDN、DPL等多種の禁止、要注意顧客リストがあり、これらと取引した場合には制裁対象になりますが、これを念頭においたものと思われます。なお、日本の経産省が公表している外国ユーザーリストは、要注意リストではありますが、取引禁止リストではありません。

 �О莖阿任虜能�需要者・用途確認権限の規定
 米国商務省BISが、EAR(米国輸出管理規則)に基づき、域外でのエンドユース確認のための実地検査を行っています(ただし、恒常的にこれを行うというわけではありません)。中国の法案も、これを念頭においたものと思われます。 しかしこれらの法令で定められた権限の域外での行使は、相手国の主権の侵害であり、国際法上問題と思われます。国際輸出管理レジームでは、大量破壊兵器関連貨物を対象に最終用途誓約書を求めることになっており、それに従って「使用状況報告」、再輸出等の「事前同意」が義務づけられるといった運用となっているのが通常です。仮2017.11 No.172 CISTEC Journal 5特集/輸出管理法等の最近動向と課題に現地での確認をするとしても、このような国際
レジームでの運用(一種の契約ベース)の延長上で検討することにより、バランスの取れたものとすることが期待されるところです。

 ��報復措置(対等原則)の規定
 中国に対して「差別的な輸出規制」をする国に対して、「相応の措置」を講じるとされています。外国貿易法等でも同様の規定はありますが、その場合はWTO等のルールへの整合が必要である等、その点で制約がかかります。安全保障輸出管理の世界でも、このような条項は例がありませんので、どのようなケースを念頭におき、どのような運用を考えているのか、注視されるところです。
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