プーチン時代20年 露呈した変わらぬ石油依存
編集委員 坂井光
2020/5/7 5:30
ロシアのプーチン氏が大統領に就任して20年。ソ連崩壊後の混乱から長期政権を確立した。それを経済面で支えたのが石油だ。憲法改正で最高指導者としてスターリンの29年を超える任期に道を開こうとする今、その石油に足をすくわれようとしている。
2000年5月7日、クレムリン。47歳の若き指導者は憲法に手を置き「憲法を順守し、誠実に人民に奉仕する」と宣誓した。
苦難の船出だった。前任のエリツィン氏から引き継いだ母国は1991年末のソ連崩壊による混乱を引きずり、大国の威信は完全に消えていた。
それが06年には主要8カ国首脳会議を主催。国際的に存在感を高めた背景には経済の成長がある。
国際通貨基金(IMF)によると、就任時00年の1人当たり国内総生産(GDP)は1904ドルだったが、08年に1万ドルを突破し、13年には1万5953ドルとなった。このころから都市部に高層ビルが建ち、高級ブランドのブティックや輸入車があふれた。
プーチン時代の光の部分だが、同氏の手腕でもたらされたわけではない。石油価格の上昇が最大の要因だ。
就任当時、1バレル20ドル台だった石油価格(北海ブレント)は08年7月の最高値140ドル台までほぼ一本調子で上昇した。
同年8月、国民の高揚感がピークに達したときに起きたのが当時のグルジア(ジョージア)との紛争だ。ロシアの発展と外交面での強気な姿勢は石油高と軌を一にする。
様相が変わったのは14年。米国のシェールガス革命で石油価格が下落基調に転じた。これにウクライナ領クリミア半島併合に対する欧米の経済制裁が加わり、1人当たりGDPは15年以降8700〜1万1000ドル台と停滞感が強まった。
石油に左右されるのは政府の財政も同じだ。政府はエネルギー企業に対し(1)石油産出にかかる抽出税(2)輸出税(3)法人税を課している。
石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)によると、理論的には石油価格が100ドルの場合、このうち政府の「取り分」は3つの税目あわせて88ドルに達し、15ドルだと4.6ドルにとどまるという。
浮き沈みの激しい税収を平準化するため、プーチン氏は就任当初から産業の多様化を訴え、トヨタ自動車など日本の製造業の生産移転を求めたのもそのためだ。
しかしプーチン氏は早期に変節し、経済や財政の改革よりも政権基盤の強化を優先した。エネルギーや建設、金融など有力な経済利権をプーチン氏と同じ治安機関出身者や信頼できる人物に分配するシステムを築いた。
この結果、他の産業に投資が回らず、新規産業やイノベーションが起きにくい硬直した構造となった。主幹産業も政府が支配することで競争原理は働かなかった。
いまの苦境で、救いは石油収入の一部を蓄えていたことだ。その基金の額は19年末時点で、1256億ドル相当あるとされ、プーチン氏は「経済的安定を維持できる」と強調する。
しかし蓄えの取り崩しがいつまでも続けられないのは明白だ。すでに通貨ルーブルは4年ぶりの安値水準に沈み、国民は輸入品の値上がりに苦しむ。さらに、新型コロナウイルスの感染者は14万人を超え、医療制度の逼迫も指摘されている。
一方で、ロシアはシリアに派兵し、ウクライナの親ロシア勢力などを支援する。武器の近代化にはなお積極的だ。
強権で国民に犠牲を強いて、非効率な経済で体制そのものが行き詰まる――。ソ連崩壊の構造と、プーチン氏が築き上げたロシアがそう大きく変わらないことが露呈した。同国内では、今回の石油安の最大の敗者はプーチン氏といった論調も流れ始めた。
20年前、プーチン氏は就任演説でこう宣言した。「ロシアを自由で、強く、豊かな国にする」。いまでは悪い冗談にしか聞こえない。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58784240V00C20A5I00000/
>就任当時、1バレル20ドル台だった石油価格(北海ブレント)は08年7月の最高値140ドル台までほぼ一本調子で上昇した。
中共は2001年にWTOに加盟して、それまで8%だった経済成長が、リーマンショックの2008年までに14%まで上昇しています。
リーマンショック時の経済の落ち込みと石油価格の落ち込みが一致しており、その後の中共経済の低迷に合わせる様に石油価格も下がっています。
>様相が変わったのは14年。米国のシェールガス革命で石油価格が下落基調に転じた。
2015年以降は、石油をがぶ飲みしていた米国が、シェールオイルの生産を始本格化し、2019年には生産量世界一の座をサウジから奪いました。
益々、ロシア産石油の価格は中共経済に依存する事になりました^^;
>この結果、他の産業に投資が回らず、新規産業やイノベーションが起きにくい硬直した構造となった。主幹産業も政府が支配することで競争原理は働かなかった。
>一方で、ロシアはシリアに派兵し、ウクライナの親ロシア勢力などを支援する。武器の近代化にはなお積極的だ。
ロシアだけでなく、中共にも当てはまりますw
海外からの技術習得が難しくなり、5Gは米国市場から締め出されています。
南シナ海の争いで軍備費はうなぎ上りです^^;
>同国内では、今回の石油安の最大の敗者はプーチン氏といった論調も流れ始めた。
ロシアと中共は一蓮托生です。
習近平も相当国内で追い詰められているはずですw
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