mixiユーザー(id:157948)

2019年08月28日22:30

327 view

『ケーキの切れない非行少年たち』を読みました。

 紹介文。Amazonから。
◆
児童精神科医である筆者は、多くの非行少年たちと出会う中で、「反省以前の子ども」が沢山いるという事実に気づく。少年院には、認知力が弱く、「ケーキを等分に切る」ことすら出来ない非行少年が大勢いたが、問題の根深さは普通の学校でも同じなのだ。人口の十数%いるとされる「境界知能」の人々に焦点を当て、困っている彼らを学校・社会生活で困らないように導く超実践的なメソッドを公開する。
◆

 たいへん読みやすく、また具体例が多くて興味をそそる書き方をされていた本でした。
 いくつかネットでの感想をメモして、超耳の考えも添えてみたいと思います。あんまりがっつり書くつもりはありません。でも教育に携わる機会の多くない人には発見が多いのではないでしょうか。教育だけではなく、対社会人の対応にも新たな窓を開く可能性が大きいと思います。わりと万人におすすめです。困った人と出会ったときに読むのではなく、これから間違いなく出会う何人もの困った人に対処する予防策として役立つ部分が多くあると感じます。

Amazonから2つ。

◆
ガンちゃん
ベスト500レビュアー
5つ星のうち5.0
答えは病院にはなかった。
2019年7月15日
形式: 新書
児童精神科医から少年院の法務技官になり、そして現在は大学教員として臨床心理系の講義を担当する著者が「コグトレ」の開発者です。もうおわかりでしょうが、「1日5分で日本を変える」方法とは、朝の会で「コグトレ」をやって学習の土台である認知機能のトレーニングをすることです。医療少年院での経験を元に、その必要性を説いたのが本書です。認知行動療法が「認知機能という能力に問題がないこと」を前提に考えられた手法であるとか、学校現場では境界知能の支援まで手が回らないなど、あらためて気づかされることが本書にはたくさんあります。小学校低学年が最大のチャンスです。思春期真っ只中の中学生になってからでは遅すぎます。是非とも、多くの学校関係者に読んでいただき、子どもたちのためにできる範囲で取り組んでいただきたいと願っています。学校の「朝の5分」は貴重であり、とても忙しいのです。

Hana
5つ星のうち2.0
内容は悪くないが、編集ダメすぎて読むのが苦痛
2019年8月3日
形式: Kindle版Amazonで購入
少年犯罪を犯した子供たちに長期に深くかかわった専門家として、経験や意見は読むに値します。ただ、読者側に忍耐が必要な読みづらい本です。内容が難しいのではありません。3割ほど読んだあたりから、いわゆる「耳タコなほど聞かされた話をまた聞かされている」という感覚になってくるんです。
(略)
著者が強調したいのは、境界知能の子達にはコグニティブトレーニング(認知機能の訓練)が必要という点だと思います。説明も丁寧ですが、「人を殺したい衝動の強い子に□□なコグトレをやりました」だけで終わっている部分もあって、不発感があります。実際、このコグトレが本当に効果的だったのかは、その子が殺人を重ねることなく人生を終えるまでわからないわけですが、それでも著者がこの子のトレーニング効果をどう感じたのかくらいは書いてほしかった。
(略)
上記のコグトレ以外の要点は下のような感じかと思いました。
・少年犯罪を犯す子供たちの中には、犯罪を犯したという認識を持てないレベルの子がたくさんいる。本人は困っていても、その自覚がなく、困っていると表現できない子達(例:俗に言う、IQが低いが、知的障害者というほどには低くない程度の子とか)
(略)
・認知機能の低い子はあらゆることを歪んで捉えてしまう。例えば、誤った被害感情を持つ(睨まれた、悪口をいわれている、嫌われている)など
・周囲との軋轢やイジメは、ストレスや怒りになって、本人の中に蓄積していく。こういう子達は適切な表出方法を持たないので、どんどん溜まっていき、そのはけ口として犯罪に走ってしまう。そのため、なぜ犯罪を犯したのか(何がストレスだったのか、何が怒りの原因だったのか)がわからない子も多く、悪いことをしたという認識につながらない。
 →この部分を説明するために、多数の例が本書の中で挙げられています。とても複雑です。無理に簡潔にまとめましたが、この解釈が正しいのかはわかりません。認知機能の低い子供達の認知の仕方を理解するのは本当に難しいのだと思います。

◆

(超耳)
 二人目の人は選ぶべきか悩むところです。読解力が乏しい人に次のような指摘をしてもたぶん理解できないでしょうね。
「あなたの読解力のせいで複雑に見える」
「永久に解決済みにならない問題もあって、問題の程度を軽くする提案というものもある」。
 問題解決の意欲があるのはいいことですが、個人的な欲が充足しないからといって著者の評価を低くするのはいいことではないですね。

◆
https://toyokeizai.net/articles/-/292381?page=4(画像1)
「ケーキを等分に切れない」非行少年たちの実情
「認知力」を向上させなければ更生は望めない

歪んだ思考が性加害行為につながっている可能性があります。

そこで認知行動療法を使ってそういった歪んだ思考を修正して好ましい行動に変えていくのです。私が彼に使っていたワークブックも、まさにそういった方法に基づいて作成されていたのです。

その少年はワークブックを終えるたびに「わかりました」と答え、また外来でも「もうしません」と真剣に繰り返すので、「今度こそ大丈夫だ」と思うこともたびたびだったのですが、状況はまったく変わりませんでした。次の診察で会うときまでには何らかの性の問題を起こすということが何度も続いたのです。

どうして変わらないのだろう、と思い悩む日々が続きました。後になってその原因がわかったのですが、彼は知的なハンディも併せてもっていたために認知機能が弱く、ワークブック自体がしっかりと理解できていなかったのです。

認知行動療法は「認知機能という能力に問題がないこと」を前提に考えられた手法です。認知機能に問題がある場合、効果ははっきりとは証明されていないのです。では認知機能に問題があるというのはどんな子どもたちか。それが発達障害や知的障害のある子どもたちなのです。つまり発達障害や知的障害がある子どもたちには、認知行動療法がベースとなったプログラムは効果が期待できない可能性があるのです。でも実際に現場で困っているのは、そういった子どもたちなのです。

◆

読書メーターから。
https://bookmeter.com/books/14025516

◆


Nobuko Hashimoto
Nobuko Hashimoto
帯の「ケーキ三等分」の絵に衝撃を受けて。非行少年の中には単に生育環境が悪いとかだけではなく、認知力(見る、聞く、想像する力など)に問題を抱えている子がいるということは想像できたが、そんなにも!そこからか…!な内容であった。ただ、勉強についていけないと言っていた彼らにも学びたいという気持ちがあって、必要な学びを提供されれば意欲的に取り組み、力をつけていくというのは救い。大学も幅広い若者が入学するようになって、絶句する場面を過去に少なからず経験した。ヒントをもらったように思う。
ナイス★30
コメント(2)
2019/08/26
Nobuko Hashimoto
Nobuko Hashimoto
ところで、記述に重複が多いのは、わざとなのだろうか?

ナイス★4
08/27 12:05
Nobuko Hashimoto
Nobuko Hashimoto
ついでに、子らが「ケーキ三等分」の絵を見て、「いや、斜めにナイフ入れて、立体的に(体積で)三等分してるんかもよ」とか言っていたが、もしもほんとにそれが頭のなかでできて、実際にもできるのなら、逆にすごいかも。←なに言ってるかよくわからない文章になった(;^ω^)

Soul Cages
少年院にいる子らのかなりの割合が,簡単な計算ができない,図形を書き写すことができない,先の見通しが立てられない,身体能力がとても不器用などの知的・能力的問題を抱えており,軽度知的障害や境界領域に該当する。それが原因で,いじめや虐待の被害者となったり社会適合ができなくなり,そのはけ口や安易な解決法方として犯罪を犯してしまう:被害者が加害者となる。感情の抑制ができないだけでなく,自分の犯したことの重大さを振り返ることもできず「反省」以前の問題である。更生プログラムではひたすら「反省」を強いるが,反省できない→
ナイス★23
コメント(2)
2019/08/25
Soul Cages
Soul Cages
彼らにとっては無効である。自分で問題であると思っていないため,医療の対象とならず,教育現場ではIQテストで知的問題はないとされ,現在の教育・医療の隙間に落ちた存在である。唯一の道と示されているのは,コグトレなどによって,基礎的な能力回復に努めることである。知的障害者は犯罪者予備軍である,と言っているわけではない。知的な問題を抱えている子どもが,適切な指導や援助を受ける機会を逸すると,迷宮に入り込んでしまう可能性が高くなるのであって,適切な環境で育った者は犯罪を犯す可能性は低い。くれぐれも,ご注意を。

ナイス★13
08/25 00:08
Soul Cages
Soul Cages
こうした負のスパイラルに陥る人を減らすことで,犯罪者とそれに要する社会的支出や,何よりも被害者を減らすことができるため,他の障害者政策以上に,最優先で取り組むべき課題なのかもしれない。こうした本を読むと,ニュースを賑わす憎き凶悪犯罪者も,どんなバックグラウンドを持って大人になったのかを思わずにいられない。罪を憎んで人を憎まずというのは容易いが,実際には難しい問題だ。先に読んだこの本(あとがきにも触れられている)との共通点も多い。https://bookmeter.com/books/12818049

◆

(超耳)

 世の読書家はさすが的確に読めているなあ、と感じます。
 認知の問題、知能の問題については上記の方々が読み取った通りに書かれていたと思います。
 ただ私がもっとも強くおもしろいと感じたのは上記の人たちの最後の人しか触れていない箇所でした。

 179ページ。
 著者の宮口氏のすばらしい見解は最後の1ページで示されていました。
 「一人の受刑者を納税者に変えればおよそ400万円の経済効果になります」
(刑務所の受刑者には年間300万円が税金から出費されているが、就労者は100万円を納税するから、という考え)
 社会全体が受益すると考えると、先の見通しも立てやすくなります。支援をどこまでするべきか、上限をどう設定すればいいのか、またコグトレなりなんなりの方法を試験導入してみてどう修正したり廃止したりすればいいかを考える目安になります。
 予算も人手も無尽蔵じゃないですからね。
 私がたびたび言及するトリアージの考えにも通じるものがあります。誰もに救われるチャンスはあってほしい。けれども全員からそれを奪うようなやり方はダメであるので、線引きが必要になる。線引きをしたくないばかりに絵空事に逃げるのはズルい。ということで、当たり前のことですよね。

 タイトルにもなっている『ケーキの切れない非行少年たち』ですが、著者の理屈はこうです。ちょっと端折ってみますね。
 「ケーキを三等分するのにナイフの動かし方を数手先まで考えられず失敗する子がいる。彼らに理解力が前提となる既存のプログラムは意味がない。ケーキを切れない子は自分の問題点の自覚さえできない」
ということでした。凶悪犯罪を行った子も「自分はやさしい子」という自己像を持っていることがほとんどなのだそうです。認知の歪みに戦慄を覚えますよね。
 余談ですけど。プログラムとかいうのはお上がアリバイづくりのために設定しているだけに見えるんですよ。お上の考えでは、非行少年たちはとうにトリアージ・黒なので、「プログラムは与えたけど【やっぱり】無駄でしたよ」というポーズのためのものなのでは?
 著者は「忘れられた」という表現を何度か使っています。まともな社会生活を送るために、とりわけ対人関係を構築するために必要なスキルを体得することが困難だが、知能判定では問題なしとされるため、周囲にその困難さが先天的な能力の低さ(や、その後にトレーニングの機会がなかった後天的な要因)だとは思われていない人たちのことのようです。なるほど、そういうケースはきっと数多いでしょうね。
 アメリカの本からの引用ですが、著者が列挙した忘れられた人たちの特徴、興味深いと感じます。ちょっとメモします。p109から。

◆

・所得が少ない、貧困率が高い、雇用率が低い
・片親が多い
・運転免許証を取得するのが難しい
・栄養不足、肥満率が高い
・友人関係を結び維持することが難しい、孤独になりやすい
・支援がないと問題行動を起こしやすい

◆

 「知能に問題がある」という原因の場合に、なるほどこういう現象となって表出するだろうと思えますよね。(この本とは関係ないことなので深入りしませんけれど、上記の特徴を多く備えた人たちが、魔女狩りじみた荒唐無稽な主張をする政治的主張を支持したりしていること、連想しました。知能が低ければ、社会を破壊し、正直者が馬鹿を見るような政策を掲げた煽動者にやすやすと踊らされてしまうんでしょうね。「金の卵を産むガチョウはずるい。あいつが腹の中に抱えた金の卵を殺して奪えば自分たちはトクをする」という言葉の相似形が、本の中でいくつも非行少年たちの言葉として引用されています)
 頭が悪いということはそれ自体は罪ではありません。けれども並の人間が手に入れることができる(もちろん相応に苦労して、ですよ)幸せが、どうしても遠くなってしまう。悪いわけじゃないけれど、人生全般で受け取る幸福の量が少ない。幸福を生み出す力が弱いから。

 コグトレという、たとえば欲望にストップをかけるためのゲーム的訓練なんかが紹介されていました。個人的にはあまり興味を引かれない部分でした。訓練はいいものなんですよ。けれども「どうして親だの周囲の大人だのが、それっぽっちのことを今まで与えてやれなかったのか。日常で十分訓練できるし、されるべき内容だ」と感じるからです。著者に喧嘩を売っているのではありません。そのわずかなものを与えられずに犯罪者、少年院送りとなってしまった大人や子どもがいるんですから。

 個人的に非常に気になるのは本の中では少しも言及されていない内容です。
 本の趣旨から外れることだから、書かれていないのは当然なのです。だからあくまで本は刺激でありきっかけであって、超耳の中で疑問ないし課題が新たに浮かび上がっただけなのですけれども。

 《疑問:知能が低い、または知能に問題がある人はどうすれば幸せを増大できるのか》

 本を読み終えたばかりですから、熟考していません。
 けれどもメモとして残しておきますね。

(1)知能の問題は決してゼロにはならない。知能が低い(問題がある)ならば生み出す幸せの量は少ない。このことは覆らない

(2)しかし、幸せの量はじつはあまり問題ではない。たとえば食べ物が豊富でなかった先史時代は誰もが生み出す幸せの量は、物質的にはごくごく小さなった。私たちはその次代を全員が生き抜いた。幸せの量は少なくても生きられる。

(3)よって問題の最大の焦点は「他人と比べて自分は幸せではない」「標準あるいはそれ以上の知能を持つ個人と比べてみじめだ」と感じてしまうことに絞っていい。

(4)解決の方向は「トレード・オフ」にあると思う。たとえば健常な肉体と知能を備えた人は労働者となった場合に一日8時間、多くの場合はそれに何割か増しで時間を拘束される。その結果、それなりに多額の報酬を得ている。そこで、一例として弱点を抱えた人は弱点ゆえに「短時間だけ働く」「そのぶん余暇を多く持ち、スポーツでもテレビゲームでもして過ごす」というサイクルを作れたらいいのではないだろうか。読書や創作はおそらくダメ。スポーツやテレビゲームより酒やギャンブルやそのほか非行に近くなりがちな娯楽もあるが、それは避けるべきか。知能が高ければリスクがほとんどないことでも、そうではない者はかんたんに溺れるしカネも時間もつぎ込んでしまい人生を失敗する。

 トレード・オフ案の弱点は、まさに案の中に書いたとおりで、すぐに失敗しちゃうだろうなと想像できること。実際に失敗するでしょうね。
 弱点を補うためにどうしても、指導者的な存在の助けが必要になると思います。それに仕事の中身も、おそらく本人が選ぶことは無理で、他人がアドバイスしてやらないと続かないでしょう。たとえば「ゲーム開発をしたい」と願ったとしても、それが不可能であることが当人にはわからないと容易に推測されます。でも彼・彼女にも、朝の三時間と夕方の三時間を使って丁寧に往来を清掃する仕事なら、余人にはできないくらいすばらしく実行できるかもしれません。見つけてやり、ある程度強いアドバス(=強制)をしてやる人間がどうしても必要ですよね。
 税金から出費して、そこだけはなんとかならないかなー。指導者がいてもダメな人は、現時点の私の案では、トリアージ:黒です。現状と同じ措置になります。(べつに死なせてしまえという意味じゃないのです)

 長くなりました。
・ケーキを三等分する方法を考えることができない人もいる
・多くが自分がなぜ不幸なのか、自分で気づくこともできず、改善することもできない
 という点は著者の述べていることを受け入れていいと思います。

 世の中にいる、ケーキ三等分はできても、もうちょっとだけ複雑なことがわからない人たち、それから今ある目の前の問題は「これほ問題だ」と認識することができるけれど、解決策を考える方に脳を使わず「誰誰が悪い」というごくごく単純なことにしか脳を使わない人たち、これらの人たちを少しでも幸せの多い人生に近づけられないものだろうかなあと考えます。ひるがえって、それらと大同小異に過ぎない私自身の人生も。
 知能がそれほど低くない人たちへの解決策は、かんたんな部類だと思います。ポイントは「自覚」だからです。自分がケーキ三等分できない子たちとあまり違わないかもしれないことに思い至れば、または誰かから指摘してもらえば、その時点で劇的に変わるかもしれないからです。賢くなるためにニュースを気にするとか、新書を買って読むとか、するようになるかもしれないからです。(←「自分はこうして新書を買ったからセーフですよ」というアピールを入れていますよね。自分も相当ダメかもしれない、と疑う心の影から逃れられないのがバレバレです)

 おもしろい箇所はまだまだあって、付箋を貼ったところをちょっとだけ引くと、
p81「お前、面白い奴やなあ」「ふざけ行為」(が非行にまで発展する)
p155「では代わりにやってくれ」「ボクにやらせてください」「ボクが教えます」(と非行少年たちが教師役をやりたがる)
 なんかも。


3 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2019年08月>
日 月 火 水 木 金 土
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

過去の日記

2026年
2025年
2024年
2023年
2022年
2021年
2020年
2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年
2009年
2008年
2007年
2006年
2005年
2004年