マニアの羨望を一身に集めて止まない(そうか?)SUREFIREの光学システムだが、いじり倒して(弄り倒してもらって?)いるうちに素性が見えてきた部分もあるので書いておきたい。こんな文章を読むのはマニアばかりだと思うので、細かい説明は省略して書く。
最初に補足しておくと、現在の(KX・KEシリーズの)SUREFIREのTIRは光学レンズに相当するものを2つ持っている。一つは外縁のリフレクタ面で、ほぼそのままリフレクタと同じ機能を持っている。一方、LEDとレンズ前縁の中間に凹レンズも備えている。勘違いしている人も多いが、この凹レンズは集光ではなく拡散する機能を持つ。Oレンズはそのまま円筒状の構造に繋がり、レンズ後部まで続く。この円筒面に当たった光は最初の屈折をしてリフレクタ面に到達し、理論上は前方に反射される。円筒面に当たらなかった光は凹レンズ面で側方に曲げられ、レンズ前面でさらに外縁側へと屈折して外へ出て行く。
一般的なリフレクタでは、周辺光は「リフレクタに当たらなかった光」だが、TIRではそのうちの一部を中心光に変換する。さらに、「リフレクタに当たらなかった光」をより広く拡散する。こうして中心部光量が多く、周辺光が薄く広い独特の照射が生まれる。これがTIRのメリットだ。結果的にこの構造は、キセノンバルブに似た光量分布を持つ。
ところが、近年のTIRはそれほど集光度が高くない。例えば待望のEDCL1-Tは、600-700lm、1インチ、XM-L系と同等の中心照度しかない。一段上のクラスと同等の中心照度であれば問題ないと思うかもしれないが、開口部直径自体はEDCL1-Tの方が大きい。EDCL1-Tの方が光学システムの全長が短いことを考えても、やや不満だろう。もちろん、その配光自体は優れている。ここでは、あくまでも集光度を求める場合の話だ。
この問題は、2つの理由が存在する。一つはLEDの発光面積の問題だ。これまで理論上という表現を使っていたのは、光学系の設計は基本的に点光源をベースに行われるからだ。LEDの面積が大きくなるほど、理論値から離れて行くわけだが、その場合は光学系のサイズそのものが問題になる。端的に言えば「LEDから出た光が最初に光学系に触れるまでの距離」が短いライトは不利だということだ。一般的なリフレレクタは、リフレクタの外縁部分が最も高い集光度になる。これはLEDからの距離が最も遠いため、発光面積の影響を受けにくいためだ。
ところがTIRでは最初に内部反射を行うため、一旦そこで光が分散してしまう。さらにその分散した光の一部(割合的には大部分ではあるが)をリフレクタが受け取り前方に照射する。TIRの場合も集光度が高いのはリフレクタ外縁付近だが、そこに到達する光の量自体は通常のリフレクタモデルの外縁よりも少ない(可能性が高い)。
もう一つの理由は光の反射効率・透過効率の問題だ。理論的にはTIRは全反射を前提に設計されているが、屈折面や反射面は完全な平滑ではないので一部損失が出る。ところが、LEDの発行面積が大きくなると理論的な光学系路から外れた光も増え、全反射しない可能性が出てくる。また、空気よりも不純である光学系の素材は、透過中に減衰してしまうので、風防ガラス以外は透過するもののないリフレクタ式よりも効率面で不利になる。
SUREFIRE UM2が40mm近い口径を持ちながら集光度が高くないのはこうした事情に起因すると思われる。他社の40mmクラスのリフレクタ式ライトは、実に長大なリフレクタを備えている。こうしたリフレクタは反射面までの距離も長いため収束度が高い。一方でTIRではどうしても最初の反射面までの距離が近いため、光学経路を離れる光が増えてくる。
LEDLENSERでもそうだが、大光量モデル(≒大面積LED)、大口径モデルになるほど期待する集光性をあげられないのはこうした事情による。LEDLENSERも、SUREFIRE TIRほどではないにせよ、最初の光学点までが近い。逆接的に言えば、SUREFIREのTIRはLEDLENSERのアドバンスフォーカスシステムに劣る、集光度を重視する場合には特にだ。そしてそのAFSも大型モデルではリフレクタに対し不利だ。
SUREFREが従来のような集光度を可能な限り追求したいのであれば、光学系の再設計は必要だろう。また取り出し効率を重視したドームタイプ(HD)のLEDは擬似的に発光面積を増大させるため、フラットシールタイプ(HI)のLEDを使うと多少は改善するはずだ。そろそろカメラのレンズのような、面発光を前提にした光学システムが必要かな?
ログインしてコメントを確認・投稿する