北朝鮮の対米戦費に関する、元経済ヤクザのある考察
2017.12.21
なぜ彼らは大国相手に戦えるのか
猫組長元組長
私事で恐縮だが、11月初頭に渋谷区代官山町に引っ越した。環境が変われば視点も変わるが、そのことで繁華街の「ある変化」が視界に入ってきた。
その変化を感じていた直後の同月29日、北朝鮮は新型ICBM「火星15」の発射実験を行った。これをニュースで知った時、私は「なるほど」とうなずいてしまった。
北朝鮮製ロケットから高く立ち上る噴射炎を眺めた時、脳裏をよぎったのは、アフガニスタンのケシ畑で見聞したことの数々だ。都内の「ある変化」と「ミサイル実験」が連なる、地下経済のネコノミクスモデルを発表しよう。
「赤いライオン」と「赤い虎」
北朝鮮は11月29日に、アメリカ全土を核攻撃可能と主張する新型ICMB「火星15」の発射実験を成功させた。北朝鮮のような社会主義独裁国家で、ロケットの発射実験にかかる費用を算出するのは難しいが、00年には当時の金正日総書記が、訪朝した韓国メディアに「ロケット1基を発射するのに、総計2〜3億ドルかかる」と明かしたことが報じられている。
一般的にもこのサイズのミサイルの打ち上げにかかる費用は3億ドル(約340億円)と試算されていることから、概ね正しい金額と言えるだろう。北朝鮮は次々とロケットの開発を行っているのだから、その金額は莫大なものだ。
そこで誰しもが思うのは、北朝鮮はどこからその金を得ているのかという点だ。
代官山に引っ越したことで渋谷駅に出る機会が増えた私だが、ある変化が起きていることに気付いた。もちろん一般の人が気付くことはない変化だ。それは、浄化作戦などでしばらく姿を消していた外国人系のプッシャー(違法薬物の密売人)が復活していた、ということだ。
日本がバブル景気に沸いていた頃に来日したイラン人労働者が、バブル崩壊によって職を失い、薬物密売組織を作り、00年代から全国の繁華街を中心に暗躍した。その後、相次ぐ集中摘発によって組織は壊滅状態となり、不思議なことに都内では密売のホットスポットだった場所に「ケバブ屋」が林立するようになった。
当時、イラン人プッシャーが扱っていた覚せい剤は北朝鮮製だった。北朝鮮製の薬物はパッケージが特徴的で、向かい合う2匹の赤いライオンがプリントされたものがヘロイン。右前足を上げた赤い虎のイラストは覚醒剤だった。クスリは1キロ単位で取引され、「赤いライオン」=ヘロインはロシア、ヨーロッパ、オーストラリアへ。「赤い虎」=覚醒剤はおもに日本向けの商品だった。
しかし、06年10月に北朝鮮が地下核実験に成功したことを受けて、日本政府は北朝鮮の全船舶を入港禁止とした。この時期に日本の覚せい剤の価格が急騰したことから、北朝鮮船舶と覚醒剤密輸の関連が疑われていたわけだが、たしかにそれ以来、赤いライオンと虎の話を日本で聞くことはなくなった。
一方のイランについては、核開発問題を巡ってアメリカを中心に経済制裁が行われた。このことで、イランは原油の輸出が減少し、核開発のための材料や設備を入手することが困難になった。『元経済ヤクザだからわかる、北朝鮮「過剰な挑発」の真意』で書いたように、北朝鮮も相次ぐ経済制裁でドルが不足していて、喉から手が出る程「油」が欲しい。
かつては麻薬を仲立ちにした蜜月関係だった両国が、「麻薬とオイル」を通貨として、黒い貿易を始めていたら……。
ミサイル発射の頻度に比例して、東京の街中にプッシャーが増えるようであれば、そこには並々ならぬ関係がある、とみるのが、地下経済を知る者からすれば自然なのだ。
現在、北朝鮮はアメリカと核ミサイルを仲立ちにしたチキン・レースならぬ「マッドマン・レース」の真っ最中だ。はたして麻薬は超大国を相手にする巨大な戦費となりうるのか――アフガニスタンを例に解説したい。
アヘン生産量の変化が意味するもの
1978年に軍事クーデターが起きたアフガニスタンは、その後社会主義政権となり、これに反対して、ムジャヒディン(イスラム義勇兵)が武装蜂起する。
79年、社会主義政権を守るためにソ連がアフガニスタンに武装介入するのだが、当時、アフガニスタンに石油と天然ガスのパイプラインを通して、海まで資源を運ぶという「中央アジアパイプライン」構想がアメリカを中心に浮上しており、この思惑からアメリカをはじめとする多くの国がムジャヒディンを支援する。
その後、ムジャヒディンからタリバンが生まれ、96年に首都・カブールを掌握してタリバン政権が樹立する。
ところが政権成立後から、タリバンはテロ組織のアルカイーダと接近、そして2001年にアメリカで9・11テロが起こる。タリバン政権は、その首謀者ビンラディンらをかくまい、アメリカへの身柄引き渡しを拒否。これに怒った当時の大統領・ジョージ・W・ブッシュ氏は、9・11からわずか1カ月後の10月に「不朽の自由作戦」を開始する。
この歴史の流れを押さえながら、国連の薬物犯罪事務所が「World Drug Report 2004」で発表したデータを基に作成した図を参照して欲しい。
(図略)
01年にアヘンの生産量が激減していることがわかるが、この01年こそ、「不朽の自由作戦」開始の年である。その翌年からアメリカ軍がアフガニスタンに駐留するのだが、その後、麻薬の生産量が復活したことがわかるのだ。
06年ごろ、私は旅行でアフガニスタンを訪れたのだが、その時、この生産量の復活の本当の意味を知ることになる。
地下経済で連なる国々
アフガン北部のケシ畑を警備している人物をガイドとして雇って案内してもらったのだが、彼はCIAに現地雇用されている、とのことだった。国境を出入りする麻薬やテロリストの監視役として、諜報機関などが、現地人ガイドを雇用するのはよくある話であるが、ガイドは私にこう教えてくれた。
「タリバン政権の時は、警備をやっている人間はみんな持っている銃が(ロシア製の)AK-47だった。制服も、あの中東独特の衣装だった。ところが、アメリカが来たあとは、みんな(アメリカ製の)M−16になり、アメリカ軍の軍服の払い下げを着てケシ畑の警備をやっている」
麻薬生産のコントロールが、ロシアからアメリカに移ったということだ。そして、それこそが世界の「麻薬の生産量」の復活・急増につながっているのだ。
15年にはロシアの暗部を支える闇将軍とされる、ロシア連邦安全保障会議書記・ニコライ・パトルシェフ氏が、「アフガニスタンにおけるアヘンの生産量は『米国不朽の自由作戦』の13年間に40倍に成長した」と、アメリカがアフガンをアヘン生産地として利用している、とその政策を非難した。
国家が直接麻薬の製造に関与していることが露見すれば大スキャンダルとなるため、麻薬と武器の仲介は別の組織が行う。それが、ニューヨーク系のマフィアである。
映画『ゴッドファーザー』には「自分のシマで麻薬は売らない」というマフィアのセリフがあるが、その言葉通り、ニューヨーク系のマフィアは、アフガニスタン製の麻薬をバルカン半島を経由してロシアに流通させている。同じことをやっていたロシアが、15年にアメリカを非難した背景には、自国を麻薬で汚染され続けていることへの怒りがあったのだ。
アフガニスタンは、ソ連とアメリカという二つの超大国を相手に長きにわたって戦い続けてきた。それを可能にしたのが、麻薬を原資にした「ドラッグマネー」だったことは言うまでもない。アメリカも莫大な利益と支配権をもたらせる「中央アジアパイプライン」を何とか実現しようと、アフガニスタンに長きにわたって介入を続けてきたのだ。
現在でも麻薬が北朝鮮の重要な外貨獲得手段であることは、アンダーグラウンドの世界では定説となっている。その資金がミサイル開発の重要な一翼を担っていることも間違いないだろう。
国連薬物犯罪事務所の調査が及ばないため、世界の麻薬生産の一大拠点として「World Drug Report」にさえ載せることができないドラッグホットポイント……それこそが北朝鮮という国家の姿なのだ。
繁華街で復活したプッシャーと、活発化する北朝鮮のミサイル開発――2つの国は地下経済の水脈で結びつき、そこから滴る「白い粉」が、これから日本を汚染する可能性は充分にあるのだ。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53847
米国がイラクから撤退してもアフガンから撤退しないのは麻薬があるため見たいです。
麻薬は石油よりも金になるみたいですね^^;;
北朝鮮はパチンコ利権を資金源にして核開発してましたが、パチンコ人口も減って資金が枯渇し、代わりに麻薬を売りさばいて核開発のための資金源にしたいみたいです^^;
北朝鮮と日本を繋ぐのがイランの売人だとしたら、米国がイランを目の敵にするのも分かります。
麻薬の供給が増えれば価格が暴落して利益が減るのは米国だものね^^;;
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