日本は相変わらずデフレですが、
雇用は確かに改善していっています。
失業率は2.8%。
有効求人倍率は1.5倍を超えており、
何とバブル期をすら上回っています。
デフレ=総需要不足である以上、ヒトが余るはずです。
ヒトが余れば、失業率は普通は上昇します。
なぜ、ヒト余りになるはずのデフレが
継続しているにも関わらず、
雇用は改善しているのでしょうか。
その謎を解くカギは、「総実労働時間」にあります。
労働者一人当たりの月当たり労働時間
(休憩時間は除きます)を
「実労働時間」と呼びます。
というわけで、総実労働時間と
「就業者数」を掛け合わせると、
延べの総実労働時間が計算されます。
延総実労働時間とは、要するに月当たりで
日本の就業者が働いている時間の総計です。
別)図形グラフ 【日本の就業者数(左)と延総実労働時間(右) 】
別図形グラフよりわかりますが、日本の就業者数は、
確かに安倍政権下で増えています。
最悪期の2012年と比較すると、
185万人増えました。
就業者の数は、デフレが始まった97年には
及びませんが、それでもリーマンショック前の
数値を回復しているのです。
ところが、延総実労働時間の方は
それほど伸びておらず、最悪期(09年)と比較し、
1万7千時間しか伸びていません。
09年比で、2%も伸びていないのです。
就業者数は、09年と比較すると、
2.4%増えているのですが、
延総実労働時間は1.9%しか増えていません。
延総実労働時間を1997年と比較すると、
2016年の数字ですら▲10%なのです。
ちなみに、16年の就業者数は、
97年と比較すると▲1.4%。ほとんど変わりません。
2013年以降の日本では、
就業者数は確かに増えているのですが、
延総実労働時間がほとんど伸びていないという
「現実」が分かるのです。
13年以降の日本で、何が起きていたのか。
要するに、「短時間労働」つまりは
パートタイマーへの切り替えです。
フルタイムで働いていた
「労働時間が長い」団塊の世代が退職し、
企業は不足するヒトをパートタイマーで
カバーしていったのです。
(引退した団塊の世代が、短時間労働で
再雇用されるというケースも多いのでしょう)
結果的に、就業者数は確かに増えたのですが、
延総実労働時間はほとんど変わっていないという
現象が発生したわけでございます。
要するに、第二次安倍政権発足後の日本の雇用改善は、
フルタイム労働者からパートタイマーへの切り替え、
一種のワークシェアリングにより
もたらされたことが分かります。
実質賃金が上がらないはずです。
企業が雇用を給与が高いフルタイムから、
安いパートタイマーに切り替えた以上、
生産者一人当たりの名目賃金は伸び悩み、
実質賃金も下落が続いたのです。
(消費税増税という強制的な物価上昇もありましたので)
というわけで、せめて延総実労働時間が
リーマンショック前に戻らない限り、
安倍政権下で「経済政策が上手くいった」とは、
本来は口が裂けても言ってはならないのでございます。
とはいえ、政権や与党、マスコミなどは、
「総雇用者数」のみに注目し、
安倍政権の経済政策を肯定しようとします。
「指標」の中身をきちんと理解し、
ブレイクダウン(細分化)や相対化を行わない限り、
現実は理解できない。
「安倍政権で雇用は改善している」
というレトリックは、実に典型的な
ケーススタディと言えます。
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